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閑話 夫人の娘 次女 ~前編~

16.5話の続きの話になります。


フィクションです。

作者は妄想中です。

『目の上のたんこぶ』


 その言葉を聞いた時、「あぁ、姉のことだ」と私は思った。

 常に高圧的に、私を押さえつけてくる。

 反論しようものなら、その10倍もの言葉で言い負かされてしまう。

 姉から褒められたことはない。

 文句ならいつも言われ続けていたけれど。


 私はなぜ皇族に産まれてしまったのだろう。


 母は、躾に、学校の勉強にも口うるさかった。

 叱られている時にぼ~っと他のことを考えていると、もっと怒られた。


 姉よりも怒られている時間は長かったと思う。


 姉と母とだったら、どっちがマシだったかと考えると、私は母のほうがマシだったと思う。


 姉が言うことは理不尽過ぎた。

 母は全てにおいて厳しすぎた。


 2歳上の姉は、父が入院退院を繰り返している時に、留学してしまった。

 残された私は、父のお世話をすることになった。

 お世話しないといけない人は、父以外にもいた。

 それは父方の祖父母だった。

 私は三人のことを気にかけながら、生活することになった。


 母は病気療養ということで、私達とは別居中だ。

 後から人伝で聞いたことだが、母は私達姉妹を連れて家を出るつもりにしていたようだった。

 しかし、姉が反発した。父も許さなかったらしい。


 母に会いに行こうと思えば、会いに行ける距離だ。


 ただ、それは姉に禁止された。

 どれだけ母が無責任な人だったかをコンコンと説明される。

 私が聞きたい話は、そんな話ではなかったのに。


 そして、姉から母親の話を聞いているうちに、私は母から距離をとるようになった。


 姉の言うことに口答えしてもいいことは何一つない。


 わからないからと尋ねても、「あなたに説明しても、すぐにはわからないでしょう? 時間が無駄だわ」で、いつも終わる。


 不満だけがつのっていく。


 長女というものは、そういう生き物なのだろうか。


 長女の手柄は長女のもの。

 妹の手柄も長女のもの。


 入院している父のお世話をしていたのは、私なのに、雑誌記者のインタビューに答えるのは私ではなく、長女の姉だった。

 さも自分がやってきたかのように、話をする姉。 


 父が亡くなった。


 喪主は母ではなく、姉だった。


 母が来ていたが、追い返したと聞いた。



 どうしてそこまでできるんだろう?

 自分を生んでくれた母なのに。


 頭の回転が早い姉には理解できて、私には理解できないということなのかしら?


 姉に対して、不信感が募る。


 気持ちを切り替えて、遺影の父を見た。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 大好きな祖母。

 口が達者な姉ばかり喋り、私は姉ほどすぐに言葉が出てこない。

 祖母を退屈させていないか、そればかり気になる。


 祖父も、祖母も、姉の味方だ。


 祖父が亡くなった時、姉は見事に祖母の懐に潜り込んでいった。


 寄り添いながらも、その目が計算していたのは、お金のことだった。


 姉がマンションを購入した、らしい。


 どこにそんなお金があったんだろう?


