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第1章 11 異世界編

第1章 11 異世界編




俺は手に持った剣を見た。


この剣で驚かされたのは二回目だ。

最初に驚いたのは昼間にこの剣の鞘と柄の拵えを見た時だ。


なにせ、異世界の武器屋に刀があったのだから。


長さは1メートルには届かないほどで重さは思ったよりも軽い。

刀身は刀の特徴である片刃で、材質はどうやら鋼ではないようだ。

なにせ、刀身が金属特有の光沢が見られない。

一言で言うなら真っ黒だ。


俺はこの刀を見た瞬間、まるで懐かしの友人にあった様な気持ちになり迷わず買ってしまった。

刀は人を選ぶと言うがどうやら俺は選ばれたらしい。


この刀の軽さなら女であるシルティの体であっても使える。

剣の切れ味よりも重さや頑丈さを主体においているこの世界でこの黒刀に出会えたのはまさに運命だろう。


武器屋の店主が折れやすいと言ったが当然だ。

刀は切れ味が良い代わりに刀身が細身なので剣同士の打ち合いをすれば折れてしまう。

だが、斬る線、いわゆる斬線にそって斬れば刀の切れ味が十分に発揮されるので問題ない。

なにせ、よほどの名剣や使い手が相手じゃない限り剣ごと斬れてしまうからだ。


そんなの無理だと思うだろう。

普通の刀なら無理だろうがこの刀なら出来る。


実際に使ってみて気づいたことだが、驚くべきことに先ほどの盗賊の腕を斬った時、あまりの切れ味の良さで斬った感触がしないのだ。


いくら切れ味が良くて斬線を正確に斬る事が出来ても骨を斬れば刃こぼれ一つでもする筈だが刀身にはそれが見られない。

どうやら、この黒刀には俺の世界にはない技術によって作られたようだ。



――良い刀だ。



俺はこの黒刀があれば白兵戦は問題ないと確信した.






背後から呆然とした声で


「女神様?」


とつぶやく声が聞こえた。

また、女神様か・・・・

どうやら、あの伝説を町で知らない人はいないと言うのは本当らしい。


普段ならここで一言二言、声を掛けるが今は魔術師を早くどうにかしないとまずいので俺は背後にいる姉弟と母親に


「早く逃げて!」


とだけ言って前方に駆け出した。






円堂流の基本は流れるような円の動きだ。

この動きを流円りゅうえんの動きと呼んでいる。


俺は敵を見つけると縮地から流円の動きへ繋げていく。


『次!』


黒刀で相手の腕や足、武器を無力化して流円の動きによる蹴りを頭部や首、鳩尾などの急所に食らわせ一瞬で昏倒させていく。

その際、ロングスカートが舞い上がるが今は気にしている暇はない。


『次!』


一対多の戦いにおいて止まったら最後、袋叩きにされえてしまうからだ。

なので、縮地による奇襲で一対一や二で戦うような状態に持ち込む。


『次!』


それでも個人には限度がある。

元の体なら問題ないが今は女のシルティの体だ、体力が持たない。

この黒刀の軽さと切れ味のおかげで何とか最小限の力でここまで戦えるが長くは続かないだろう。

いくらなんでも一対多の戦いは無謀だ。


『・・・次!』


この状況を打開するためには・・・・


『シロン、早く魔術師を見つけてくれ』


俺は事前にシロンに魔術師の捜索を頼んでいた。

あの魔術を封じなければこちらの勝ち目はないからだ。


『どうやら相手は暗闇に潜んでいるらしい』


シロンは深刻な声で呟いた。

どうやら、魔術師は隙をうかがっているようだ。

俺は心の中で舌打ちをした。


『一回立て直すか・・・・』


こちらも体力が続かない。

一回立て直した方がいいかもしれない。

だが、こちらが立て直したら相手はまた火炎魔術を使うだろう。

それはマズイ。

あの魔術でいったい何人被害にあうか想像もつかない。


俺は立て直しは危険だと判断した。


『せめて相手が下位魔術を行使すれば分かるのだが・・・』


『・・・魔術を使わせればわかるのか?』


『相手の魔力から読み取れるが・・・できるのか?』


俺はシロンの一言で賭けに出ることにした。


『シロン、魔術はまかせたよ』






[other side]


俺は目の前の光景に目を疑った。

大の男達十数人と小娘一人が魔術なしで対等にやり合ってる。

いや、対等ではなくこちらが圧倒されている。

小娘は一瞬で近づくと手に持った剣で次々と盗賊たちの武器を無力化して、蹴りで昏倒させていく。

その動きはまるで舞を踊っているようだ。

しかもあの小娘は、どういう訳か殺さないように手加減をしている。


「チッ、化物かあの女」


たぶん、あの小娘はマッチョ達をコテンパンにした例の女だろう。

俺はマッチョ達の話に多少、誇張が入っているだろうと思ったがこれは予想外だ。

いくら体術が出来るって言っても限度がある。


「本当に女か?」


だが、あの女のシルエットから見て女なのは間違いない。

あんなにスタイルのいい女が男のはずがない。

ならば魔術か?


「グランス」


俺は小声で視力強化魔術グランスを使った。

グランスは魔術師見習いが最初に習う魔術で詠唱破棄スペルカットによるデメリットも少ない。

さらに、グランスは術者本人に行使する魔術なので魔術探知をされない。


俺はグランスで強化した視力で小娘を見た。

小娘の顔立ちは整っておりマッチョの言っていた超上玉と言うのも頷ける。

体つきは出るところは出ていて、絞まっているところは絞まっているメリハリのある体だ。


俺は目に力を入れると視界が変わった。


「魔力色が見えないな」


グランスは視力を強化するだけではなく視界に入った生物の魔力色を見ることが出来る。

俺の体を見てみるとちゃんと赤色の魔力が見られる。

グランスはちゃんと効いてるようだ。

ならば魔力色が見えないあの小娘は魔術師じゃない。

グランスの例外は術者よりも魔力量が多いことだがあの小娘が俺より魔力量が多いはずがない。


・・・ならば、俺が出来ることはただ一つ。

あの小娘が隙を見せた瞬間、俺の魔術で吹き飛ばすしかない。

俺はその機会をじっと待った。






俺は息を潜めてじっと待った。

小娘は体力の限界からか、肩で息をして吐息が荒い。

どうやら終わりが近いようだ。

小娘が最後の一人を昏倒させたところでどうやら限界のようだ。

先ほどの舞い上がるような剣舞の動きが止まると片ひざを地面に着いた。

俺は杖を向けると


「ブラスト」


詠唱破棄スペルカットで魔力弾を放った。





[side out]






今回はバトルパートのAです。

バトルパートは2つか3つに分けようと思います。


戦闘の描写は3バカ戦以来なのであまり自信がないです。

ここはこういう風にした方がいいと言うようなご指摘があれば今後の執筆に役に立つと思うので、気軽に感想の一言などで指摘してみてください。


次回はバトルパートBです。

そろそろ、学校のレポートを書かないとまずいので早めに上げたいと思います。


最後に駄文ながらも読んでくださった皆様に最大の感謝を!

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