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従業員大根


「お願いします、味噌汁の具にしないでください、だけど栄養満点何です!一生懸命に働きますから、なのでどうかよろしくお願いします!」

 私の目の前に『大根の輪切り(漬物)の妖怪?が地面に手と頭を付けて必死で働かせてくれないかと必死の形相で土下座している。何これ?怖い。

「その前に貴方の名前は?」

「大根の輪切りです、大根と呼んでください」

「......?」

 全く何を言っているのかは分からなかった私がインド人だったら理解できただろうと思う大根の漬物かぁお風呂か温泉で食べながら入ろっかなぁ。それだと自分がおでんみたいじゃん。

「おい、大根!俺を助けろ!」

 今度は誰だろうと思って視線を移動させると今度は見たことも無い鳥が二足歩行で立っていた。身長は一六〇㎝位かな。

「貴方誰?」

「鳥だ、とりあえず匿ってくれないか」

「匿うって、ちょ、勝手に中に入んないでよ!」

「頼む、犬の餌あげるから!」

「そんなもんいらない!」

「あ、来た...」

「え、誰が来たの?」

「峯塚椛!」

 あの女、今度は鳥にしつこくインタビューか...。鳥が喋ったぁぁぁ!。そんな事を思っている間にヤンデレな顔した峯塚さんがやって来た。

「川崎茜さん、私の『鳥』見てませんか?」

「さっきの喋る鳥?」

「はいそうです、あの鳥の独特の匂いがします。匿ったりしてないですよね?」

「取材じゃないの?」

「いいえ、今日は彼と私の愛を育む日です、邪魔したらどうなるか分かってますよね?」

「怖いって見逃がしてあげようよ」

「やっぱりここに居るんですね?だって、私視力天体望遠鏡よりいいんですもん!入っていいですよね?」

「本人が匿ってくれって言ったからそれはちょっと...」

 あぁもう!マジでめんどくさいことになったこういう時どうすればいいのか分からないけど。私も人の子とは言えない気がする。

「何?邪魔するんですか?」

「そんなつもりはない!」

「だったらどいてくださいよ!」

「もし、そうだったら私を殺すの?だったら容赦しないよ!」

「龍神が天狗に勝てるとでも思ってるんですか?(プロモーション)」

「だってあんた、私と喧嘩する気満々じゃない」

「あれ、さっきのは...待って鳥!」

「行っちゃった...」

 一色触発の危機だったけどさっきの鳥がダチョウのように猛ダッシュ(時速八〇㎞)で家の玄関から飛び出したのをみて彼女は後を追いかけていった。

「あのぅ...」

「ごめんごめん、家ではたらきたいんだったよね?」

「お願いします!」

「良いよ、なんなら今からどう?」

「よろしくお願いします!」

 数日後、峯塚椛から一枚の写真と手紙が送られてきた。どうやらあの鳥(雄)の子供を妊娠したらしい。何か祝いの品を持っていくつもりだ。手紙には報告と謝罪の言葉が書かれていた。そして私はと言うとこの大根に初任給を渡すところだ。

「はい、初任給」

「え?何ですかこれ?」

「初任給だよ、少なかった?」

「どんぐり一〇㎏じゃないんですか?」

「何でどんぐり?」

「私がここに来る前は食品売り場の売れ残りでした。皆が次々と手に取ってもらえる仲私だけ置いてきぼりだったんです。その時に俺が寂しくないようにと、どんぐりが友達になってくれたんです」

「意味が分からないよ...」

「別に松ぼっくりでもいいんですよ」

「悪いけど持ってないの」

「貰ったらこの薬局の庭に植えもいいですか?」

「それは止めて、自分の家で植えるならいいよ」

「家、無いんです住み込み良いですか?で出来れば冷蔵庫に...」

「入れるスペースないよ」

「んじゃ冷蔵庫の隣どうですか?」

「そこでいいよ」

「やったぁありがとうございます!」

「......」

 ふと気が付くと庭で大根の輪切りが鳥と亜理紗に美味しく食べられていた。

「ぎゃあああああ!食べないでえええええ!」

「「うまっうまっ」」

「ありがとうこれで成仏できるぜ...」

「「うまっうまっ」」

「これ以上食うなぁ!ふざけるなよぉ!うおおおおおお!大根真拳必殺奥義!」

「「何っ?」」

「「「どうもありがとうございましたぁ」」」

 全然理解が追い付かないよ...。じゃあ今までの演劇形式だったの!?。と同時にこの世界は知らないことがまだ有ることだけ分かった。


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