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不老不死を得たある男の一生  作者: ヴァレー
15/25

陸上動物の死滅

不老不死から4万年後。

男、40020歳。



再度、イエローストーンが大噴火を起こした。

今回の噴火は、以前人類を絶滅に追いやったものよりもさらに巨大な噴火だった。


これによってやはり大量の火山灰が噴出し、日光を遮り、再び地球は氷河期を迎えた。

地球の平均気温は以前よりも30度以上も下がってしまい、地球の大部分が氷におおわれることになった。

赤道付近以外はほとんど、真夏以外は氷と雪に覆われることになった。



では地球上の生物たちはどうなったのかというと、結論からいえば、海中の中型動物だけが生き残った。



陸上はすべて、とても生物が生息できる気温ではなくなったので、陸上生物がまずすべて死滅した。


ただ海に関しては、海流で赤道近くの熱が高緯度地方にまで運ばれてきたため、陸上ほどの影響はなかった。

緯度40度~極地方までの海は凍りついたが、それ以下の緯度では平気だった。


生物の温度変化に対する耐性は、体が大きいほうが強い。体が小さいほど内部に熱をたくさんためることができないので、凍えてしまう。これによって小さな生物は死滅。


いっぽう火山灰とマグマなどによる熱も忘れてはいけない。熱によって二酸化炭素が増加し、地球上の酸素濃度はかなり減った。

酸素が減ると、運動に大量の酸素を必要とする大型動物は生き残れなくなる。

このような理由によって、最終的には海中の中型動物だけが生き残った。



男は地上の生物たちがいなくなったので、海辺で過ごすようになった。


男にとって、生物の存在は癒しであった。

自分と同じ種がこの世にいない以上、仲間と呼べるものを近い存在に求めるしかない。

生物が一切いない場所に居続けるのは苦痛だった。さびしかった。


男は赤道近くの大陸に移動して定住していたが、そこに極地方から泳いできたアザラシなどが顔を出すと、非常に喜んだ。

アザラシは男に反応した。自分が働きかけることによって何者かが反応するということが、たまらなくうれしかった。


男はもう、人間たちのことはすっかり忘れていた。

人間のことなど完全にどうでもよくなっており、家族、友人、人類のことを思い出すことはなく、今後人間について考えることも二度となかった。


今や男にとっての仲間は、今地球に存在する生物たちだった。

そして男はこれら生物たちと過ごすようになってきてから、自分もそれらに似た生物的な思考、感情、行動パターンを取るようになっていった。


感情そのものが非常に薄くなっていた。また思考するということがほとんどなく、ほとんど本能のみで動いていた。

時間の感覚がほとんどなくなっており、場当たり的な行動パターンになっていた。男の行動は原始的な動物のそれに非常に近かった。



男は一度、海中生物を追って自分も海に入ろうとしたが、無理だった。浮力のせいで沈めないのであった。

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