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6-2

 翌日――

 瑠樺は公園で蓮華と周防と待ち合わせた。

 周防は瑠樺の護衛として出されたことに不満を持っているようだったが、それ以上に妖鬼の存在に興味があるようだ。周防も八神家で働いているといいながら、妖鬼については蚊帳の外に置かれいて、少なからず不満を持っているようだ。

 蓮華には常世鴉として妖鬼を追うために逐一仲間たちからの連絡が入るらしく、瑠樺たちはその情報をもとに妖鬼を追っていた。

 妖鬼は山中を逃げ回っているらしく、その後を追いかけるのは簡単とはいえなかった。それでも蓮華が巧みに走りやすい道を捜してくれたおかげで、瑠樺はなんとか二人の歩調に遅れることなく妖鬼を追うことが出来た。

 2時間もの間、山中をさ迷った後――

 わずか先で何かがぶつかり合うような衝撃音が聞こえてきた。

 いくつもの妖力がぶつかり合っている。その一つはかなり大きな力を持っていることが感じられる。

「これは?」

「妖鬼です」

 ハッキリと蓮華が答える。

 その気を感じて周防が興奮気味に走り出す。

「先に行くぞ」

「ちょっと周防君」

 蓮華が声をかけるが、周防はそんな声など気にも止めないように走っていく。蓮華は諦めたように大きくため息をつき、瑠樺のほうへ顔を向けた。

「お嬢様、お気をつけください。他の常世鴉たちも集まっているようです。矢塚さまから渡された呪符を使えば自らの身を隠し他の者たちに気づかれることがないはずです。少し離れた場所で様子をご覧になっていてください」

「わかりました。先輩はどうするんです?」

「私はここから他の常世鴉たちと共に妖鬼を追います。お嬢様は周防君と共にこの場を離れてください。くれぐれもお気をつけて」

 そう言うと蓮華は大きな気の感じられる方向へと走っていった。

 その背が見えなくなってから、瑠樺も動き出した。

 藪を掻き分けながら、瑠樺も進んでいく。

 やがてそれを抜けたところからいくつもの気がぶつかり合っているのが感じられた。

 そっと 覗き見る。

 途端に目の前に大きな背中が見えた。

 普通の人間の倍ほどの大きさの妖鬼の姿に瑠樺は息を飲んだ。その右腕には巨大な六角棒が握られている。それは周防が使うものよりもずっと巨大なものだ。

 だが、何よりも驚いたのはその妖気の強さだった。

 妖鬼を取り囲んだ常世鴉たちの呪符が襲いかかる。しかし、その呪符を妖鬼はその巨体にもかかわらず素早く手に持った六角棒で払い落とす。

 そのあまりの迫力に瑠樺は身動き一つ取れず、その動きを見つめるしかなかった。

 やがて――

 巨大な気が走り去っていく。そして、それを無数の常世鴉たちが追いかけていく。

 木々の隙間を風が走っていく音が聞こえてくる。

 瑠樺は我にかえり、周囲を見回すと、向かいの巨木の陰に周防がいることに気がついた。

 愕然とした顔で立ち尽くす周防の姿がそこにあった。

 瑠樺は周防に近づいて――

「どうしたの?」

 周防はビクリと体を震わせてから――

「あれは……あれは、俺の親父だ」と答えた。


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