29話 アマテラスが世界を滅ぼした ~後編~
フィクションです。
過去の話になります。
全国の神社の力を確認しつつ、アマテラスは皇太子妃の事を気にかけていた。
「ツクヨミ! 力を貸せ!」
アマテラスに呼びつけられ、ツクヨミは皇太子妃を見る。
「今度はおなごか?」
「ああ、おなごだ。護ろう」
「護ろう。無事、生まれてくれ」
それぞれの加護がまだ誕生したばかりの魂を護る。
神々の加護に勝てる呪いはない。
アマテラスが周りを見ていると、呪いが飛んでくる。
しかし、アマテラスとツクヨミの護りによって、それは跳ね返されていた。
その跳ね返った呪は、皇妃と皇太弟妃に向かう。
そのことに気づかず、その二人は、呪い師たちをなじっていた。
「どうして、流産できないの?」
「男だったらどうするの?」
「この役立たず!」
呪術師達は、何度も何度も呪を掛けるが、まったく効果がなかった。
そして、年の瀬が近づく頃、かわいい女の子を皇太子妃は出産した。
母子ともに健康である。
アマテラスは満足した。
皇太子の喜びもわがことのように感じていた。
「この娘は強いが……」
「今の時点で昭和を上回っておる」
ツクヨミに言われ、アマテラスはうなずく。
「じゃが、父親がその事をきちんと理解できておらぬ。なぜ、ここに昭和がおらぬのじゃ?」
「姉上、それは無茶というもの。そもそも正しい儀式が出来ておらぬ。本来なら力を貸せているはずの昭和がまだ眠っておる」
「どうやったら、起こせる?」
「最終手段を使うか?」
「いや、それはまだ、早い。というか、被害が出過ぎる」
「なら、ギリギリまでスサノヲにおさえておいてもらうぞ」
「頼む」
アマテラスは異常な力を持ち始めた海の底を見た。
日本の政治はどんどんおかしくなってきていた。
西側の国や北側の国の意思を組んだ政治家たちが力を持ってきていたのだった。
皇妃と皇太弟妃が信仰する神が政治の上層部に浸透していく。
成功を治めたいモノは、その宗教に改宗していった。
そして、自分達に都合がいいようにマスコミを利用する。
そもそもマスコミも皇妃の傘下にあった。
自分で考えることをしない皇太弟妃は父の助言を常に当てにしていた。
皇妃を尊敬し、その一挙一動を真似した。
お手本がいるというのは、楽だった。
目障りな皇太子妃は、何をやってもバッシングされるようになった。
皇妃や皇太弟妃の動きは華々しく書かれる。
日本の外交を皇太子妃にかわり支える皇太弟妃と絶賛され、皇太弟妃は喜んでいた。
その皇太弟妃は、皇妃を尊敬していると必ず記事には書かれる。
皇妃が公務をしていなくても、皇太弟妃の記事には必ず、皇妃の写真が掲載されていた。
皇妃は自分のいうことをちゃんと聞く皇太弟妃を可愛がった。
そして、生まれた二人の娘も殊の外、可愛がる。
もう一人孫娘がいることなんて、とっくに忘れていた。
ただ、一家で顔を合わす機会は年に数回ある。
その時は、カメラの前だけ、いい祖母を演じるのだった。
しかし、その孫娘は、母親に似たのか、可愛げがない。
いい祖母を演じようとしていたのだが、あまりいい写真が残らなかった。
あまりにも男子が皇族に生まれないので、政治家が女性天皇の案を出した。
「男を産みなさい」
皇妃は皇太弟妃に命じた。
「あちらに皇統を移してはなりません」
鬼のような形相だった。
皇太弟妃は、喜んで従う。
念願の皇妃になれるかもしれないのだ。
そのためには手段は選ばないと、思った。
だが、調整はしていないのに、妊娠しない。
かつての呪が自分にかかっていることを、皇太弟妃は知らないのだった。
そこで、父に相談する。
今度は呪術師ではなく、ある研究機関を紹介された。