 私は、自分の仕事をしつつ、公務もしつつ、宮中祭祀も続けるだけ。

 そう、姉は父がしていた祭祀関係を一切合切私に押し付けた。


 イライラする。


 姉は自由がないと言いつつ、自由奔放に振る舞っている。

 私は何をしても、非難される。


 疲れた。


 そう思っていると、優しくしてくれる男性が現れた。

 ただ、その男性の後ろには二つの国がついていた。

 どちらも大国だ。


 皇族として、利用されている。


 それでもいいと思えた。


 姉が皇籍離脱した。

 有無を言わせず、私も離脱させられた。


 頼るところはその男性のところしかない。


 迷ったけれど、連絡してみた。


 返事がなぜか、姉のところに来た。


 その結果、飛行機がハイジャックされた。


 その飛行機は北の国の最高指導者がいるところに突っ込む予定だった。

 男性は、その飛行機に乗ることを知っている。


 そう、知っていた。


 ハイジャックされることを。


 そして、その結果、二度と会えなくなるかもしれない……ということも。


 男性はもう二度と会えなくなっても問題ないということなのだろう。




「お目覚めですか?」


 記憶のない声に首を傾げながら、声がする方を見た。


「あなた……は?」


 見覚えがあるような気もする。


「母の……」


 その女性は頷く。

 母のそばにいつもいた女官だった。


「私は助かったの?」


「はい」


「どうして?」


 女官は少し迷ったようだった。


「申し訳ありませんが、私はその質問にはお答えしかねます」


「そう……」


 じっと見られているのがわかる。

 どうせ、不機嫌そうな顔だと思われているんだろう。

 これでも整形したんだからね。


「あれから3ヶ月、お眠りでした。食欲があるかどうかわかりませんが、こちらに温かいスープを用意してあります。どうぞお召し上がりくださいませ」


 ベッドの横のワゴンには、クローシュがあった。

 ガラス製だから、中身は見えている。

 そして、ベッドテーブルもある。


「ありがとうございます」


 そう言って、頭を下げると、その女官は会釈をして、退室していった。


 隣を見ると、もう一つベッドがあり、姉が寝ているようだった。


 体を起こし、ベッドテーブルを引き寄せた。

 トレイごとベッドテーブルに置いた。

 そして、クローシュを外す。


「いい匂い」


 かぼちゃだった。

 スプーンですくって口に運ぶ。


「甘い。美味しい」


 少し熱いため、少しずつ口に運ぶ。


 食べ物が胃に入ったからか、急に空腹を感じた。


「足りるかしら……」


 そう思っていたが、スープカップが空になる頃には、十分な満足感があった。


 横に置いてあったコップの水を飲む。


「ごちそうさまでした……」


 そこで気づく。


「いただきますを……言ってなかった……」


 一人で食事をすることが多かった。

 お行儀は悪いが、テレビを見ながら、ネットをしながらというのも、多かった。

 最初はそういう食べ方に罪悪感があったが、いつの間にか慣れてしまっていた。


「どうして、助かったんだろう? 皇太子殿下が?」


 考えられるのはそれしかない。

 最後まで感じていたのは、皇太子に護られていると思ったことだった。

 誰かが自分のこの状況をわかってくれている。

 それがどれだけ心強かったか。

 と、同時に、絶望もあった。

 どうすればこの現状が打破できるのか、考えられなかったからだった。


 横を見ると、姉はぐっすり眠っている。


 一度起きたのか、まだ目覚めていないのか、わからない。

 ただ、額にツクヨミとスサノヲの印が二つ並んでいる。

 右手の指先で、自分の額を確認する。

 凸凹はしていないが、何かがあるのは、指先の感覚でわかった。



「これから、どうしようか……」



 今まで皇族だったから、周りがチヤホヤしてくれていた。

 自分の実力でもなんでもなかった。


 でも、思う。


 皇族として生まれてきたことを利用して何が悪い?


 ズキン!


 額が、印が痛い。


 額に手を当てながら、少し考える。

 姉にあるツクヨミとスサノヲの印。

 飛行機の中で、私にもあると姉に指摘された。


 助かったけれど、それは消えていない。


「これ、消えるのかしら?」


 恐る恐る呟いてみたが、痛くはならなかった。

 もし、痛くなるとするならば、思ったり考えたりしてはダメなことを頭の中に思い浮かべたときなのだろう。


 もう、あの男性のことは好きではない。


「これから先、どうしようか……」


 本当に、どうしたらいいんだろう?

 公務といっても、その男性がらみのことが主だった。


 何も思い浮かばない。


 ただ、姉と一緒にはいたくない。

 母の元に戻るにしても、今のままでは受け入れてもらえないだろう。


 不意に、三人の従妹のことを思い出した。

 妹二人は降嫁した。

 その時に言っていたのは、これからもすめらぎを支えていきたいということだった。


 私にそういう気持ちは……ない。


 なんであんなに恵まれた家に尽くさないといけないのか。


 皇太子妃時代、かなりのバッシングを受けていたが、そうされるにはそうされるだけの理由があると、次女は考えていた。

 完全に対岸の火事だった。


 そもそも、私達姉妹が何かをしたところで、ニュースにはならない。


 せいぜい、姉がマスコミのインタビューに答えるぐらいだ。


 姉は自己顕示欲が強い。

 私が大変な思いをしている時に、6年も留学していた。


 ややして気づいたのが、皇太子妃の学歴だった。


 正直、勝てるわけがないと私は思った。

 なぜ、勝負を挑もうとするのか。


 それに気づくと、姉はキツネやイタチのまねをしていた。

 前例をキツネやイタチが作ってしまっているから、そこまでは許されるということなのだろうか?


 そんなに目立ちたい?


 正直言って、美人じゃないよ?


 従妹達のほうが花があり、きれいだった。


 ただ、いつ頃だったか、三人姉妹の長女が留学した。

 しばらくすると、信じられないニュースが広まった。

 長女が留学先ではっちゃけてるというのだ。

 男遊びも派手に。

 メイクも髪型も皇族としてあり得ない。

 勉強などしていないという話だった。


 私は「へぇ~? そうなんだ?」とだけしか思わなかったけれど、姉はそうではなかった。

 ものすごく意地悪そうな顔をしていた。

「ほんと、ろくでもない姉妹よね」

 

 それは、私達のこと?


