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第34話 ステータスカード再び〈その2〉

■ 冒険者ギルド・トリーシティ支部・局長室


僕はいま、局長室のソファーに座っていた。


「失礼いたします」


「あ、ありがとうございます……」


メイド服姿の女性が、紅茶とクッキーを丁寧に差し出してくる。

……異世界にもメイド服ってあるんだな。どこか懐かしいような、でも場違いなような、不思議な感覚だ。


しかし、カップから漂う香りは、まるで花園のように甘く広がる。


「遠慮せず飲むといい。この紅茶は町で一番の茶葉を使ってる。香りも味も保証つきだ」


穏やかながらもどこか圧のある声。

僕の正面に座るのは、ここのギルドのマスター――ドレシア・リーンだ。


「は、はい……いただきます」


――って、紅茶どころじゃない!


なぜ僕は呼び出されたんだ? 昨日のトラブルの件か?

まさか、ギルド出禁とか……!?

でも……カリーナさんは、僕たちに非はないって言っていたし……


ティーカップを持つ手がカタカタ震える。


「まぁ落ち着きたまえ。そうそう……これは、リラックス効果もある茶葉だ」


全然リラックスできません!! って叫びたいけど……怖くて無理。


「あ、あの……僕、これからちょっと用事が……」


逃げ口上を作って立ち上がろうとした瞬間――


「なぁに……すぐ終わるさ」


あっさり封じられた。

……この人、絶対ただ者じゃない。


ドレシアは机の上に置いた魔導端末に視線を落とし、淡々と呟いた。


「ふむ……君は“パラディン”、総合評価AA(ダブルエー)か。なるほど……」


「……あ…あの…… ダブルエーって何ですか?」


素朴な疑問に、彼女はニヤリと笑う。


「なんだ、知らないのか? これは冒険者の総合評価だ。

攻撃力・体力・魔力・スキル……すべての要素を数値化して、総合でランクが決まる」


フォン!!


「うわっ!!」


そして、机の上にホログラムが映し出される。

いきなり飛び出たので、少しビックリしたが……


-----------------------------------


◆〈冒険者ランク評価一覧〉


SSS(5000以上)

SS (2000以上)

S+(1000以上)

S (500以上)

AAA(350以上)

AA (200以上) ← カケルここ!

A+(150以上)

A (100以上)

B (90以上)

C (50以上)

D (25以上)

E (10以上)

F (5以上)


-----------------------------------


「つまり、君は“200以上の能力値”が複数あった。だからAA(ダブルエー)扱いだな。」


「……はぁ……?」


まさかの高評価。

ちょっと待って、そんなはずは――


僕は慌ててステータスを開いた。


-----------------------------------


【ステータス・表示が更新されました】


カケル・クルマダ(14)


職業:パラディン Lv.2 (UP↑)

生命力:340 (UP↑)

魔法力:290 (UP↑)

攻撃力:250 (UP↑)

防御力:220 (UP↑)

機動力:250 (UP↑)


属性: 火・水・風・土・光


■ 攻撃魔法:

ファイヤーランス (Lv.2)

ウォーターショット (Lv.2)

ウインドブーム (Lv.2)

ガードウォール (Lv.2)

スパイラルボルト (Lv.2)


■ 回復魔法:

ハイヒール(完全回復)

クリアポイズン(毒消し)

ラテラル(麻痺除去)


■ スキル

剣技(Lv.1)

魔法操作(Lv.1)

ジャックナイフ(Lv.1)

トレース (Lv.2)

マップ (Lv.2)

フィールド (Lv.2

ゲート (Lv.1)


■ EXスキル: フルドライバー

■ 称号: 女神の祝福・神々の加護

■ 所持金: 金100枚・銀300枚・銅500枚


-----------------------------------


「ぶはっ!!」


紅茶を盛大に吹き出した。


「お、おい、大丈夫か!?」


「ゲホッ……ゲホッ……す、すみません! 変なとこに入って……!」


〈なんだよこれ!? いつの間にこんなに上がってんだ!?〉


僕は目を疑った。

回復系以外はかなり上がっている……

数値が全部200越え……そりゃAA(ダブルエー)にもなるわけだ。


(ま、まさかセリカ様……またやっちゃいました?)


女神の“ちょっとだけ”は信用してはいけない。色々なところで……知らぬ間に変化させらている事に……僕は脅威してしまう……


ドレシアはそんな僕を見つめ、口元をわずかに緩める。


「なるほどな……ラックの言ってたことは本当だったか」


「ラック……さん?」


「昨日、彼が言っていた。“変わった少年を見たら面倒を見てやってくれ”とな」


〈ラックさん……僕のこと、そんなふうに……〉って……変わった少年ってなんだよ!!


ほんの少しだけムスッともしたが、ラックの気遣いにも胸が熱くなった。


「安心しな。呼び出したのは、君をどうこうするためじゃない。ただ――確認のためさ」


その言葉に胸を撫でおろす。

……と思った矢先。


「だがな、このままカードを渡すわけにはいかん」


「なっ!?」


「規定では、初期登録者がA(エー)ランク以上を持つことはできない。セフィーロですらC(シー)ランクから始めたからな……」


「セ、セフィーロ……あの剣姫の!?」


「そうだ。だが君は、それ以上だ」


思わず背筋が伸びた。

まさか“剣姫越え”なんて言葉が出るとは……。


「では……どうすればいいんですか?」


「――ある条件を満たせば、特例でA(エー)ランク認定にできる」


「おおっ!」


希望が見えてきた!!


「簡単なことだ。私の仕事を、手伝って欲しい……」


「……へ?」


ドレシアの目が、いたずらっぽく細められる。


次の瞬間、僕の背筋に冷たい汗が流れた。


――また面倒なことに、巻き込まれそうな予感がした。

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