それは、皇太子妃時代にこの国に入れたあの宗教の関係施設だった。
皇太弟を連れて、その研究機関に行く。
しかし、皇太弟妃の卵子では受精が無理だった。
そこで、長女の卵子はどうかという提案を受ける。
長女には自分の血が入っている。
皇太弟妃は頷いた。
「必要なだけ、採ってください」
そうして皇太弟妃は娘の長女を差し出した。
長女は自分の意志など関係なく、痛い思いをして、卵子を採取されたのだった。
「これもすべて、この宮家のためです。あなたはこの宮家の長女なのですよ。協力して当然です」
その言葉を般若のような笑顔で言う。
母親に逆らうことなど長女にはできなかった。
「おめでとうございます」
医師に言われ、皇太弟妃は飛び上がらんばかりに喜んだ。
そして、その勢いで皇妃に報告する。
「おめでとう。よく頑張りました。これであなたは皇妃が約束されましたね」
「ツクヨミ、あれは何じゃ?」
「余った受精卵とやらを腹を貸す女に入れたらしい」
「無事産まれるのか?」
「さぁ……」
「また、作るのでは?」
「こんなことで、子が産まれるのか……。あやつらが信じている神はそれを許しているのだな?」
「そのようだ。むしろ推奨しておった」
「あんなに作って、生まれたら……どうなるんじゃ?」
「あの国には、『影武者』という文化があるらしい」
「それは、この国にもあったが、それは、別人がなりすましておったぞ?」
「今はてれびとやらで、顔が知れ渡っていますからね。誤魔化せないようですよ」
「だから、同じ顔の子どもをつくるのか?」
「そのようですね。あとは、似ている顔の子だけ残す……」
アマテラスはギョッとして、ツクヨミを見た。
「恐ろしいことを口走らなかったか?」
「残念ながら、あやつらがやっている事実を言っている」
「あの子は少し違うようだが?」
「あの男が他所で作った子どもを連れてきたようです」
「この国の血ではないな」
「あの男もそのあたりは少し怪しいですよ。それにあの男の嫁がこの国の民ではありませんからね」
「そうか。どんどんと本来の流れとは違う方向に進んでしまうようじゃな……」
アマテラスはすめらぎを確認してみる。
すめらぎではなく、妃の言いなりになっているただの男だった。
アマテラスは皇太子の様子を見に行く。
皇太子妃はバッシングに耐えながら、我が子を守っていた。
「皇妃になるのなら、この母がよいのぅ……」
「姉者、もう抑えが効かぬ!」
スサノヲの声が響いた。
ツクヨミとアマテラスは慌ててその場に移動する。
「跳ねたか……」
「津波がくるぞ」
「抑えられるか?」
「無理だ。祈りが足りん。力が足りん」
アマテラスはただその光景を見ているしかなかった。
スサノヲは必死で波を抑えようとしていたが、範囲が広すぎた。
過去にもそこで津波が起こってしまったが、先人がその碑を立てていたはずだったが、民たちにはそれが伝えられていないようだった。
とんでもない人数が犠牲になった。
ツクヨミは魂の選別を淡々としている。
アマテラスはすめらぎの様子を見に行った。
テレビで津波の様子を見て、驚いているようだった。
昭和であれば、祈りを捧げ、余震を抑えようとしていたが、こやつにはそういう動きをするつもりは全くないらしい。
すめらぎに話しかけるが、全く聞こえていない。
仕方なく、皇太子のところに言った。
皇太子は驚いて口を開けたままになっていた。
その横で、利発そうな女の子はじっとアマテラスを見ていた。
皇太子妃には見えていないようだった。
皇太子の娘は、アマテラスだとわかり、膝を折った。
皇太子は我に返り、きちんとした礼を取る。
「代替わりを早くせよ。このままではこの国が滅びる」
