プロローグ 4 運命は猫の手に・・・
プロローグ 3 運命は猫の手に・・・
「存在を貸すことを了承したが、具体的にどうすればいいんだ?」
俺は半時ほどだろうか精神の回復を待った後、方法を聞いた。
するとシルティは急に
「目をつむって!」
と言った。俺は言われた通り目をつむった。
するとシルティは数瞬の沈黙の後に小さく
「カレイド」
とつぶやいた。
何でここで変化魔術を、と思い少し目を開けようとした。
すると唇を何か柔らかくて甘い物にふさがれた。
目を開けると、そこには同い年のくらいの銀髪ロングの美少女がいて、俺にキスしていた。
!!!
美少女は目を開くと驚いたのかすぐに
「カレイド」
と叫んだ。すると目の前に白猫のシルティがいた。
ということはさっきのはシルティの本当の姿?
何か胸元に当たっていたやわらかい物はシルティの胸か。
やばい混乱してなにも話せない。
シルティは
「目を閉じてっていったのに・・・。エッチ」
と小さくつぶやいた。
俺は顔に血が上るのを感じて、何とか平静を保とうとした。
「ご、ごめん」
するとシルティはあきれた声で、
「ま、いいわ。だけど私の体に憑依するのにそんなんで大丈夫?」
「だめかも・・・」
シルティは想像以上に美少女だった。
俺の理性は持つだろうか?
「しっかりしてよね」
どうやらこれで準備は完了したようだ。
「魔術は使わないのか?」
「あなたの魂と私の間でパスを通したから、あなたはあっちの世界に向かえば私の体に憑依されるわ」
「俺の存在の方は?」
「パスを通してあなたから存在を借りたわ。だから、大丈夫よ」
シルティはそう言うと
「向こうに着いたら私の使い魔がいるからアカデミーまで案内させれば大丈夫よ」
「ありがとう」
俺はそういうと声を上げ、立ち上がった。
「じゃ、行きますか」
「そうね」
シルティもそう言うと立ち上がり、
「私の体にいたずらしないでよ?」
とからかうように言った。
「そっちこそ俺の存在を大事にしてくれよ。くれぐれも」
こっちはまじめに言った。もし俺が実は女だなんて噂が立ったら俺は生き返っても、社会的に死ぬだろう。
冗談抜きで・・・
俺とシルティはお互いに背を向けて歩きだした。
数歩、歩いてから俺はふと振り返って、白猫の背を見た。
なんだかこのまま行かせて大丈夫か、という気持ちになったのだ。
「だいじょうぶだろ」
シルティは一度助けただけの俺を信じてくれた。
だから、俺もシルティを信じることにした。
たとえ、俺の運命があの猫の手に掛かっていたとしても・・・・
シルティはなんの目的で紋白町を訪れたかは知らないが、シルティの物語がここから始まるのだろう。
なんてどっかの物語風にまとめたところで、俺はこれから自分の体を治してもらうために俺自身ががんばらなきゃならないのだ。
気合いを入れ、俺は目の前の世界に向かって駆けだした。