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第1章 3 異世界編

第1章 3 異世界編




シロンの翼を休めるために宿場町に向かったが、シロンは町はずれにある森の中の切り開かれた場所に降り立った。

着地に成功するとシロンはかがんで、俺を降ろしてくれた。


「なぜ、町の近くで降りないんだ?」


『我の存在は珍しく人の目を引くため、町では騒ぎになってしまう』


だからここに降りたと、シロンが答えた。

俺は人の目を引くことの辛さを知っているので、シロンの言いたいことがよく分かる。

俺自体は目立たないようにするのだが、まわりが騒ぎ立ててくるというのはとても疲れる。

俺は、見世物じゃないんだ。

シロンもこの世界だと、珍しい存在なんだろう。

するとシロンは小さくなって俺の目の前に現れた。


『我はこの世界では異質なものだからな』


「異質?、シロンはこの世界の生き物じゃないのか?」


『そうらしい』


シロンが言うには、自分はシルティが魔法で異世界から召喚した幻獣らしい。

卵の頃に、この世界にやってきて、生まれてはじめて見たのがシルティだった。

それ以来、シロンはシルティのことを我が主と呼び慕っている。

卵から生まれた雛が最初に見たものを親だと思う習性がある。

ドラゴンも似たような習性があるらしい。


『なので、我が姿は隠さねばならぬ』


「その体をもっと小さくするのか?」


ポッケに入る大きさにでもなるのか?

(まさにポケ○トモン○ター)


『そうではなく、エンドウ殿が身につける何かになるのだが要望はあるか?』


シルティは、ドラゴンであるシロンをそんな方法で隠していたとは・・・。

さすが白の魔法使いということか。


「ちなみに、シルティは何に変身させたんだ?」


『我が主は、我にペンダントになるように言ったが、お主もそうするか?』


ペンダントか、それもいいが俺は小屋から違和感のあった髪を何とかしようと思い、


「髪を後ろで束ねたいから、髪留めになってくれるか?」


『了解した。エンドウ殿、両手をこちらに出してほしい』


俺は、言われたとおりシロンに向けて両手を出した。

するとシロンは俺の頭上に飛び上がった後、変化したのだろう、上から白鱗でできた髪留めが降ってきて両手に納まった。

さっそく俺は、シロンの髪留めで髪を後に束ねた。


『これでよいか?』


とシロンの声が頭に響いた。

髪留めをしたからだろうか、俺はいつもの調子が出てきたようだ。


「最高だよ」


シロンはその声に満足したのか、少し声を弾ませた。


『我を身に着けておるのなら、我と心の中で話ができるぞ』


俺は試しに心の中でシロンに話しかけてみた。


『シロン聞こえるか?』


『聞こえておる』


これはすごい、これならシロンに話しかけても他人からはなにも分からないな。


『そういえばシロン、町はどっちの方角だ?』


すると束ねた髪がこっちだと言うように動いた。

これは面白いなと思ったところで俺は歩き出した。






「誰か助けてーーーっ!」






1時間ほどだろうか、歩いているとなにやら人の声が聞こえた気がした。


『何か聞こえないか?』


『我には聞こえぬが、気のせいではないか?』


いや、気のせいではない。

俺は確かに誰か助けてと言う声が聞こえた。

なぜか、気になった俺は声のした方向に駆けだした。




声がした方に行ってみると、そこには、3人の男たちが何やら話していた。


『エンドウ殿は、耳が良いな』


そんなことで感心されても、それよりあの3人は何をやっているんだ?


「さてと、ボスへの手土産もできたことだしアジトに戻るか」


「兄貴、こんな上玉滅多に見ないですよ、味見をしないんですか?」


「それもそうだな」


なにやら、ボスへの手土産とやらを味見しようとしてるようだ。

手土産って何だと思った俺は3人の目線の先を見た。

するとそこには、猿轡をかまされて縛られている少女がいた。


「大丈夫だよ〜、怖くないよ〜」


「気持ちよくしてやるよ〜」


俺は、自分の頭が凍り付くような怒りを覚えて、おもわず






「おい、そこの3バカ」






と声をかけた。

すると3バカは何だと振り返った後、目を見開いた。


目の前に、捕まえた少女よりも美しい黒髪の女が現れたからだ。


「聞こえないのかそこの3バカ、身動きの取れない女の子に三人でそんな事をして恥ずかしくないのか」


と円堂は怒声を放った。シロンは円堂の様子の変化に動揺した。


「こ、こいつは?」


何に驚いてるんだ?と円堂は思うとマッチョは


「こいつは超上玉だな!今日の俺は神に愛されているぜ!」


とマッチョは興奮からか声を張り上げた。するとチビが


「待って下せ〜兄貴、こいつ見た目が魔術師ですぜ!」


と動揺していた。俺は魔術師じゃないが訂正してやる義理もない。


「魔術師だろうが、こんな小娘じゃ大したことないだろう」


「魔術師を甘く見ちゃいけね〜ですよ、あいつら平気で人を焼くような奴らですよ」


「だが、魔術師には弱点があるだろうが、こいつは見るからに一人だ、魔術の発動前に気絶させちまえばこっちのモンよ」


そういうとマッチョは、チビに行け!と命じた。

チビは納得してないのだろうが、マッチョの命令には逆らわないらしい。

腰から刃渡りが20cmほどのナイフを取り出すと走り出してきた。


『危ない!』


とシロンのあわてた声が響いたが俺は、冷静にチビのナイフでの攻撃を受け流し、後ろの木に向かって投げ飛ばした。

投げ飛ばされたチビには何が起こったのか分からなかっただろう。


チビはそこで気絶してしまった。






マッチョは動揺からか固まった、チビは3人の中でも一番接近戦を得意にしていたので楽勝だと考えてたからだ。

だが、あの魔術師は妙な動きで投げ飛ばしたのだ。あの動きは魔術だろうか?

