他愛のない話
僕は、なんでもない。
そう、どこにでもいる何でもない生徒が、自分でも僕の立ち位置だと思う。
もし、誰かが僕のことを
「どんな人ですか」と聞かれたとしてたら、
「んー、ふつうですよ」と答えていると思う。
それくらい普通なのが、僕。
なので、割と普通に、下校の際に忘れ物をし、このまま帰るより取りに戻れる帰路の途中だったから、取りに戻ったら、自分の教室でない3組から声が聞こえてきたもんだから、興味が沸いて、3組の方に行ってみると、3人がいた。
ツネ、山口さん、京平。
この3人、仲が良かったのかぁと心の中で思った。思っていたら、
「なんでおる!?」
と大笑いしながら、教卓の前に立っていた京平が、僕を見つけた。教卓の前の席に座っていた他の2人は、クルッと後ろを向いて、少し驚いた感じで僕を確認していた。
「忘れ物を取りに来たら、声が聞こえたから気になって」と、僕が言うと、京平が、
「忘れ物ねぇ、あったのかよ?」
「そりゃ、あったよ。宿題のプリント。」
「ハハッ、真面目だなぁ。」
「そうかなぁ、京平たちこそ、何してんの?」
「えっ、、、あぁ、まぁ、話してた。」
「へぇ、この3人だと、意外だなぁ」
と、僕は思った通りの事を言っていた。
というのも、普段、この3人を3人で話してる所を見かけた事が無かった。すると、ツネが
「わりと3人で話してる時あるよ。意外かなぁ。」
「んー、3人ともクラス違うから、かな。」
「去年、一緒なんだよ!」と笑いながら京平がツッコんできた。
クスクスと、山口さんが笑っているのが聞こえてくる。
「なるほどねぇ。。。あれ?3人とも部活は?」
「気になるのは、そっちかよ!」
「え?部活、辞めたの?3人とも?」
「なんで、そうなるんだよ!サボってるんだよ!」
先生に怒られるんじゃないかと思い、「行った方が良くない?」と言ったら、
「帰宅部が、それ言うんだ。クククッ。」ツネは、我慢出来ない様子だった。もちろん、山口さんもクスクスと。
「あー、なんか、ごめん。」
「謝るのかよ!それに、お前は、気にならないのかよ!」
「部活?部活は、去年の夏くらいから行ってないからねぇ。」
「違うわ!何を話してたのか、気にならないのかってこと!」
「何してたのかは気になったから聞いた!だろ?」
「そうだけどさ、えー、まじかよ、ハハッ」
京平は、理解不能という感じになって、笑っていた。
ツネは、僕らのやり取りに一段落が着いたように思ったのか。
「で、帰る?」と聞いてきた。
僕は、この3人の本人達からすれば、珍しくない組み合わせの話を聞きたくなったので、
「せっかくだから、話を聞いていくよ。」と、答えた。
ツネは、快く頷いてくれたけど、京平は、戸惑いと驚きを隠せてなかった。
山口さんは、まだクスクスしてた。
「まぁ、いいや!それじゃぁ、始めるぞ!」と京平は、仕切り直しだと言わんばかりに大きな声を出した。
何が始まるんだろうなぁ、と思いつつ、僕も手頃な席に腰掛けた。
京平はツネをチラリと見ながら、「えっと...」
ツネは「英語ね。」
「そうそう!英語だ!」
僕は、英語かぁ、テスト勉強でも始めるのかな。苦手なんだよなぁ、ツネや山口さんは英語出来そうなのになぁなどと思っていたら、京平は、続けた。
「英語ってのは、日本語じゃないと思ってるだろう、そこの君!」とビシッと指さされもした。
「えっ、うん。英語は、、、英語でしょ」