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ティーンズ・ショーンズ〜光の人〜  作者: わたなべみゆき
3/19

告白

 翌日の放課後、たかしが部室へ行くと岡村はもうすでに来ていた。

「大事な話っていうのは、坂元のことなんだ」

 たかしは、岡村の口から出た思いがけない言葉に驚いた。


「坂元のとこのおばさん、重い病気なんだって」

「えっ!」

「しかももう長くないって」

「それで坂元は部活休んでるの」

「そう。学校が終わると、ほとんど毎日病院へ行ってる」

「そうだったのか。何も知らなかった」

「学校で市っているのは、ぼくとたかしと担任の村松だけ」

「村松先生なら頼りになりそうだね」

「うん。漫才同好会を結成する時も、すごく力になってくれたしね。今も一週間に二回は坂元の所にいってくれてるんだって」

「だけど、坂元、辛いだろうね」

「たぶんね。ぼくと話す時は元気にふるまってるけど。坂元は練習に出て来れないことを、すごく気にしてたよ。

 昨日の収録は参加したけどね。だから、ぜひたかしにも来てもらいたかったんだよ」

「ご…ごめん」

「たかしは、同好会結成の時からいろいろと協力してくれてるし、時どきだけど活動にも参加してくれて、すごく感謝してる。坂元もそう言ってた。

 だからさ、もう少し部員が増えるまで一緒に頑張ってよ。だれか同好会に入りそうなやつはいないかな? いたら紹介してよ。

 そう言えば、たかしのクラスに二か月前、大阪から転校生が来たよね。その人誘えない? 本場大阪の人間ならおもしろい奴なんじゃない?」

「……。ちょっと、ちがうかな。それに宮田君…」

「宮田君て言うの、その転校生。それで、その人がどうかしたの?」

「ううん。何でもない。だけど、漫才って感じじゃない」

「そうか。でも人って見かけによらないからな」

 

 たかしは、家に帰ってからも気持ちが重かった。坂元のおばさんの病気のこと。漫才同好会のこと。日曜日の収録のことも少し気にしていた。

 机について『ティーンズ・ショーンズ』を取り出すと、あの絵が載っているページを開いた。

 心の奥でスーッと風が吹くのを感じた。

 この目。この光。ずっと昔から知っていたような……なつかしさ。

(やっぱり、おじさんの所へ行ってよかったんだ。早く日曜日が来ないかな)

 

 たかしは、最近学校が面白くない。転校生の宮田君のことが原因だ。

 宮田君は無口で、クラスではほとんど口を開くことがなかった。下を向いていることが多く、何を言われても、ただだまったまま。 

 はじめはそうでもなかったのだが、このごろ、宮田君を馬鹿にしたり、いじめたりする男子が出てきて、エスカレートする一方だった。その姿を見るのも嫌だったし、それに対して何も言えない自分も嫌だった。

 学校の事を思い出すとまた、気持ちが沈んでいくのだった。

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