遠くから見ていた自分でもよくわからないのだ。

だがこのままではやられると思い、マッチョは腰から剣を抜いた。






『エンドウ殿、何か体術の経験がお有りか?』


『体術?、そんな大したものじゃない』


俺の動きは、長年の経験からできたものだ。

剣道をやめてから俺は、変態から身を守る程度の動きを会得していた。

それを経験からこの体で再現してみたが、体が男と女での違いもあり、いつもより動きが鈍い。なによりもこの胸が邪魔だ。

さらに筋力の違いだろうか、この体では相手の力を受け流す程度の事しかできない。

この状況であと二人を相手にするのは相当難しい。

俺は武器になりそうなものはないかと、チビのわきに落ちているナイフを拾った。


するとマッチョは剣を抜いてきた。


あいつバカか?こんな木が密集してるところで剣を抜いてもじゃまなだけなのに。

と思うが、マッチョはチビとは違い慎重に近づいてきた。

俺は、少女の方にデブがいる限り身動きが取れない。

なので俺はデブをまず倒すことにした。

だが、この体であの動きはできるか?と、ある歩法について思った。


だが、マッチョが慎重な今しかチャンスはないと思い俺はゆっくりとデブに近づいた。






マッチョは魔術師がゆっくりと近づいてきてさらに慎重になった。


何をする気なんだ?


すると魔術師が目の前から消えた。


ど、どこに行った!


後ろから、何かが倒れた音がした。

振り返るとデブは地面に倒れていた。


な、何が起こったんだ?






シロンは円堂の動きに驚いた。

円堂は一瞬のうちにデブに近づき、ナイフの柄で後頭部を殴って気絶させたのだ。


『今の動きは魔術か?』


『魔術?俺は魔術が使えないぞ』


たしかにエンドウ殿は別世界から来た住人だが、体は我が主だから使えるのではないか?


『今のは縮地って言う歩法だよ』


縮地とは、地脈を縮め距離を短くし瞬間移動したかのごとく写ることからこの名が付けられている。

俺が使った縮地は、名ばかりのまがい物だ。

最初にゆっくりと近づき、力を溜めた脚力による全速力で一瞬の内に相手に近づく。

すると相手は速度の緩急により目の錯覚を引き起こし、一瞬で近づいたと勘違いをするのだ。

だが、この縮地は出会い頭にしか使えず、相手の目が慣れてしまうと効かなくなってしまう。

いわば一回限りの歩法なのだ。


『だから、この歩法はもう使えない』


そうなのだ。縮地を使ってデブを気絶させたのは良かったがこれ以上は、相手を殺す覚悟が必要になる。

俺は、戦争の知らない国、日本からやってきた。

当然、相手を殺す覚悟などできてない。

どうしようと思ったが、相手は今の動きで混乱している。

これはチャンスかと思い、ナイフを構えた。

するとマッチョは、


「こ、これをやるから命だけは・・・」


とおびえた声でなにやら袋を投げてきた。

俺はマッチョが戦意喪失したと思い構えを解くと


「さっさと仲間を連れて失せろ!」


と言って、デブの体をマッチョの方に蹴り転がした。

マッチョは、追い立てられるようにチビとデブを担いで森の奥に消えて行った。






3バカの姿が見えなくなると、俺は縛られた少女に近づいた。

少女は恐怖からだろうか呆然としている。


「今、縄を解いてやるからな」


俺はそういうと手元のナイフで、少女の手首と足首を縛っている縄を切って、口の猿轡をはずした。

少女は泣くのを我慢していたのだろう。

はずすと目の前で泣き崩れた。

俺はこんなときはどうしたらと途方にくれていたが、少女を落ち着かせるために


「もう大丈夫だよ。安心して」


と言って、少女を抱き寄せた。

少女は安心からか、さらに大きな声で泣いた。

俺は先ほどの戦闘で相当疲れていたのだが、この少女が落ち着くまで待ってあげようと思った。


『エンドウ殿、今のはなかなか我が主に似ておったぞ』


とシロンが言うと、俺は今の行動がとんでもなく恥ずかしいことに気づいて赤面した。






あとがきをのせ忘れてましたので編集しました。

今回の話は、前回のつづきです。

前回の話を載せた時には、この話はほぼできてたのですが、読みやすくするために少し考え事をしていました。

登場人物が増えてくると、シロンとの会話と普段の会話の使い分けについて考える必要があり、かぎかっこの種類を変えてみました。

「」・・・普段

『』・・・シロンとの会話(心の中で)


これからも読者の読みやすくなるような工夫を凝らしていきたいと思います。

引き続き、感想や評価をしてくれるとその分、執筆スピードが上がります!

ドシドシ送ってきてください。(ソフトな感じで)


実は、少しずつシルティ側の話も考えています。

シルティが、なぜ紋白町に現れたのか?

シルティは、円堂 実として無事にすごせるのか?

シルティの物語がここから始まる!


みたいな感じです。

こちらを書くのはアカデミー編が始まる前か、中ほどで書き上げようと思います。


最後に駄文ながらも読んでくださった皆様に最大の感謝を!

続きは、バイトと教習所があるので、なるべく早く上げたいと思います。

前回のあとがきネタは、とある魔〇の禁〇目録でした。

本当に科学と魔術が交差させちゃおうか一瞬悩みました。

では今回はこのネタでお別れしましょう。


また、次回も見て下さいね!じゃんけんポン(パー)ウフフフフフ


現代人でウフフなんていって笑うやつはいないよな。

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