一話 デート!(なんか銃持った人が騒いでるけど)
暇だったんで書きました。
多分あと2話くらいで終わります。
僕の名前は村雨悠月。
どこにでもいる中学3年生だ。
そして、隣を歩いているのが…
「ねぇ悠月、次どこ行くっ?」
秋雨舞だ。
何故か二人共名前に雨が入る。
ちなみに同じ学校だ。
「そうだな~…あの店とか?」
目に入った店を指さして言う。
「よし、じゃあ行こう~!」
満面の笑みで、全身で「私幸せですっ!」アピールしている舞が言う。
かっ、可愛い…。
今日は、二人でショッピングモールへ来ていた。
デートのように。
というかデートだ。
舞とは幼馴染で昔からよく一緒にいた。
いつからか恋心が芽生え、そして一か月前に、ついに付き合うことができたのだった。
それで昨日、電話で「ショッピングモールに行こうっ!」と誘われ、入試の年だし色々と忙しく大変なのだが……。
勿論、即刻OKした。
断れるわけがないよね。
あんな嬉しそうな声で誘われて。
断れる奴普通にすごいと思う。
ちなみに、舞は学年トップの成績の持ち主のため入試については全く心配していないようだった。
まあつまり、学年トップと一緒の学校に行きたいがために勉強を頑張っているのだ。
え?僕の成績?
中の中ですけど?
はあ、明日から勉強量増やすか……。
「ねぇ~悠月、聞いてるの~?」
舞がこちらをのぞき込んでいた。
上目使いで。
ドキッとしながらも、
「あ、ああごめん。何だった?」
何とか返事を返す。
「もぉ~。この服とこの服、どっちが私に似合う?」
舞がワンピースを両手に持って聞いてくる。
「どっちでも可愛いと思うけど…。」
そんなこと聞かれても困る。
普通に、どれでも可愛い。
「え~。ほかの言い方ないの?」
不服そうに頬を膨らませて舞が言う。
僕は少し考えてから、
「何を着ても舞は可愛いし、右のを着たら大人っぽい魅力が引きだって可愛いし、左を着たら―」
「ごめんやっぱいい……。」
ちょっと引き気味の舞が言う。
何故だ。解せぬ。
ああ、でも幸せだな……。こんな日々が続けばいいのにな…。
二人がそんなバカップルぶりを披露しているとき、事件は起こった。
パァン!
一発の銃声がとどろいた。
「なんだっ!?」
焦ったように店員が言う。
だがすぐにその答えを知ることとなる。
「動くな!このモールは俺たちが占拠した。一階の広間に集まれ!」
目出し帽を被ったおっさんが叫ぶ。
手には黒光りする銃。
やばいやばいやばいやばい。
ハイジャックか?
なんでこのタイミングに!
頭の中が真っ白になってゆく。
と、とりあえず舞だけは守らないと!
そう思い、隣を見ると、
「はあ……。」
舞は思ってたより落ち着いていて、ため息をついていた。
あれ?なんか思ってた反応と違うぞ?
もっと怯えてると思ったのに。
何その「はあ、めんどくさいなぁ…。」みたいなリアクション!?
僕の視線に気が付いて舞が言う。
「ん?悠月、まさか怖いのぉ~?」
いや、ふつう怖くない?なんで怖くないのが普通みたいな言い方!?
でも、僕も男としての意地がある。
「べ、別に怖くないしっ!」
「……。ツンデレ?」
「ちげぇよ!」
首をかしげて無邪気に聞いてくるが、ひどい誤解だな。
ん?というか皆一階に連れていかれたのに僕たちここにいていいの?
悪い予感はピタッと当たっていた。
「おらお前ら、早く集まれよ!」
威圧を込めて、犯人さんが言う。
銃をちらつかせて。
僕がおとなしく従おうとした瞬間、
「もぉ~。デートなんだから邪魔しないでっ!」
何言ってんだ舞!?
僕は背筋が凍り付いた。
「あ?なんだお前撃つぞ!」
あ。やばい。かばわないと!
僕が一歩踏み出した瞬間。
「えいっ!」
可愛らしい掛け声とともに、舞がグーパンチをした!
犯人に。
僕は思った。
あ、これ死ぬな、と。
だが、その予想は大きく外れることとなる。
「がっ!?」
犯人は横に大きく吹っ飛び、棚にぶつかり気を失った。
「ふぇ?」
思わず変な声が出た。
殴った当の本人はというと。
「全く、人のデートの邪魔して~。ん?どうした?悠月。早く行こ!」
キョトンとした様子で満面の笑み。
「お、おう…。」
僕はてっきり、一階に行っておとなしくするのだと思った。
でも、犯人をいきなりグーパンチする彼女だ。
現実は、もっとファンタジー。
「よし、違う所でデートしよう!」
当たり前のように舞が言う。
「…は?」
舞はこのモールを出て違う所に行こうというのだ。
この、ハイジャック中に。
「だってつまんないでしょ?」