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二話 消失

「、、、、え」


普段目にしないものや危険を感じた時ってほんとに何も声が出ないんだなって

おかあさんは糸が切れてしまった操り人形のように倒れていた

その背中には何かで切り裂かれたような傷があり、今もその部分から血があふれ出していた

私はあおびえながらも確認した

まだ生きているかも

まだ助かるかも

そんな希望を抱きながら

でもその行為で得たものはおかあさんが死んでいるという事実だった


「、、、あ、、あああああ、あ、あ、あ、ああああああああああ」


人はいつかは死ぬ

でも

こんな死に方、、、


「あ、あ、、、あんまりだよ」


涙が頬を通る

その時

台所からキイと物音がなった

心臓の鼓動が早くなる

私の本能はその場から逃げろと叫んでいる

でも

私はただ立ち尽くすことしか出来なかった

お母さんが死んだ

非現実的すぎるその事実は私の体の自由を奪うことなんて造作もなかった

そして

そいつは姿を現した

、、、

バケモノだ

見た目は人みたいだ

でも

その終点の合わない目

変色している肌

何より

そいつの腕は刃物のように鋭くとがっていた

これが

こいつが

おかあさんの命を

奪った

、、、、、

心が冷え切る

こんな

こんな思いをするのは、、、



///


寒い

寒いよ

ねえ

誰か


「大丈夫?」


///


「、、、ははは、、、」


そんなこと思い出すんじゃねえよ

足音が近づく

あいつが

でも見えない

いつの間にか私の目は涙で満たされていた


「助けて、、、助けてよ、おとうさん」


そのとき

家の扉が勢いよく開いた

そこにいたのは


「おい!大丈夫やったか?」


おとうさんだった

その手には


「、、、未奈、屈め」


私はその言葉を聞き咄嗟に身を縮めた

ダンッ

そんな音が物の焦げる匂いと共にやってきた

そして

カイブツは死んだ

その額に穴を開けて

打ったんだ

おとうさんが拳銃で打ったんだ


「おとうさん、、、」


「、、、すまん俺のせいや、、、なあ、本当に大丈夫か?」


大丈夫なわけあるかよ

おかあさんが

おかあさんが家に帰ったら死んでいたんだよ?


でも

そんなこと言えない

おとうさんも同じだろうから、、、


「、、、大丈夫だよ」


「そうか、、、」


、、、、、

沈黙が

私たちを包み込む


「ねえ、兄貴」


そこにいたのは綿菓子のような色の髪の女性だった

その目は明らかに動揺しており

その顔は血の気が引いていた


「あ、あっちで、、、赤坂が、、、」


「そう、、、か、、今行く、、未奈、、、これ持っとけ」


しっかりと手渡されたそれはナイフだった

ギラリと光るその刃は

あのカイブツと同じように殺意を放っていた


「お、、、おとうさん?行っちゃうの、、、」

おとうさんが今ここから離れてしまう

嫌だった

一人じゃ

寂しいから

辛いから

何より

自分の中のナニカが暴れてしまいそうで怖かったから


「、、、未奈、俺は、、、やらんとあかんことがある、、、もし外が安全になって動けそうやったら、、、俺に電話かけてこい、それまで、、、それまでは待っててくれ」


行かないよ

お前の傍にいるよ

そういってほしかった

でも


「、、、うん、、、」


迷惑かけちゃ

駄目だよ

だって

いつも

いつもいつもいつも

迷惑ばっかかけて

その度に助けてくれて

励ましてくれた


「、、、急いでるんでしょ、早く行ってあげて」


「、、、、、ありがとう」


そしておとうさんとその女性は行った

私は玄関で突っ立ていたが怖くなってきて台所に向かうことにした

作りすぎたかな

フライパンの中のチャーハンはとっくに冷め切っていた


「、、、」


///


おい!大丈夫か?楓!水筒!


寒かったでしょ、これ飲んで


////


今日からここで過ごすんやで


何かあったらすぐに教えてね


/////


大丈夫や俺がお前を守ったるから

傍にいたるから


///




「、、、嘘つき」









、、、

長い時間が立った

何か外で物音がするたび私の体は縮こまった

もう


嫌だ

怖い

一人は嫌だ



その時扉が開く音がした

帰ってきた

おとうさんが帰ってきた

そう思った


「おとうさん!」


でも

そこにはいなかった

そこにいたのは


「やあ、クリオネ」


男だった

いたって普通の男に見えた

長いコートを羽織って何かの袋をもっている男

ただ

その服は血で汚れており

髪は青く染まっていた


「、、、誰?」

こんなやつ記憶にない

あったことないはずだ


「、、、そっか、まだ未奈のままなんだね?」


そいつは持っていた袋から何かを取り出した


「え、、、」


それは

刺青のはいった

腕だった

それは


///


俺の仕事?、、、あんま大きい声で言えへんけどな

ヤクザっていうねん

お前は俺みたいなやつになるなよ?

///


お父さんの腕だった


「あ、あ、あ、あ、ああ、あ、ああ、あ、、、」


「クリオネ、起きて」


あああああ、ああ、あああああ、ああ、あああ、あああああああああああああああああああ、あ、、あ、、あ、、あ、あああああああああああああああああああああああああああ




、、、、、、

私今日ね


大事なもの


たくさん失ったよ


おかあさん


おとうさん


日常


だから


そんなんだから






「、、、は?」




もう

我慢しなくても

いいんだなって



ー異能力解放ー

予知夢

を捨て

獲得しますか?


うん


、、、能力獲得


「フリーズ」

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