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エピローグ:運命のドラゴン、その先へ。

 モニカはいま、今回の件を戦史に記録するにあたって、マイスター・レイヴンと共に知恵を絞っているところだった。

 皆が『鏡世界』で体験したことは紛れもない真実なのだが、

 しかし歴史として記録すべき事実となると、

 精々でハイペリオンの『虚像』が『王殺しの法』によって王マーカスの『虚像』を殺し、

 玉座の間を混乱させた、という事だけなのだ。


「では、そのように記録すべきかと。陛下」


 長い膠着状態を破るように、羽根ペンをとって題を記したのはハイペリオンだった。


『王殺しの法、再び。血塗られし偽王:ハイペリオンの反逆』


 真剣な様子のハイペリオンだが、マイスター・レイヴンは渋面して、否定向きに首を振った。


「サー・ハイペリオン。これでは高潔なキングズキーパーたる貴方が、残虐なキングスレイヤーとして誤読される可能性があります」


「そうよ、サー・ハイペリオン。貴方の気持ちは分からないでもないけど、あれはあくまで『虚像』のしたこと。何もそこまで気に病むことはないわ」


 声をかける二人に対して、しかしハイペリオンは譲らなかった。


「お心遣いに感謝いたします。ですが、これは私自身への戒めです。王が国を治める者の自戒として『王殺しの法』を定めたように、私も王を御守りするキングズキーパーの長として、身の内に否定できぬ野心を、ここに戒めたいと思います。私の内に眠るキングスレイヤーという怪物を心に封じ、そして治めるためにも」


 ハイペリオンの強い決心を目の当たりにして、二人は返す言葉を失った。

 騎士の中の騎士は、今生での誓いを守り、自らを戒めるためなら、

 たとえ後世で名誉を損なうようなことになっても、戦史に『事実』を記録すべきと言っている。

 そしてそこに加減や忖度の余地が生まれぬよう、彼自ら厳しい題を記したのだ。

 もはやそれを認め、頷くしかできることはないと思われたのだ。

 そのときだった。

 モニカが開きっぱなしにしていた『賢者の書』に、新たな記述が浮かび上がってきたことに気付いた。

 三人はその、三つの項目にくぎ付けとなる。



 フェイタル・ドラゴン:

 運命を司る小さなドラゴン。

 異界から現れた後、全てのドラゴンを束ねて王国を導き、

 世界の戦乱を終わらせる存在とされる。

 彼女に行使できる魔法はなく、戦においてもその爪と牙は小さい。

 しかし、『運命』を操るその力は如何なる状況であれ『希望』を手繰り寄せ、

 必ず『絶望』に打ち勝つ力を秘めている。

 その逆鱗は自らの死であり、触れた瞬間に世界は消失し、

 直後、彼女と共に再構築される。

 ある意味でそれは何よりも恐ろしい災厄と言えるが、

 同時に欠くことのできない抑止力と言われる。



 ドラゴン・スレイヤー:

 全てのドラゴンを滅ぼすドラゴン。

 フェイタル・ドラゴンを『正の抑止力』としたとき、

 この者は『負の抑止力』と言われる。

 力の象徴たるドラゴンが一ヵ所に結集し、それが世界を統べた時に、

 このドラゴンは現界する。

 魔女を滅ぼす魔女という矛盾を抱えたこの者は何者か、未だそれを知る術はない。



 災王(カラミティ・キング)

 モンスターの王。魔王とも。

 戦乱の世が真に終わりを迎え、

 全ての人間が頂くべき一つの王を見出した時、

 その奇跡の対価として現界する負の奇跡。

 知恵深き人を束ねるのが善の王であれば、

 知恵浅きモンスターを束ねるのは悪の王しかいない。

 王が望むのは人の秩序だが、災王が望むのはモンスターの混沌である。

 対話の余地なき真の災厄であり、

 人はこれを滅ぼすか、滅ばされるかしかない。



第三章『王殺しの法、再び。血塗られし偽王:ハイペリオンの反逆』クリア

 ファミリア加入エンド。

 フェイタル・ドラゴンルート解放。

 ドラゴン・スレイヤールート解放。

 カラミティ・キングルート解放。


本編クリアおめでとうございます。

また、拙作へ最後までお付き合い頂きありがとうございました。

末尾の通り、この物語には3ルートの続きを予定しています。

頂いた評価は全て制作の養分になりますので、

本作をお気に召して頂けたら、感想・評価・ブクマの方お願いします(ぺこり)