 皇太弟妃は私達に笑顔ですり寄ってきた。


 どうやら、母と仲違いしているのが、ものすごく楽しいらしい。


「お母様のことは、大変ね」


 何がどう大変なのか。

 心配そうな感じを装っているけれど、目はものすごく笑っている。

 器用な人ね……。

 姉はその人のことを信頼しているようだった。


 信用すら危ういのに、信頼?


 姉は賢いから、うまく立ち回れるのだろう。


 私には無理だ。


 ただ、キツネやイタチには笑顔を向け、皇太子や皇太子妃、皇女の悪口を言っていると、安全だと感じた。

 そうしていると、時々突き刺さるような視線を感じた。

 ちらっとその方向を見ると、母がいた。


 視線の意味を考えてみる。


 憎しみでもない。

 怒りでもない。

 諦めでもない。


何の感情も感じなかった……?


 耳の調子が悪くなって、健康だった時のありがたみをものすごく感じた。

 もしかして、あの時の母もこういう感じだったんだろうか?


 そうは思うが、何も行動が起こせない。


 でも、一つだけ思った。


 お母さまがお元気そうで、よかった。



 すめらぎが生前退位し、皇太子がすめらぎとなった。


 お祖父さまが亡くなり、お祖母さまも亡くなる。

 全て、姉が取り仕切った。


 お金の流れはよくわからない。


 ただ、ほとんど姉がせしめているような感じがした。

 お祖母さまの形見はもらえなかった。


 お祖母さまが愛用されていたティアラは、すめらぎの管理になったという。


『新年祝賀の儀の時、私がこの家の当主になるから、お祖母さまのティアラは私が使うわ』


 まだ決まってもいないことを、自信たっぷりに言っている。

 なぜ、この人はこうなのか。

 私も人のことは言えないが、うまくキツネとイタチに利用されていると思う。


 ただ、姉はその事を決して認めないだろう。

 むしろ、「私が利用しているのよ。私が天皇になるんだから」と言いそうだ。


 その自信はどこから来るんだろう?


 従妹みたいに綺麗じゃないのに。



「ふぅ……」


 自分のため息で、目が覚めた。


「お目覚めですか?」


 ハッとし、顔を声がした方に向けた。


「はい。あ、パンプキンのスープ、美味しかったです。ありがとうございました」


「お口にあって、ようございました」


 ついつい、女官の前にあるワゴンを見てしまう。


「食欲はございますか?」


「大丈夫です」


 にこっと笑って、女官は退室していった。


 クローシュを外すと、ふわっと豆の香りが広がった。

 ポタージュスープの色はきれいな薄い緑色だった。


「もしかして、枝豆?」


 ベッドテーブルの上に、トレイごと置く。


「いただきます」


 しっかりと手を合わせてからスープスプーンを手に取った。


 そっと一口飲んでみる。


「美味しい」


 幸せな気持ちになりながら、一口一口味わう。

 決して量は多くないのだが、ものすごくお腹いっぱいになる。


 まだ、姉は寝ている。


「ごちそうさまでした」


 ワゴンにトレイを戻し、また横になる。

 寝ている理由は特にないのだが、ただ、なんとなく、体が重い。


 痩せぎすの姉からすると、私が太っているのが信じられないらしい。


『あの女と同じじゃない』


 この場合のあの女は、皇妃や皇女ではなく、母だろう。

 太りたくなくても、薬の副作用で太ってしまうこともある。

 なのに、『だらしない』と冷たい一言だった。

 私の記憶で、母がだらしなかったことは、一度もない。

 もっとだらしない人がいるではないか……。

 いたちとか、その娘とか。

 その夫、すめらぎの弟は、別方面でだらしがない。

 ただ、みんな太ってはいない。


 姉のことを思い出す度に、ため息が出そうになる。


 そういえば、祖母が、ポツリと言った一言、『心配だわ』。

 どういう意味だったのだろうか。

 姉はしっかりしている。

 お金にもしっかりしている。

 なのに、心配。


 もしかして、『結婚』だろうか。

 降嫁してしまうと、皇族でなくなる。

 この宮家の維持が……。


 なんかちがうような?


 満腹感で、眠くなってきていた。

 そして、その眠気に逆らわず、眠った。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 なんだろう?

 ガサゴソと音がしている。


 それも姉のベッドの方向から。


 ときどき、姉の独り言が聞こえる。


 そのまま寝たふりを続ける。


 気づくとまた眠っていた。


 次に目が覚めた時、部屋の中は静かだった。

 そして、なぜか、室温がいつもより低く感じた。

 上半身を起こして、部屋の中を見渡す。

 姉はベッドにいなかった。

 ふと、サイドテーブルの上にスマホが置いてあることに気付いた。

 そして、その下には、折りたたんだ紙。

 手帳をちぎったような感じだった。


 姉からのメモだろうか?


