第二話「新しい出会い」
第二話です。宜しく。
…………気がつくと、木でできた天井が見えた。意識はハッキリしており、俺の視力1.5の目はその天井もくっきり見通す。さっき、何が起きたんだ?
「あー!やっと起きましたよー!」
聞き覚えのない女の子の声のする左側へ首を回そうとすると、俺の頭ががちっとその声の主によって両手で固定された。
「もー、勝手に動いちゃダメですよ。首を回すことも許しません!」
「あ……はい…………」
緑色の眼、小さなポニーテールをしたその子は、俺に顔を寄せて困り顔で言ってくる。めっちゃ可愛い。誰なんだろこの人、外人さんかな。
「おい、それくらいはいいんじゃないか」
「えー?ダメだって!万が一だよ!万が一!」
「はぁ…………好きにしろ…………」
右側からは男の声がする。どうなってるんだ?
「俺は一体………」
そう呟くと、俺の顔を挟んでいた両手をどけて、
「ああ、あなたさっきね、あそこの丘で倒れてたのよ?特に傷とかはなかったんだけど、こういう時って、『万が一○○だったら』って考えるべきじゃない?それで、近くの病院まで連れてきたの。今ここの医者は出張してていないんだ。身元不明だからわざわざ付き合ってあげてるのよ。優しいでしょ、私」
「自分で言うな」
「いいじゃんか!」
そうか、俺はあの暗い声が聞こえた後、気を失って倒れたのか。うん、多分そうだ。
「そうだったのか、助けてくれてありがとう…ございます。お金とかなら今すぐに……あ………」
そういえば、俺のビジネスバッグって、あの時持ってなかったような………
「あーっと………すみません!お金とか、全部落としちゃったみたいで………」
「あー、いいのいいの。お金なんて全然、いらないから。とりあえず、聞きたいことが山ほどあるんだけど………」
「あ、ありがとうございます!その、聞きたいことって?」
「名前はなんていうの?黒い目って珍しいね。どこから来たの?なんでこんなぴっしりした変な服着てんの?なんであんなとこで倒れてたの?あ、もう起き上がっても大丈夫だから」
「あ、はい、えっと………」
俺は起き上がりながらその怒涛の質問に答えようとする。てか、日本語で喋ってんだから、日本から来たって、すぐわかると思うんだが。
そう思いながらも、さっき頭を挟んできた女の子の服装を見る。明らかに日本人じゃないというか、時代に合っていない服を着ていた。腕輪とかもつけてるし、メルヘンチックっつーか、なんつーかそんな感じがする。壁に杖ももたれかかってるし。
「おい、一気に聞かれちゃこいつも困るだろうよ。少しは気を使え。それに、人の名を聞くときは、まず自分から名乗るもんだ」
男の方に顔を向ける。イケメンである。クールさをビンビンに漂わせるように腕組みをして壁にもたれかかっていた。ボサッとしつつも整っている髪は、その効果をより輝かせる。
そいつの服装もさながら中世ヨーロッパにあった騎士、いや、そこまでゴツくはないが、どことなくそんな雰囲気を感じる。腰に短剣みたいなのも刺さってるし。
ここはどこかのテーマパークか?俺はもしかして、まだ夢を見ているのか?
俺は意識がなくなる前と同様にして、頬をつねってみた、が、普通に痛い。夢の中ではないのかもしれんが、じゃあここは一体………そういえば、あの暗い声が「別世界」とか何とか言ってたような気がするが………もしかして………
「まず私から!私の名前は………って、何やってんの!?」
「あー、いやその、なんか夢見てる感覚だったからさ。頭がボーっとしてたんだよ。すまん」
「…………嘘をつけ」
「………え?」
すると、そのイケメンな男は、急に俺の方へ腰に刺さっていた短剣をこちらに向けた!なんで!?俺なんか悪いことしたか!?
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