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朝2

「レイア様、起きてください。もう朝ですよ」


レイアの泊まる部屋の前に立ち、扉を叩く

が、返事はない

カリンが部屋に入っても駄目だったと言っていたので、きっとどれだけ扉の前で呼びかけても無駄なのだろう

寝ている女性の部屋に勝手に踏み込むのは気が進まないが、仕方がない


「……レイア様、失礼しますよ」


一応そう断りを入れて、俺は扉を開けた

瞬間、全身に電流が走る

窓から差し込む暖かい朝の太陽が、レースのカーテンに遮られ木漏れ日のようにきらきらとした模様を描いていた

光の落ち込む先―――ベッドの上に仰向けで横たわる、真っ白で肉付きの良い肢体

薄手のネグリジェに身を包み、すらりと伸びた手足は良くできた彫刻のように美しい

何よりその―――


「でか過ぎんだろ……」


何よりその胸

何よりそのおっぱい

仰向けの姿勢で横に流れても尚その存在感をありありと示す二つの肉塊が、俺の瞳孔を焼き、網膜を通じて脳の奥へと刻まれてゆく

神は我らの罪を許されたのか

汝その祝福を尊び、神を称えたもう

アーメン


「……いやいやいやいや」


あまりの神々しい光景に停止しかけた思考を、頭を振って呼び戻す

長くこの空間にいるのは危険だ

いかにタヌキおやじの娘といえど、このおっぱいは危険すぎる


「……レイア様……起きてください」


彼女の傍らに立ち、再度声をかける

が、やはり起きない

こうなれば、不本意だが仕方がない

俺は彼女の肩に手を置く

なんてことはない、ただ少し揺するだけ

試験に間に合うように起こすため

決してその胸を揺らしたいわけではない

揺れるおっぱいを見たいわけではない


「ほら、いい加減起きないと試験に―――」


俺は彼女の身体を優しく揺する

刹那、視界が急にぶれる

何が起こったか、一瞬分からなかった

肩に置かれた手を鬱陶しそうに払い、寝返りを打ったレイア

彼女の裏拳が身体の捻りとともに俺の顎先に飛び、脳を揺らし、俺を地面に倒れさせたのだ


「こ、コイツ……?!」


レイアはまだ寝ている

が、その手足はまるで別の生き物のように動き続け、しばらくの間空を彷徨った後、近くに敵がいないのを確認したかのようにおとなしくなった

俺はカリンの言葉を思い出す

殴られそうになった、というのは、比喩ではない

こいつは本当に殴ってくるのだ

それも尋常ではない膂力で

これが鞄2つでヒィヒィ喘いでいた人間と同一人物なのか?


「クソ……!」


壁に手をついて何とか立ち上がるが、一撃をまともに貰ったおかげで、まだ少し視界がぶれている

全く反応できなかった

よそ見していたとはいえ、速さとパワーが尋常ではない

危険だ

となれば……

傍にあった帽子掛けのポールを手に取り、槍のように構える

なんてことはない、ただ近づかなければいいだけのこと


「レイア様!!起きてください!!試験に行きますよ!!」


俺はポールでレイアの脇腹を突き、身体を揺らした

レイアはポールを抱えて身体で巻き取るように抱えた後、俺に向かって突き返す


「ガヒュッ?!」


胸に直撃するポール

再び揺れる視界

肺の空気が押し出され、しばらく呼吸ができなくなる


「こ、この……」


ベッドを見るが、レイアは相変わらず眠っている

これで起きていない?

ふざけるな


「いい加減に……!!」


優しく起こしてやりたかったが、こうなれば加減はできない

ベッドの上のレイアに飛び掛かる

近づいても駄目、引いても駄目

なら残された道は1つ

密着し、寝技で制圧する!


「起きて下さい……!起きてッ……!!このッ!!起きろ!!!」


縦横無尽に振り回される手足をかいくぐって馬乗りになり、片腕を彼女の首の後ろから背中へ、もう片方の腕は脇の下から回し、しっかりと組む

これで腕と頭は固定された

暴れる両足に足首を絡ませ、胴体で身体全体を抑える

東方の柔術、縦四方固めである


「手間ァかけさせやがってェェェェエ!!」


尚も暴れ続けようとする身体を抑え続け、ふと人の気配がしたので扉のほうを見ると―――


「……わお」


部屋の扉を開け、顔を赤くしてこちらを凝視するカリンの姿があった

今の俺たちは、不本意だが客観的に見て、全身で密着し、もぞもぞと身じろぎしながら、くんずほぐれつしている訳で


「か、カリン……違うんだ、これは」

「ごゆるりと……」

「カリン!!待って!!手伝ってくれ!!!」


カリンは迅速に扉を閉め、ご丁寧に施錠までして下の階へと駆け下りていった

何かわからないが、大切なものを失った気がする

迅速に誤解を解かなくては

溜息をつきながら、レイアのほうへ向き直ると


「こ、これは一体……?」


ばっちり目が合ってしまった

いつから起きていたのだろうか


「お、おはようございます……?」


彼女は至近距離にある俺の顔を見て、自身の身体の状態を見て、再び俺の顔を見て

怒りと羞恥の入り混じった表情で、茹蛸のように真っ赤になっていく


「お、お戯れを……?!」

「ち、違いますよこれは?!」


慌てて俺が身体を離すと同時に


「えっち!!!」


彼女の正拳が俺の眉間に直撃した

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