はじまりはじまり
「貴様を我の世界へ転生させてやろう」
「……は?」
◇◇◇
Q.開始十六文字で転生させられた、オレの気持ちを答えなさい。
……
…………
………………
……………………
…………………………
A.呆れ。
でした~!
いや、本当に意味が分からないです。なんかトラックに引かれて飛んで、飛んで、飛んだら、なんか白い空間に俺は居たっ!
そっからお爺ちゃんみたいなヤツが出てきてあの言葉を言われてしまった訳だ。なんだよ、『貴様を我の世界へ転生させてやろう』なんて、頭おかしいだけだろ。
と、まあそんな事もあった訳なんだが、オレは転生してました。名前は今世ではアルカとのことです。あのお爺ちゃんが言ってるのが正しかったら、お爺ちゃんの世界なんだろう。まあ、異世界ってことなんだし、やっぱりチートハーレムがなきゃ生きていけない。
敵を殲滅できるチートスキルで持て囃され、そして女性から黄色い悲鳴が上がる、そこからのハーレム。これは外せない。
なんて昔は思ってました。
けど、気付いちゃったんだ、その時に、オレは。
――今世では女だわ。
胸は無いけどな。ともかく、それが分かると、オレの意識は地獄に堕ちて堕ちていきました。さらばマイサン。お前はオレが生きていく中で必要不可欠だったよ。本番には使ってやれなかったけどな。
だが、オレは、チートハーレムを諦めなかった。自分が女の子でも良いじゃないか、百合ハーレム! ということ。まあ、勿論オレも異世界に転生した訳だし、所謂、チートスキルがあった……んだけど、ゴミ。いいのがあったら良かったな。世の中全部そんなもんだったからしょうがない。
だが、そっからでも頑張れば才能も開花することもあるってことで、オレは必死に今まで鍛錬をしてきた。
魔法も頑張って覚えたし近接も覚えた、最早オレは最強なのだ。ふはは。
途中でヤツに出会ってからはもうそれも無くなったけどな。
さて、そんな最強のオレが今、どうしているかと言うと……
「ルーク様ぁ……」
――悶えていた。
……いや、違うのだ。これは決してそういう事ではない。オレは悪くない。そう、オレは悪くないのだ!
オレがこうなってしまっているのには、ある一つの問題がある。それは、スキル。ヤツに出会うまでは隠されていた、隠しスキル。恐らく、俺のチートだ。コレがチートだなんて100億積まれても信じたくはないけれどもな。
オレの悶えていた理由、それはこれに原因がある。とくとご覧あれ。
「スキルオープン!」
いいねやっぱこれ。異世界転生お馴染みの魔法……じゃなくて、これはスキルのみを出現させる魔法。
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【スキル】一覧
・【好感度UP・極(勇者)】
効果:自分の勇者への好感度がMAXになる。
説明:スキル名見ろ。
・【超特別究極攻撃光線】
効果:一本の超特別で究極な光線を放つ。
説明:強い妄想によって作られた個人魔法。高い厨二力を持たなければ使用できない。
【タップ】さらに表示
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……やっぱりやべーなこの世界。
ツッコミどころしか無いからどうすれば……。ま、いっか。
その話はさておき、スキルを見てもらえば分かるが、俺の悶えていた理由は、この【好感度UP・極(勇者)】の所為である。
なんと、このスキル、効果にも書いてあるとおり、自分の勇者への好感度がMAXするのだ。あれ? 普通こういうのって自分が好かれるんじゃなかったっけなぁ。そうだったらオレの百合ハーレムは確定だったと言うのにっ! あれ? 勇者限定だから違う?
……ともかく、悶えていたのは、こいつのせいである。オレは悪くない。
さて、もう一つのスキルだが……うん。オレも前世は男の子だったししょうがないよな。気にしたら負けだ。
「ルーク様……会いたいっ」
おっと失礼。この体勝手に動いちゃうからな、仕方ない。ちなみにさっきから言ってるルークってヤツが、ご察しの通り勇者である。ルーク様……じゃなくて、アイツはチートハーレム作ってて羨ましいぜ。……あっやばい、アイツの事を考えると下腹の辺りがなんか疼いてくる。なんなら、いっそこのまま全部、スキルに委ねちゃってもいいんじゃ――
ゴホンゴホンッ!!
……ふぅ。危なかった。堕ちちゃうとこだった。体はとっくに堕ちてるけどな。
これも全部アイツの所為だ! アイツと会ってからこんなスキルが明かされるなんて。絶対おかしいに決まっている。
ちょっと顔でも見に行ってやろうかな。
「半殺しであそこをもぎ取るだけで勘弁してやるっ!」
……おお、脳内が体を無理矢理に冷静にさせたからアイツの事を考えても大丈夫になった。今日こそアイツを屈伏させてやる。……ルーク様、一緒に戦うとなるとその美しい顔も汗で濡れて本当に好――って危ない。いやマジで。
お前はオレを怒らせた。
今なら大丈夫。アイツはガチで許せない。オレの夢であるチートハーレムを軽く築いている、それでいて鈍感だとぉ? 本当にムカつく要素しか無い。
しかも、そのハーレムの中にオレが入ってるのも苛立たせる要素だ。……っけ。体さえ言う事を聞けば、アイツなんてけちょんけちょんにしてやる。
オレは、今日も今日とて、アイツに挑みに行く。
これは、オレがアイツに挑んでいく……そんな物語――
「ルーク様……待ってて……下さいねっ。夜の奉仕も――ゴホンッ!」
――ではなく、オレがただただ、自分の本能に抗って百合ハーレムを目論む物語である。




