最終話
それから数日が経過した。
朧たちの顛末はしっかりと聞いてはいないが、しかし先輩も優香もその点は何一つ問題なく、おおよそ君の予想通りだよ、とのこと。
それに優香が珍しく働いたおかげによって俺の思いつきの作戦はフォローされ上手く行っていたそうだ。そこはさすが神様と褒めておこう。しかし、そんな神様もいまやただの人間、それもニートその物と言えるような過ごしっぷりで、飯食ってグータラをひたすら繰り返している。
ちなみにちなみに現在は夏休み真っ只中で、大量の宿題を視界から追いやるのに苦労する一日を俺は送っていた。
「こほんこほん、わたしはお昼ご飯が食べたいな」
「げほげほ、風邪引いたっぽいから自分でやってくれ」
「風邪を引いた人がどうして布団にも入らずにプールサイドでくつろいでいるのかな?」
「俺はこの方が良いと判断したんだよ」
優香作のこのプール、どうやら天候は自由自在らしく、今は日光が燦燦と降り注いでいる。ただ不思議と暑さは無く、むしろ心地良い温かさ俺たちに持たしてくれていた。
「神様のありがたいお告げです。お昼ごはんを作ってください」
「人間のありがたいお返事です。今日も自分で作ってください」
互いに睨み合う。
俺たちは視線でバチバチと火花を散らせて激しく、視線での攻防が繰り広げられているつもりなのだが、はて? 傍から見たらどのように映るのだろうか。
「今日こそ勝ってやる」
「ふふふ、わたしに勝てると?」
互いの視線がぶつかり合い、どこと無く二人の呼吸が合わさった瞬間、夏休みに入ってから毎日のように繰り返される勝負が今日も始まった。
「「最初はグー」」
本物ではない青空の下、やたらと元気に握った拳に命運をかけて、振りかぶるようにして繰り出されるお互いの手を見比べながら、神の存在についてやはり信じていない俺は今だけは感謝していた。
きっとすぐにそんな感謝はしなくなるのだろうけど、期間限定の残り数日の感謝を込めて口にする。
「ふふふ、今日の勝者は俺だったが、」
涙目の優香は、希望に満ちた表情でこちらを見ている。
神が人の言葉に希望を見出すというこの少しばかり異常な日常に、俺は満足しながら照れの混じった無駄に上から目線の言葉を神に送る。
「今日は俺が変わってやろう」
そんな言葉に床は表情を晴れやかにした。
太陽と良い勝負をしているようにも思える眩しい笑顔が、俺にだけ向けられているのがくすぐったくて仕方が無い。
「じゃあ、呼んだら来いよ」
「了解しました!」
というわけで、最終話でした。
至らぬ点が多々あるとは思いますが、少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。
なにか意見等ございましたらコメントお願いします。
本作に反映できるかどうかは、作者の時間しだいですが、次回作を書く際に参考にさせていただきます。