それではまた、何処かでお会いしましょう。 翁海月


ーーーーここから先は、もう少し長めの後書きですーーーー



以下の構成は次の通りです。

1:『感謝と執筆のモチベーション』

2:『作品の質について』

3:『各ルートのお話』

4:『この小説の今後』

5:『結局、最強のドラゴンは?』

6:『活動報告について』


1:『感謝と執筆のモチベーション』

やはりまずはここからです。

本作を執筆・投稿できたのは、読者様から頂いた反応のおかげです。

本当にありがとうございました。

翁海月(筆者)はヘタレなので、投稿のたびアクセス数、ブクマ・評価・感想を気にしており、

初めて作品にブクマや評価を頂けたときは驚くほど執筆モチベがあがったのを良く覚えています。

その日のうちに何話も何話も書いて、疲れた時は自分のスタミナ不足を嘆いたぐらいでした。

今だから言えることですが、1章完結時点で何も反応が頂けていなかったなら、

この物語は1章で終わっていたように思います。


2:『作品の質について』

翁海月なりに満足のいくものになりましたが、

やはり勢いに任せて走ってきた速度重視の部分が多く、

『小説』よりも『台本・説明』と言うべき箇所は多かったと思います。

出来るならこれを、胸を張って小説と呼べるものにした『リライト』版を作るのが今の一つの目標です。

振り返って「こうしておけば良かったなあ」と思うナンバー1は、イントロです。

事故死は安易すぎたかもしれません爆


3:『各ルートのお話』

ここから先は3ルートに分かれます。

それぞれ『フェイタルドラゴン』『ドラゴンスレイヤー』『カラミティキング』です。

フェイタルドラゴンは正当な続編です。

エマやエイリス達の活躍・成長をこのまま綴っていきます。もっとも書きやすそうです。


ドラゴンスレイヤーは主人公がバトンタッチし、

少し大人になったエマたちを別視点で描いていきます。

時に新主人公と戦い、時に仲間として交わっていくことでしょう。


カラミティキングは、恐らく最後に描くべき章です。

この世界のラスボス的存在である災王との戦いを描きます。


いずれも構想中ですが、現時点では全ルート、ハッピーエンドのみ確定しています。

しばらくは拙作を手直しつつ構想を練り、頂戴する反応に一喜一憂しつつ、

また書いて行けたら嬉しいです。

よければ『○○ルートが見たい』などあれば、感想もらえると構想が加速します。


4:『この小説の今後』

お陰様で10万文字を超えたので、長編と呼べる文量にはなりました。

2『作品の質について』と合せて、ブラッシュアップした後、

また別の形で世に出すことを考えていきます。

そのほか、物語で書ききれなかった設定等を、どこかで追加挿入したいと思っています。


5:『結局、最強のドラゴンは?』

これは状況により違うのですが、エマを省いた上で端的にケース別に答えてきます。


A:せーのでバトルロワイアルを強制して勝つドラゴンは?:

 ライトドラゴンです。クロックで時間止めされてインフェルノで皆殺し。最優は伊達じゃないです。


B:世界征服できるドラゴンは?

  ブラックドラゴンです。死者の書を使って瞬時に世界全てをアンデッド化して終了です。


C:普通に戦わせて勝つドラゴンは?

  アイスドラゴンです。本編が全てを物語っています。


D:最後に生き残るドラゴンは?

  シードラゴンです。物語では触れていませんが、

  メープルが死んだとしてもリヴァイアサンは消えませんし、消せません。

  激毒を振りまきながら世界中を暴走します。

  こうなると他のドラゴンは逃げるしかありませんが、やがて世界中が毒に汚染されて死にます(しれっとメープルはこれを鏡世界で実行しようとしていました)。

   

E:それで、エマを省かないなら?

  エマことフェイタルドラゴンの圧勝です。彼女は逆鱗(死に戻り)によって必ず最善手とハッピーエンドを掴む運命にあります。

 

6:『活動報告について』

これ以後も、活動報告にて進捗があれば報告予定です。

チャット感覚で使っていますので、気軽なコメントは歓迎です。



以上、最後までお目通しありがとうございました。 翁海月



メッセージ・感想お待ちしています。完走した猛者の方は記念に感想を……。

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