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第1章 1 異世界編

第1章 1 異世界編




眼を覚ますと見慣れない部屋の天井が見えた。


俺は、寝起きの回転数の上がらない頭を必死に回して、現在の状況を確認した。


天井には見慣れない照明器具が付いている。

窓から差し込む光は、いつもアパートから見る窓と違いとても明るい。

俺の部屋は畳の六畳一間、月3万円の和室のはずだが、目の前の光景は床はフローリング、机はテーブルに椅子と洋風の部屋になっている。

何より、俺が今寝ているのは、3年間愛用している布団ではなく、真っ白なベットだ。

このベットがなんともいい香りで、俺の睡眠欲を刺激する。


「おやすみ〜」


俺は誘惑に負けて寝ることにした。


「って寝てる場合じゃない」


そうだ、俺は寝てる場合じゃない。

俺は、やらなくてはならない事があることを思い出した。






俺こと、円堂 実エンドウミノルは、階段から落ちて死んでしまった。


(いや、正確には死んでないのだが・・・)


この死から逃れるために、異世界からやってきた白の魔法使いシルティからの


「あなたの存在を貸してほしいのよ。その代わり私の本体を貸してあげるわ」


という誘いに乗り、俺は異世界にやってきたのだった。


(と言うことはここが異世界なのか?)






俺はまず、ベットから起き上がることにした。


普段よりも視界が低く、いろいろとなれないところ(性別的に)もあるのだが、俺は部屋の隅にある鏡に向かった。


鏡の前に立つとそこには自分ではなく、あの時目の前にいた美少女が写っていた。

美少女は寝起きということもあり、目が曇っているが、体は、女の子特有の丸みと出るところは出ていて、締まっているところは締まっているという男から見たら魅力的な体つきであった。

だが、あの時の美少女とは大きく違う点が一つある。

あの時の少女は、髪の長さが背中までかかるほどあり銀髪だったが、鏡の中の少女は黒髪だった。


髪の色が変わったのはなぜだろう?


と疑問に思った所で、女の子の寝起きの姿をじっくり見るのは失礼(まだ慣れてないので恥ずかしい)ので俺は着替えることにした。


着替えはクローゼットの中に入っていた白のワンピースと魔法使いが着るような黒のローブを着てみた(なるべく見ないように)。

悲しいかな、こんなときに学校での経験が生かされるなんて・・・(泣)。

すると鏡の中の少女は、長い杖を持てば魔法使いの弟子のような姿になった。

なかなか似合うなと思ったところで頭に違和感を覚えた。


なにか髪を結ぶものはないかな?


