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第15話 エージェント

「ミラージュ様、アン様……お二人にお伝えしなければならない事があります。」


セナさんの態度が急に変わりました。その瞬間、これは重要な話だと直感しました。


そして、私とアンは静かに言葉を紡ぎました。


「貴方たちを襲った野盗は再び現れます。」


「えっ?……ちょっと待って!!あの時、あなたが倒した野盗で終わりではなかったのですか?」


「はい……残念ながら、彼らは再編成し、この屋敷を狙う為に出撃します。」


「そんな……」


衝撃的な事実が、私の心に重くのしかかります。恐怖で頭が真っ白になり、顔は青ざめ、力が入らなくなってしまいました。そして……


ふら〜


「お嬢様!!」


意識が薄れ、倒れそうになったその瞬間……


バシッ!


〈あ、あれ?倒れていない?〉


「大丈夫ですか!!ミラージュお嬢様!」


私を支える温かい手がありました。

そう……セナさんが、私を優しく抱きしめてくれたのです。


「申し訳ありません……分かっていたはずなのに……まさかここまでとは…」


「ハァ……ハァ……ご、ごめんなさい……大丈夫だから……」


「いいえ、一度お部屋に戻りましょう。話はその時にでもよろしいですか?」


「う、うん……」


「ありがとうございます。それでは……」


ヒョイ……


「え?……」


「失礼致します、ミラージュ様……」


セナさんが、まるでお姫様のように私を抱きかかえてくれたのです。


カーーーーッ


「え?え?え!?」


先ほどまで青ざめていた私の顔が、抱き上げられた瞬間に真っ赤に染まり、体が熱くなっていくのを感じました。心臓がドキドキと高鳴り、何が起こっているのか、全く理解できませんでした。


「アン様、ミラージュお嬢様のお部屋を案内していただけますか?」


「は、はい!!ご案内致します。」


「わ、私は……だ、大丈夫……ですから降ろし……」


「駄目ですよ、ミラージュ様……今も顔が赤いし、体も震えているではありませんか。これは怖くさせてしまった私の失態です……」


「いえ、これは怖くてではなく……」


「???」


〈わ、私……何言ってるの……〉


お姫様抱っこでドキドキしてるなん……恥ずかしくて……とても言えませんでした……


「オッホン……お話中申し訳ありません……」


「は、はい……」


アンは、そんな私を見かねたのか……セナさんに問いかけてきました。


「貴方様は、何故その様な情報をお持ちなのですか?」


〈そうだ……何で……そんな事を知っているの?よく考えたら……私はこの人の事をよく知らないし……〉


どこから来て、どんな方なのか……それに、何でそんなに詳しいのか……?

全て謎に包まれている、この人は一体……そんな疑問ばかりが頭から離れませんでした……


「えっと……それも踏まえてお話を致しますので……ミラージュ様のお部屋までお待ちください……」


お屋敷の長い廊下をそう言いながらバツの悪い顔で歩き始めました……

そして、部屋に着き私をベッドに寝かしつけ……


「あ、ありがとうございます……えっと……」


「セナで構いませんよ。」


「で、では……セ…セナ様?」


「様……も不要なのですが……」


「なら……セナさん……」


「呼び捨てでも構わないのですが……」


「セナ様……お嬢様もそう言っていますので宜しいかと……」


「わ、分かりました……それでは……本題に移りますが……」


「ゴクリ………」


私は、彼の話を受けとめようと覚悟を決めました……しかし彼の回答は……とんでもないものでした……


「実は、襲撃があるとは伝えましたが……実は特に問題はないので安心してください♪」


「へぇ?」


私は再び首をかしげてしまいました……


「と、特にって……セナ様、ちょっとお待ち下さい。先程…野盗がお屋敷を襲うとおっしゃっていたではありませんか?それだけでも危険なのに……」


アンは拍子抜けた回答に異議を申し出ました……


「う〜ん……どこから話をしたら良いか……」


セナさんは、唸りながら説明するのに悩んでいました……


「えっと……僕はとある諜報機関の人間なのですが……」


諜報機関とは……

国家機関の観点から情報を収集・分析し、政府首脳に報告する政府機関のことを示しますそうです……


「私は、機関に所属しているエージェントになります……」


「エージェント?」


「はい……そこに、ある情報が流れてきました。」


「ある情報?」


「はい……それは、国家政治に関与している人間の廃除……」


〈!!!〉


「は、廃除!!」


「この手の事件は、本人を狙うより、関係者を狙うケースが高いらしいのですが……」


「つまり……今回……私達が襲われたのは……」


「恐らく、誘拐して脅迫するもしくは……王国に対する揺さぶり……かと……」


「なら、なおさら……安心できる要素が見当たらないのですが……」


アンの疑問も当然と言えば当然で……例え諜報機関のエージェントでも……襲撃=安心に決してならなかったのです……


「確かに……これだけだと……納得して頂くには情報が少ないですね……では……少し私の事をお話しましょう。ただし、今から話す事は他言無用で……」


「タゴンムヨウ……?」


私は聞き慣れない言葉に少し躊躇ちゅうちょしてしまいました……そして……


「えっと……つまり誰にも言ってはイケナイ内緒のお話です……」


「イケナイ……内緒……」


〈ドキドキ〉


私は【イケナイ】に少し反応して……恥ずかしいような……聞いてしまって良いのか……思春期の女の子の様な反応をしてしまいました……


「はい……秘密にします……お嬢様も宜しいですね?」


「う、うん…」


「分かりました……では……ここだけのお話で聞いていただきます。」


流石アン……冷静な対応……そして……本題に入ることに……


「ありがとうございます。では……」


ドキドキドキドキ


「あ、あのミラさん……そんなに緊張されると……コチラも話しづらいのですが……」


「はっ!!ご、ごめんなさい!」


「はははっ……では、改めて……」


「実は……私……未来が見える【未来予知能力】のスキルを持っているのです!!」


〈未来予知能力…………〉


〈…………………………〉


〈えーーーーー!!ッ!〉


私とアンは……ただただ……驚くだけでした………

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