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不老不死を得たある男の一生  作者: ヴァレー
24/25

低温死・BIG FREEZE

不老不死から10の100乗年後



10の100乗とは、数字で表すと


10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000


である。



宇宙の終焉がどのようなものになるのか、現在ではいくつかの説があるが、もっとも有力なのは「ビッグフリーズ(宇宙の低温死)」という説である。


実は宇宙空間は有限であり、さらに現在観測されている宇宙空間は、「広がり続けている」というものである。そしてこれは永久に続くのではないか、といわれている。

宇宙空間にある物質の総量は一定なので、宇宙空間が永久に広がり続ければ、その中の密度は限りなく薄くなっていく。

物質だけでなく「熱」のようなものも同じで、限りなく広がり続けることで、密度が限りなくゼロに近づいていく。


途方もない年月……おそらく10の100乗年後あたりで、宇宙の「終わり」の状態になり、以降永久にその状態が続くと考えられている。

このとき宇宙は限りなく絶対零度に近い温度であり、どこを見ても物質がない状態になると推測されている。

物質がないということは、熱も光もない状態であり、完全に真っ暗で何も見えず、もちろん何も聞こえない。

永久に暗闇が続いている、そんな状態である。



男は何も変わらなかった。


男は苦痛を感じていただろうか?いや、そんなことはない。

すでに男の感情というものは、ずっと以前から完全に停止していた。

何かを苦痛と感じたり、楽しいと感じたり、そんなことは完全になくなっていた。


もちろん体は生きており、体を動かしたり呼吸を速くしたり、しゃべったりすることはできるはずである。

しかしそれをやろうとはしない。それが何にもならないことを知っているからである。


「死んでいる」という状態に、限りなく近かった。


いや、すでに死んでいるといってもいいだろう。


男は、体は生きているが、すでに死んでいるのである。

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