第一話「終わりの始まり」
初めまして、北河うさぎです。二作目です。毎週月曜日に投稿しようかと思っています。よければ評価、感想など、よろしくお願いします。
俺の名前は赤城悠斗。一般企業に勤めるはがないサラリーマン(二十五)である。恋人もいなければそれっぽい相手もいない、ただの童貞だったのだが、ある日、「俺に気があるんじゃないか!?」という相手が現れる。
その子は、俺の勤める会社の同期の子で同い年で、とても優しくて上品で美人だった。
飲み会に行った時、お酒が苦手な俺に「これ、ノンアルコールですので、飲んでみましょうよ!私も、お酒苦手なので」と、メニュー表をこちらに見せて指を指しながら笑顔で言ってくれたり、会社で俺がミスをしてデスクで一人落ち込んでいた時に「これくらいのミス、誰にだってありますよ」と、(女性社員の中では)ただ一人俺を励ましてくれたり…………
は?頭が浮いているだと?同期だから話しやすいだけ?うっせえ!!とにかく、まいちゃんは絶対きっと多分俺に気があるんだよ!!そう信じてた方が人生楽しいじゃあねーか!
まあ、とにかくだ、俺はそんな、「小田桐まい」と将来なんかありそうな感じだったんだよ。
だがなぁ、そんな時にだ。会社から一人で電車に乗って帰っている最中、大事故が起こる。
その事故は、一言で表すと、「えげつない」だ。
運転手が操作をミスったのか、何か列車の機能に故障でもあったのか、線路上に何かあってそれに乗り上げたのか、そんな事故要因は俺には分かりはしないし、どのくらいの人達が死んだのかも分からない。
なぜなら、俺はその事故で死んだんだからな。
死ぬって感覚は、一瞬なんだなって実感するよ、なんかこう、頭の奥の方にズーンと重たいものが永遠にぶら下がってて、それがどんどん落ちていく感じがするんだ。
天国も地獄もない、虚無という空間へ落ちていく感覚。
それに対しては、恐怖すらも覚えることもなく、「ああ、俺死んだんだな」って感じで、ずっと後悔だけが垂れ流れていた。
もしあの電車に乗ってなければ、俺はまいちゃんと結婚していたかもしれない。
子どももできて、ちょっと貧乏だけど幸せに暮らす、みたいな、そんなハッピーライフが待っていたのかもしれない。
そんなことを考えると、胸の奥の方がズキズキ痛んで、涙がこぼれるんだ。
いや、そんな感覚がするだけで、実際には何にも起きてないんだろうけどさ。
「……………ああ、元の生活に戻りたい……………」
そんな声が、願いが、望みが、このだだっ広く広がる白も黒もない世界のどこかにいる、神様的な存在に通じたんだろうさ…………………………。
気がつくと、目の前には平原が広がっていた。青い空、白い雲。遠くの方を見下ろせば、中世ヨーロッパのような小さな街も見える。
背後には森も広がっており、それら全体を囲むように山々が連なっている。
俺には、ここがどこだとか、いつなんだとかは分からなかったが、分かったことが一つだけあった。
『生き返っている』
首を下に傾ければ両手が見えるし、スーツも、ビジネスシューズも、着てるし、履いてる。死ぬ直前までの衣服だ。
顔にも触れてみる。ある、しっかり。目も、耳も、鼻も、口も、ちゃんとある。
頬をつねってみる。……………痛い、痛い!
「うおおおおおおおお!!!!!」
俺は思わず両手をあげ、目を見開け、大きな口を開けて歓喜した。
俺の体がここにあって、俺の声も、草原の柔らかで優しい匂いも、視野全体に広がる美しい風景も、全て感じられる。
また再び、あの幸せな日常が送れるかもしれないという希望がある。それだけで嬉しかった。
そう感じた途端、俺の頭が割れるように痛くなった。
インフルエンザにかかった時よりももっと痛く、ズキズキとした感じがする。
頭を抱え必死にこらえていると、どこからか、どこまでも暗い声が、俺に語りかけてきた。
「……………汝よ、再び元の世界へ戻りたくば、この世界に長く居座り続け、己の欲望のみを満たさんとする者達を狩れ。さすれば、汝の突き進もうとする道は、開かれるであろう……………」
…………………そう聞こえた瞬間、俺の視界は再び真っ暗になった………………………
読んでいただきありがとうございます。何度もしつこいかもしれませんが、よければ評価、感想など、よろしくお願いします。