皇太子はその言葉を聞き、口元を引き締めた。
横で娘は心配そうに父親を見ていた。
皇太子妃は二人の様子で何かを察したようで、娘の後ろで膝をついていた。
アマテラスは理不尽な思いをしながら、その場を離れた。
皇太子は父親であるすめらぎに面会を求めた。
そして、アマテラスに言われた事を伝えた。
しかし、アマテラスが何かわかっていない。
それでも、口調を荒げることなく、皇太子は説得を続けた。
「このままでは、日本がなくなります」
その言葉で、ようやくすめらぎは、皇太子を見た。
「儀式での祈りがアマテラスに届いていません。心当たりはありませんか? アマテラスはお怒りです。私が祈りを引き継ぎます」
すめらぎは頷いた。
それからは、皇太子が祈りを捧げる。
しかし、すめらぎではないため、力は弱い。
だが、前よりは確実にアマテラスに祈りは届いていた。
ある日、アマテラスは嫌な気配を感じ、ツクヨミを呼ぶ。
「眠っているはずだが、起こされているようだ」
「意味がわかってやっているのか?」
アマテラスはツクヨミを見た。
「わかっておらぬ。この地を我が物にしようとしている。この山を支配しようとしている」
「怒って当然じゃ。許す」
アマテラスは山に声をかけた。
山はその声に応える。
そして、穢を払うように、噴石を撒き散らした。
「姉上、被害がでた」
「そうか……その場にいたのが悪かった。運がわるかったのじゃ」
ツクヨミは、魂の選別をする。
この国の民は上へ。それ以外の民の魂はアマテラスには気づかれないように握りつぶした。
このことは、「山の神が怒った」と報道された。
そして、その山を聖地にしようとした団体名も明らかにされた。
それからようやく、すめらぎが退く事が決定した。
譲位が行われた日、アマテラスは天気を動かした。
振り続ける雨を止ませ、空には虹をかけ、すめらぎとその妃を明るく照らしたのだった。
そして、巫女の一族が動いた。
すめらぎに、儀式を行ったのだった。
それは、明治以来のことだった。
昭和は、もともとの力を恐れられ、正式な儀式は受けさせてもらえてなかったのだった。
「ようやく、祈りが届くようになった」
アマテラスは喜んだが、今後すめらぎの祈りを邪魔する連中がいることを鬱陶しく思った。
皇妃は上皇妃となったが、裏で皇室を牛耳っていることには変わりなかった。
象徴であるすめらぎが入れ替わっただけで、それ以外は入れ替わっていないのだった。
女性天皇を押す声は潰されていく。
天皇は男系男子でないと言う声があがっていった。
「あの作り物をすめらぎにしたいのか?」
「そうなれば、この国は、終わるな」
「終わらせたいヤツがそんなにいるのか」
「内側から引き込めば、ひとたまりもない」
ツクヨミはアマテラスを見る。
「とろいの木馬だったか?」
「ああ。完全に、内側からやられてる。すべてを抹殺するか?」
アマテラスはじっとツクヨミを見る。
「そうすれば、お前はもう、ツクヨミではなくなるぞ?」
「我を消せるか?」
アマテラスは首を横に振る。
「消したくはない。それに、スサノヲも……」
「呼んだか?」
スサノヲが現れた。
いつもの溌剌さがない。
「祈りが足りておらぬ」
アマテラスは思わずため息を吐いた。
「ああ……」
「様子を見よう」
まだ慣れぬすめらぎの力をなんとか使おうとしている、今のすめらぎ。
祈りの声が聞こえてきた。
「うむ。久しいな」
ツクヨミは目を閉じている。
すめらぎの声に唱和するように、声が二つ聞こえてきた。
スサノヲは目を見開き、二人の姿を確認する。
「姉者たちが守った魂か? 今のすめらぎより、上ではないか?」
「上じゃ。恐らく……桓武と同等であろう」