 そう思いながら、腕を伸ばし、紙を手にした。

 そして、広げてみる。


 姉の特徴的な字でこう書かれていた。



   わたしはあの国へ行く

   あんたは勝手にしなさい。



 ああ、あの音は、荷物をまとめていた音だったのか、と納得。


「どこまでも、自分勝手だなぁ……」


 思わず呟いていた。

 姉がここを出ていったということは、事実なのだろう。


「私はどうしようか……」


 今まで、『皇族』だから相手にされていたということが、本当によくわかった。

 過去の知り合いを頼るつもりはない。

 そうかといって、海外でバリバリに動けることもない。

 大学を卒業して、就職もしたが、やめてしまった。

 難聴の事を公表してスッキリはした。

 ただ、この経験を活かせないかとも思う。

 手話を使うほどでもない。


「宮中祭祀も丸投げしちゃったんだっけ……」


 すべてすめらぎの妹に投げ出した。

 そして、祭主との予定が重なる時は、皇太子が私の仕事をしているということを聞いた。

 少しだけ、申し訳ないと思った。

 でも、皇族でなくなった今は、それをすることもない。

 そもそも、神に祈ることもない。

 祖父に続き祖母が亡くなった時、解放されたと、正直思った。


 そして今、姉から解放された。


「私にできること……」


 次の瞬間、すめらぎと皇妃、皇太子の顔が思い浮かぶ。

 従妹たちが言っていた、これらもすめらぎを支えるという言葉。

 すべての祭祀を、聖子に返した時、彼女はなんて言ったのか。


「今まで、祭祀を続けてくださり、すめらぎを支えてくださり、ありがとうございました」


 今なら、わかる。

 あれは、彼女の本心からの言葉。


「私は……支えることができていた?」


 私が引き受けた公務は、かなり偏っていた。

 父がやっていた仕事の関係や、姉の関係で押し付けられた公務もあった。

 祭祀に至っては、姉が「あんな面倒くさいもの、お父さまが仕方なくやっていたことよ。あなたがやって」。

 祭祀は目立たない仕事だ。

 そもそも、やっていることを知っている国民はどれぐらいいるのだろう?

 父が仕方なくやっていたのではなく、父はそれで仕事が中断されるのが嫌だっただけだ。

 祭祀は真面目に取り組んでいた。


 額に手を当てた。


 まだ印はあるのだろう。


「もう少し、考えよう」


 ベッドに寝転び、布団を被る。

 そして、眠りに落ちる。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 体を起こして、隣のベッドを確認した。


「ない」


 ベッドがあったはずの空間にはなにもなかった。


 ベッドを移動されているのにも気づかないぐらい、ぐっすりと眠っていたことに、驚いた。


 頭のいい姉はどういう経緯でその結論に至ったのか、私にはわからない。

 そもそも、説明もなしで、結果だけだった。

 ただ、『勝手にしなさい』という言葉は、『自由にしなさい』という意味なんだろうかと、感じる。


「今まで散々、この家に縛り付けるような事を言っておいて、自分が皇籍離脱するからと私をそれに巻き込んだくせに。今更、自由に?」


 もやもやとした感情が湧いてきた。

 これは、『怒り?』。


 思ってることを言うと、即座に否定され、文句を言うと10倍以上の言葉が戻ってきてた。そういうことを繰り返している内に、姉に意見を言うということを諦めた。

 姉がしていることは、正しいんだと、思うことにした。

 違うと言ったところで、私の意見を聞くことはない。

 ただ、なんとなく、姉はキツネやイタチが失敗した後の暴利を狙っているとは感じていた。


「ずる賢いのよね」


 そう呟いて、すっと何かが自分の中で腑に落ちた。


「そう、ずる賢い」


 頭を正しいことに使うのではなく、自分を以下に有利にして、利益を多く、相手を以下にして貶められるか。

 特に、皇女や皇妃に対しては、私の前では辛辣だった。

 そこで、「妬みとコンプレックス?」なんて言おうものなら、家から叩き出されるにちがいない。

 でも、私でもわかるようなこと、他の賢い人はもう……。


「あぁ、そうかぁ……」


 叔母様の姉を見る目は……。


 一時、マスコミで言われていた。

『母娘断絶』と。

 姉に言われたことを実行していたら、そう言われてしまっていた。

 母とはもう長く話をしていない。

 公務に復帰するという話を聞いた時、「あ、元気になったんだ」と思ったけれど、姉は違うかった。


「父に詫びてください」


 意味がわからない。


 それなら、父が亡くなった時、もう目覚めることのない父の前で母に言えばいいことではなかったのか?



 その後でお会いした祖母の表情は何か言いたげで悲しそうだった。


「どれだけの人を傷つけてきたんだろう……」


 姉だけじゃない。

 私もだ。


 まず、しないといけないことは、母に謝ることだろう。

 そして、美味しいスープのお礼もいわなくては……。

 そして、母が許してくれたら、次に何をすればいいか、考えよう。


 心は決まった。

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