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不老不死を得たある男の一生  作者: ヴァレー
22/25

あらゆる光の消滅

不老不死から10の50乗年後



10の50乗とは、数字で表すと


100000000000000000000000000000000000000000000000000


である。


さて、宇宙の星々は、大きさの程度はあれど互いに重力で引き合っていると考えられている。

たとえば太陽系の惑星たちは、太陽の重力によって拘束されて公転し続けている。


これと同じことが銀河系の単位でも行われており、銀河系の中心には非常に巨大で強い重力を持った星=ブラックホールがあると考えられている。

その銀河系の星たちは、そのブラックホールを中心に回っているのだ。


ところがこれら銀河系同士もまた互いに重力によって引き合っているため、非常に長い時間をかけた後は、互いに衝突してばらばらになるものと考えられている。


これらばらばらになった破片などもまた互いに重力で引き合い、新しい星を作るかもしれない。


しかしこの中にブラックホールがある場合、これとは異なることが起きる可能性がある。


ブラックホールのような強い重力を持つ物体は、宇宙のたくさんの星を吸い込み、それによってさらに強い重力を作るようになる。

これを繰り返すことで、最終的には衝突によってばらばらになった星もすべて飲み込んでしまう可能性が高い。

銀河系のような巨大な天体群の衝突が起きれば、最終的には銀河系の中心にあるブラックホールにすべて飲み込まれてしまう可能性がある。


光さえ飲み込んでしまうブラックホールにすべての星が吸収されてしまうことにより、その銀河系は最終的には一つの真っ暗な超巨大ブラックホールと化す。

各銀河系でこのようなことが起こり、さらにこれらもいずれは互いに引き合うため、最終的には宇宙はブラックホールのみで形成される真っ暗な状態になるだろうと推測されている。


そんなことは途方もなく先の話ではあるが、しかしいずれは起こるのである。



男が宇宙に放り出されてから長い間、男はただ宇宙の星たちを眺める状態になっていた。

もちろん男は身動き一つしない。目も動かず、ほとんど一点を向いているだけであったが、まだ宇宙の光っている星たちがそこにはあった。

眺めているという意識はすでになかったが、少なくとも視界には入っていた。


しかし膨大な年月が過ぎ、宇宙の星たちもブラックホールに吸い込まれていき、見る限りはほとんど光のない状態になってしまった。


男に意識はあっただろうか?感情があったのかどうか?

おそらくほんのわずかくらいは残っていただろう。


だが今はそれももうなくなってしまった。


男はそれに寂しさを覚えただろうか?わからなかった。


また途方もない年月が過ぎる。

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