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矢塚の屋敷からの帰り道、スタスタと早足で歩く雅緋に瑠樺は背後から声をかけた。
「どういうつもりですか?」
「何が?」
雅緋は振り返りも足を止めようともしない。
「どうして私が矢塚さんのところで稽古をしなきゃいけないんです?」
「言ったでしょう。強くなるためよ」
「稽古は一条でつけてもらってます」
雅緋はピタリと足を止め、瑠樺のほうへ顔を向けると――
「それで強くならないからでしょ。わかってるの? あなたは私を護ってくれるんでしょ?」
「み……雅緋さんは私が護らなきゃいけないほど弱くないじゃないですか」
「何よ。あなたは相手を見て護る護らないを決めるの?」
「そんなこと言ってません。そもそもどうして雅緋さんはそんなにも強いんですか?」
「そうね、子供の頃から道場通いをしていたからかしらね」
「道場通いって?」
「合気道と日本拳法をちょっと。あなたも習ってみる? でも、紹介は出来ないわよ。今は道場に行っていないから」
「だからってそれで妖夢とは戦えないじゃないですか」
「基本は同じよ。そもそもあなたにはここに通ってもらわなきゃいけないの」
「どうしてですか?」
「あそこにある資料、今後、あなたが通って借りてきてちょうだい」
「そんな――」
「いいから、言う通りにしなさい。強くなりたいんでしょ。あの人に任せなさい。きっと大丈夫よ。あなたの希望は叶うから」
その冷静な言葉に瑠樺は言い返すことが出来なかった。
雅緋と話をしていると、自分の全てを見透かされているように思えてくる。




