八話 必要
サボっててすみません
昨日までとはもう違う
何もかもが変わった
何もかもが
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四限目が終わり昼休みになった
たいてい一人で何も考えずに弁当を食べるのだが今日はいつもとは違っていた
「よっ、シズ行こーぜ」
俺のたった一人の友達が話しかけてきた
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「今日からこのクラスに新入生が入ってきます、皆仲良くしてあげるように」
担任のその言葉のあとにそいつは入ってきた
緑色の髪、少し焼けた肌、俗に言う陽キャって言う感じがした
「どうも、東雲東って言います、できるだけ多くの人と関わりたいです、よろしくお願いします」
にこやかに話すそいつのことでクラスは盛り上がっていた
かっこいいとか、仲良くしたいとか、いいやつそうとか
うざい
俺がその時思ったことといえばそれぐらいだ
「じゃあ東雲は、、、えーっと、、、」
先生は俺を指さしながらそう言った
俺の席の後ろは夏休みの時から開いている
なにかあったのだろう
行方不明だ
まあ、デリケシーのかけらもないようなこの担任ならどうせこの席を指定するのだろう
「、、、水溜です」
どうせ、俺の名前が分からなくて困っているんだろう
「ああ、そうだ、よし東雲、お前の席はあいつの後ろだ」
ほら
結局そういうことだ
俺はあいつから見たら生徒としては見えていないんだろう
他のやつからもそうだ
きっとこいつも
「えーと、水溜君だっけ?よろしく」
「、、、よろしく」
他の奴らと一緒だ
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まあ、そうではなかったからこうして一緒にいるのだけど
「うん、いこ」
俺はこいつが他の奴らに変な噂を立てられないように先に移動する
屋上だ
鍵は開いておらず入ることも禁止とされているが
「すみません、いますか?」
「ああ、水溜君かな?今開けるね」
そう彼は言うと扉の鍵を開けてくれた
赤坂和也
数学教師であり、いつも昼休みの時間この場所で時間を過ごしている少し変わった人だ
彼とあったきっかけは何もかもが嫌になってクラスから逃げていたときだった
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もう嫌だ
こんな場所
こんな生活
もう
何もかも
何もかもが
「あれ?授業中だよね?どうしたの」
、、、見つかった
事情を説明すると彼はついておいでと俺を誘った
そこで屋上に初めて足を踏み入れた
「嫌なことか、、、僕もしょっちゅうあるよ、、、 ほんと多すぎて嫌になっちゃうくらいね」
大人は子供よりも酷い環境に暮らしている
いじめはパワハラになり
勉強は仕事になる
寝る時間は遅くなり
何もかもすべてが自分の責任となる
そんな環境に身を置いているからだろうか
彼の言葉には重みがあった
「なにか嫌なことがあったらここへおいで、僕昼休みの時間はここで過ごしているから」
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「今日は東雲君と?」
「はい」
あのことがあってから彼にはよくお世話になっている、この一週間に一度のペースで東ととる昼食の場所としてだったり、悩みを聞いてもらったりと
そう言ってあると彼は来た
「ごめん、おまたせ」
弁当と小テストの追試範囲の紙を持って彼はやってきた
また落ちたのかよこいつ
いつまでも懲りないなと思いつつ、まあこいつらしいかと思いもしてしまった
「また追試かい?東雲君」
呆れたような笑っているようなそんな口調で先生は話した
「はい、、、なあ、シズお前科学得意だったよな、教えてくれね?」
「他よりってだけで決して得意ではねぇけど、まあいいや」
誰かに必要とされる
昨日のことがあってからこの感覚を感じるたびに何か、自分の嫌なことが抜けていくような気がした
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6限目が終わり俺はすぐさまあの場所に向かっていた
屋敷だ
いつもより早く走ったからか俺の額にはかなりの量の汗が出ていた
でもそんなことどうでもいい
今はただ
彼女に会いたい
なんでだろう
まだあってから一日も経ってないのに
早く
今すぐにでも
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、、、
玄関に
血の跡が
引きずられて
できたような
それは
俺が
昨日話した部屋に続いてて
その部屋に
彼女は
横たわっていた
体を赤く染めて