アマテラスは昔を懐かしむように、言う。
「だが、この国にその祈りに応えられるだけの祈りの力はない」
ツクヨミが言う。
「姉者?」
スサノヲが怪訝そうな顔をした。
「このままではすめらぎが負ける」
ツクヨミが横で頷いた。
「平成の世で、神社の祈りは半減になっておる。すめらぎの祈りはなかった」
「ああ、なかった」
「この三人でその祈りを取り戻せると思うか?」
「すぐには無理だな。この娘が皇太子にならないと、力は出ぬ」
「そうなると思うか?」
ツクヨミはすめらぎの周りを見た。
「命も狙われているのか」
「二人の弱点、妃を狙っているのじゃ」
ツクヨミはじっとアマテラスを見る。
「姉上、何を考えている?」
「姉者? 魂を分けようと考えておるのか?」
アマテラスはじっとすめらぎとその娘を見ていた。
呪いが飛んでくる。
すめらぎが妃を守っているようだった。
娘は生まれる前の加護で護られていた。
「予言というものがあったな……と思い出したところじゃ」
「日本が滅びるという?」
「そう。すめらぎが消えれば、この国はもう日本ではない」
「姉者、どうするつもりじゃ?」
「ツクヨミ、あの三人の魂を守れるか? 輪廻の輪に乗せれるか?」
「乗せれるが……」
「あと、助けねばならぬ者はわかっておるか?」
「ああ。把握できてる」
「予言を成就させよう」
ツクヨミとスサノヲは目を見開いてアマテラスを見た。
「それは、この国だけでなく、この星も滅ぼすということで間違いないか?」
アマテラスはうなずく。
「他にも祈りを捧げてくれている人はおる。じゃが、このままだと彼らの魂までが傷つけられてしまう。次の世に。次のアマテラスの世にその魂を……」
アマテラスはそう言い、ツクヨミを見る。
「亀裂を入れれば、もう誰も止められない」
「いつ、やる?」
「この7月に」
ツクヨミは頷いた。
「7月5日。隕石か?」
「そんなものは周りにおらぬ。落としてくるんだろうな」
スサノヲはそう言って上を見た。
地球の周りを回っているゴミや、衛星を。
「なんなら、月も落とそうか?」
ツクヨミがにやりと笑う。
「それは、最後だな。どういう影響があるのか、わらわにもわからん」
アマテラスは笑った。
「一部の民に、今の記憶を持たせたまま転生させよう」
「それがいい。同じ失敗を繰り返してはならぬ。あの女が皇太子に嫁がなければ、こんなことにはならなかった」
アマテラスは悔しそうに、言った。
「だが、次の世に、口出しできぬ。悔しいのぅ……」
「なら、その魂を消滅させるまで」
「この星とともに」
三貴神は、心を決めた。
予言予言と、滅亡の予言をしてくる。
1999年7月には何も起こらなかった。
その次は、2012年。
外れたら、また次の予言を探して来る。
2025年7月5日。
時間まで指定されていた。
そんなにこの星を滅ぼしたいのか?
なら、期待に応えようでないか。
すめらぎは祈りを捧げていた。
どうように、破滅を導かないように祈りを捧げている人達もいた。
予言を全く気にしていない人達もいる。
その中で、人工衛星を決めた座標に落とすことに躍起になっている人達がいた。
混乱した日本を、我が物に。
「祈りの地を穢した罪、その魂で償ってもらおう」
先に動いたのはツクヨミだった。
まず、救うべき魂をすべてすくい上げ、輪廻の流れに乗せた。
「姉者、やるぞ」
「思う存分に、やれ」
アマテラスはツクヨミとスサノヲを見た。
「また会うことがあれば……」
ツクヨミが頷き、スサノヲは泣くのを我慢していた。
「わらわは……潜る」
アマテラスはそう言うと富士山頂に立った。
九州よりその先で白い光が落ちてくる。
いや、赤いか?
