1 新しい日々
「...帰るか。」
アニメのような不思議な体験をし、瞳に映る世界の色を少しだけ取り戻した僕は、柚木が待つ家へと向かう。駅の改札を通り、ちょうど来た電車に乗り込む。ここから電車で家に向かうには、30分くらいかかる。
電車に乗って5分くらい経ってから、僕は今になって我に返ってきた。
「絶対飲んじゃダメなやつだったよな...」
...今からでも吐き出したほうが良いのだろうか。
そもそも、ここは現実だ。アニメの世界でも漫画の世界でも、コ〇ン君が住んでいる米花町でもない。じゃあ、アレは何だったのか。
「まぁ、”ラッキースケベな体質”なんて、あるわけないな。」
僕は、さっきのことをいったん忘れることにした。今はやらなければならないことが山ほどある。
まず、これからの生活。僕は来月から高校1年生。柚木は中学1年生。まだまだ大人の手を借りないと生きていけない年齢だ。今は、5階建ての、アパートとマンションを足して2で割ったみたいなところに住んでいるが、もしかしたら、そこも離れないといけなくなるかもしれない。お金だって必要だ。僕もできるだけバイトをして稼ごうと思っているが、それだけでは生きていけない。そういうことも全部含めて、1週間後、祖父母の家で話し合うことになっている。
そんなことを考えていたら、目的の駅に到着した。改札を出て、家の方向へと舵を切る。10分くらい歩いて、家に着いた。ポケットから鍵を取り出しドアを開ける。
「ただいまー...」
柚木からの返事はなかった。きっと自分の部屋で泣いているのだろう。今はあえてそっとしておくことにした。僕も本当はとても悲しいし辛い。でも、兄である僕がしっかりして、柚木を支えてあげないとだめなんだ。
まずはできることをやろう。そう考えて、柚木に晩飯を作ってあげることにした。最近はカップ麺とか、そういうものしか食べてなったから、久しぶりにちゃんとした食事をしよう。柚木は母さんの作るオムライスが大好きだったはず。母さんみたいにうまく作れるかはわからないが、少しでも元気を出しほしい。その一心で料理をする。
「...できた。けっこうむずいな。」
初めての料理にしては上出来。完成したオムライスをお盆にのっけて、柚木の部屋のドアの横に置いておく。今は無理に部屋から出させてもダメな気がしたからだ。
「柚木ー。晩飯、ここに置いとくから、食べたくなったら食べろよー。」
ドアの向こうからは何も聞こえない。僕はその場を離れて、自分の部屋へと向かう。今日はもう寝ることにした。
「今日はいろいろあって、疲れたな...」
ベットに横になった途端に、ぐっと疲れが押し寄せる。
「明日はどうしようか...」
そんなことを考えながら目をつむっていたら、いつの間にか僕は眠りについていた。
こんばんは、魚原です。今回も僕の作品を読んでくれてありがとうございます!今気づいたんですけど、僕の作品って、めっちゃ短いんですかねもしかして。書き終わった後に、誤字脱字がないかチェックするんですけど、すぐ読み終わっちゃうんですよね。...でも、この短さを活かして...「隙間時間にサクッと読める小説」というコンセプトにしようかな。...本当のことを言うと、僕のポンコツ頭では、このくらいの長さの物語を書くので精一杯なんです。...はい。いい感じに誤魔化そうとしてすいません。