21/25
弱い自分
肌寒い外の空気。
自然の風に当たったのも二年ぶりだ。
ライブ会場はここからそう遠くない。
電車を二駅ほどと、あとは徒歩で五分ほどのところにある。
嫌というほど毎日のように調べたんだ。
いくら調べても出てくるものは同じだし、行き方が変わる訳でもない。
そんなこと分かっているのに、馬鹿みたいに。
だから行き方に不安はなかった。
久しぶりの電車に乗る。
あまり人は多くない。
それでもどこか視線を感じてしまう。
誰もお前のことなんか見てないよ。
自分にそう言い聞かせながら、入口のドアの手すり棒に、まるで接着剤のように張り付く。
目線は勿論、窓の外だ。
それでも周りの街並みなんて目に残らない。
神経はずっと背中に集中している。
誰か見てないだろうか。
変な奴が乗ってきたと思われていないだろうか。
振り向くことを自ら禁じた状況の中で、そんなことを思いながら、二駅を乗り過ごす。