俺は、少しでも元の姿と同じようにしようと髪結びを探した。




俺がなぜポニーテールにするかというと小学生の頃、幼馴染から借りて読んだ漫画の影響だ。

その漫画は、幕末の明治を舞台にした一人の流浪人が主人公で、圧倒的な強さとその生き様に俺は憧れた。

それ以来、俺は髪を伸ばしてその流浪人のように、髪の後を一括りにまとめた髪形をしている。

この髪型にすると、その流浪人のように強く信念を持って生き、あのころの気持ちを忘れないでいられる気がするからだ。




部屋の中を探してみたが見つからずに困っていると頭の中に声が響いた。


「我が主よ、ずいぶんと早いご帰還だな?」


俺は、ふと声の主は誰だ?と思い顔を上げた。


すると窓から一匹の何か白い物が入ってきて、テーブルの上に止まった。


「?、我が主のようで我が主ではないようだな。髪が黒いおぬしは何者だ?」


テーブルの上に一匹の白龍ドラゴンがこちらをじっと見て尋ねた。


「お前が話しているのか?」


「いかにも」


さすがファンタジーの世界、目の前のドラゴンが平然と話しかけてくる。


「おぬしは何者だ?」


「俺の名前は円堂 実だ。」


「エンドウ殿、なぜ、我が主の体に入っているのだ?」




俺は、椅子に座ると白龍にどうしてこんなことになったのか説明した。

白龍は説明中、なぜか俺の目をじっと真剣に見つめていた。




説明が終わると白龍は、


「なるほど、嘘はついてないようだな」


「なんで、俺が嘘をついていないと断言できるんだ?」


「人間は、嘘をつくときに目線が右に動いたり、落ち着かなかったりするものだが、エンドウ殿はまったく動じてない。」


あの目を見つめる行為がそんな意味があったとは・・・・。


「それに、我が主が許可を与えていなければ、そんな事態にはならぬであろう」


なるほど、この白龍はシルティのことを信頼してるようだ。

ふと俺は、シルティの別れ際の一言を思い出した。


「お前がシルティの使い魔か?」


「いかにも、我が主の使い魔とは我のことだ」


やはりな、この白龍は俺の姿を見てまちがえたくらいだから使い魔なのだろう。


「ちなみに、あんたの名前は?」


「我が名は、シロン、白龍のシロンだ。」





シルティの使い魔シロンに会ったところで俺は案内を頼んでみた。


「さっきも話したが俺は、アカデミーの学長に会いに行かなければならないんだが、アカデミーまで案内してくれないか?」


シロンはすぐに、


「いいだろう、我が背に乗れ」


我が背に乗れと言われても、全長が50cmほどのその背中のどこに乗れって?

するとシロンは窓から飛び出した。


なんだ?と疑問に思った俺は、窓から顔を出した。


そこには5mほどの大きさだろうか?

大きなシロンが小屋を見下ろしていた。


俺はさすがに驚いた。するとシロンは、


「ふむ、我が主が驚いた顔など久しぶりに見たぞ。早く乗れ」


俺は、小屋から出た。






小屋は小高い丘の上にあるようだ。

まわりには人がなく、これだけ広い土地は日本じゃ見たことない。

俺は周りを見回した後、シロンを見た。

シロンは、ファンタジーによく出るエンシェントドラゴンのようだ。

牙や爪は鋭く、体中は硬い白鱗に覆われている。

俺はどう乗ればいいのかと聞くと、


「翼の付け根に足掛けて、首を股ではさんで背に腰掛ければよい」


シロンは首を下げて、俺が乗りやすいような体勢になってくれた。

言われたとおりに乗ってみると、シロンが元の体勢に戻った。

高さ5mほどの高さから見るとやはり、この小屋の周りに本当に何もなかった。


「しっかり首に捕まっていろ。準備はいいか?」


「ああ、頼む」


俺の答えを聞くとシロンは大きく羽ばたき、飛び立った。






俺は飛び立ってから風圧で振り落とされないか心配になったが、シロンの周りに何かの膜が球状に張り巡らされていた。

その膜のおかげで俺は飛んでるシロンの上にいても、自転車で下り坂を下る程度の風しか感じなかった。


最初の方は天高く舞い上がった感動から地上を見下したり、そのスピード感を楽しんでいたが1時間ほどで飽きてしまった。

俺はそんな退屈からだろうか、シロンに話しかけた。


「シロンの周りに張り巡らされている膜は何だ?」


「これはエアバックという魔術だ」


「なるほど、このエアバックのおかげで空気抵抗を減らしてるのか」


「そうだ」


やはり魔術の世界でも、ある程度の物理の法則があるようだ。

俺はそういえばアカデミーまでどれくらい掛かるのかとシロンに聞いた。


「この調子で行くならあと4時間ほどだが、我はあと少しのところにある宿場町で翼を休めたいのだがいいか?」


俺の体がある世界間の境界には、時間と言う概念が存在しないので死ぬことはないと言うシルティの言葉を思い出し、なによりシロンにそこまで無理させるわけにはいかないので


「いいよ」


と答えた。

カレイドマジックは魔術学園ファンタジーと書いておりますが、第1章はアカデミーに行くところまでです。

アカデミーに行く前に、少し、主人公のエンドウがどんな人間か読者の皆様に伝えられたら幸いです。

初めて書いた作品なので、こういうところが良かった、面白かった、こういう展開を見たい等の感想を書いてもらえると作者の執筆スピードが009ばりに加速します。

後は書く勇気だけだ。

駄文ながらも読んでくれた皆様に幸あれ。


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