「魂は救い終わった」
思ったより、ツクヨミの仕事は早かった。
これからのツクヨミの仕事は、これを企んだモノたちに、これから起こる恐怖をたっぷりと味わわせることだった。
ズウン……。
地に人工衛星が落ちた。
予定では隕石だったのだろうが、残念ながら、第一の大姫によって取り除かれていた。
アマテラスは、富士山に潜った。
どれぐらいで津波が届くだろうか。
その前に、こちらが地震でどうなるか……。
スサノヲは4つのプレートの境目にいた。
人工衛星が落ちたことは振動でわかっていた。
昭和の祈りで、ぎりぎりのところで保っていた均衡を、人差し指一本であっさりと崩す。
プレートが跳ね上がった。
そして、細かく振動する。
また、跳ね上がる。
その振動はアマテラスに伝わる。
「地の叫びを聞け。愚か者たちよ」
アマテラスのその声は、生きている人間全員に聞こえた。
人工衛星を落とすスイッチを入れた人物は、首を傾げた。
日本列島が地震で揺れ、富士山が噴火した。
その勢いで、日本列島は真っ二つに割れる。
人工衛星が落ちて起こった津波は、日本の地震で起こった津波で相殺された。
しかし、更に、大きく日本列島が揺れ、新たな津波を起こす。
「日本が自滅していった」
そう喜んでいる国があった。
アマテラスやツクヨミ、そしてスサノヲの覚悟をその国の人は知らない。
アマテラスは更に深く潜っていく。
そして、地を更に震わせた。
スサノヲは大波を合わせさらに大きくし、陸地へ向ける。
ツクヨミは、それを企んだ人間たちをその場に押し留めた。
逃げようがない。
建物は水に沈む。
ガラス窓から見えるのは、黒い液体。
時々人の姿が、窓ガラスに張り付く。
中にいる人は体が全く動かない。
ツクヨミは上を見た。
そこにも人がいるのだった。
「ああ、月に着陸したいと言っていたな」
ひょいと人差し指を動かすと、人が乗っている人工衛星、宇宙ステーションというものが彼らの意思を無視して、地球から遠ざかっていく。
「太陽のほうがいいか?」
ツクヨミは少し方向を変えた。
「それがいいな。アマテラスの怒りに触れろ」
そう言うと、次は自身の分身でもある月を呼び寄せた。
「どこに落とそうか」
なるべくアマテラスがいるところには落としたくない。
ということで、アマテラスがいるところと真逆の地に落とすことにした。
月が動いたことにより、地球のバランスが少し狂う。
ポールシフトが起こった。
ひっくり返るのは一瞬だった。
「あ、狙いが変わったか?」
ツクヨミは冷静に月の軌道を修正する。
あちこちで悲鳴が聞こえる。
「まだ生きているのか」
今いるのは救うつもりがない魂だ。
だが、そのうちのいくらかは輪廻に乗るのであろう。
「面倒な」
この記憶を持ったまま、転生するのだろうか?
また、新たな伝説を産み、それがさも過去にあったかのように伝わるのだろう。
その星でない歴史が。
「させるか」
ツクヨミは、恐怖に慄いている魂を徹底的に潰していく。
「転生させない」
どれぐらいの時間がたっただろうか。
月が地球の周りを回ってはいるが、接触するギリギリのところを保っている。
地球はドロドロの状態になっていた。
火山は火を吹き、氷は溶ける。
地球の7割を占めているという海は、恐ろしい高さと速さで大陸を襲っていく。
人も、ビルも山も、すべて飲みこんで行った。
青く澄んだ海は存在していない。
世界一高いと言われていたエベレストは崩れている。
幸か不幸か、その山にいた人達はぎりぎりのところで生きのびていた。
「第一の大姫、申し訳ありません。この星を……壊します」
アマテラス、ツクヨミ、スサノヲの最後の言葉だった。
月が地球に、落ちた。
落ちたのは、かつてエベレストと呼ばれた山だった。




