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古典落語 元パグ

作者: コータ・ツー

浅草八幡の境内に一匹の黒パグがいました。

近々の住人をご飯やおやつを食べさせてくれて可愛がられててました。

ある時、通りすがりの人に

「ブサカワな犬だ~ 生まれ変わったら、きっと凄いのに生まれ変わるよ」

と言われました。

それを聞いて、黒パグは、すっかりその気になりました。


「生まれ変わったらじゃなくて、直ぐに凄いのになれないかな.......そうだ!八幡さまにお願いしてみよう」

黒パグは、89日かけて、八幡さまにお参りしました。

その間もご飯やおやつをもらいまくり。

そして89日目の朝でした。気が付くと人間になっていました。


「うわぁ、人間になってる!只でさえ寒がりなのに、寒くてかなわないわ。なんか着るものでも探さないと。お腹も空いてるし。」

と言っていると、目線の先に見つけたのは、近所に住んでいる漆原教授。

この漆原教授にこれまでの事を打ち明けました。


「なんて凄いこともあるもんだ。わかった、面倒は通りすがりに学生に見てもらうから、おいで。にしても裸では可哀そうだな。私の民族衣装を着ていきなさい」

と連れて行ってくれました。


漆原教授は家の人に適当に話を作って紹介しました。

ところが、なかなか犬のクセが抜けません。


 リビングでへそ天で寝る

 台所の周りウロウロする

 トイレでは片足上げて、用たす


漆原教授は家の者と相談して、この者の働き口を探しました。

白羽の矢が当たったのは、通りすがりの学生でした。

こうして学生のもとに連れて行くと、しわくちゃで愛嬌があると気に入った様子。


「お前はきっと獣医師になる」と漆原教授が帰り際に予言して帰った後、根ほり葉ほりの質問攻めがはじまりました。


「貴方、好きな食べ物は?」

「わからないんです。というか、大抵の食べ物は好きです。あ、ネギ系は具合悪くなるので、それ以外ですね。」


「ネギ系がダメね。玉ねぎとかか。それにしても、好き嫌いが少ないのは良いことだね。シワはどうしたの?」

「シワの方ですか?生まれつきの物なんで、たまにはシワに間を拭いてくれると助かります。」


「自分の顔は自分で拭きなさい。ところで…親兄弟は?」

「親もしわくちゃですよ。兄弟は三匹です。今は一匹です」


「なんだ?三匹一匹って。ということは、貴方ひと

りぼっちなんだね」


その後も年を聞かれて「ワンワンワンです」と答え、

とりあえず、おやつをもらえればオールオッケーですと言う始末。


変な言動に戸惑いつつも、面白い男をすっかり気に入った学生。

「なんか愛嬌あっていいね。面白いし、ここにいてもらおうかな。」


しばらくして、学生さんは趣味の日曜大工をはじめました。

「これに穴開けるので、おまえさん、そこのドリルを取って。」

「ドリルですか?まさか人間になってまでドリルするとは思わなかったなあ。はい、ブルブル」


「なんだい犬みたいにブルブルして。穴開けるやつだよ。あと、そこのアルミホイルも取って!」

「え?」


「ホイル!」

「うー、うー、うーうー、ワンワン!!」


「なんだい、犬の真似して。もういいや。足元にある黒いバックも取ってよ。」

「え~今朝ほど黒パグから人間になったばかりで、戻り方が分かりません」


黒いバック……黒いパッグ……黒いパグ……黒パグ……

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