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親子の交流編登場人物

 朝、目を覚ますとベッドに複数のちびたちが潜り込んでいた。掛け布団をバサバサとさせると、小さいのから大きいの、髪が黒くて長いのまでころころと転がるように飛び出してくる。


「「「わー!?」」」


 そいつらを部屋に追い返してから洗面所に向かうと、今度は身だしなみを完璧に整え、タオルを持ってにっこりと微笑む少女が待ち受けていた。


「お顔を拭いて差し上げますわ♪」


 洗った顔をぬっと突き出す。それが終わる頃にはちびたちも上の階から戻ってきて、俺たち親子は並んで歯磨きを開始していた。


「ルーちゃん、いちご味のでいい?」


「むにゃむにゃ……わう」


「私は父さんと同じもので構わないよ」


 シャコシャコと響く歯磨きの音。半数以上の子どもたちが集まって、何やらこの場はデンタルケアの教室のようにもなってしまう。それもある意味いつもの光景であり、俺は全員がうがいを済ませるのを待つと、そいつらを引き連れて階下のリビングへと向かっていった。


「あ、お父さんおはよう! 朝ごはんできてるからね?」


 しっかり者の長女がぱたぱたと軽快に走り回っている。テーブルの上には山盛りのサラダ、ハム、パンなどがあって、そこにはそれぞれに温かなカフェオレまでもが用意されていた。


『がう!』


 俺が座ると小さな龍がなぜか得意げな顔をして椅子代わりにしてくる。


「なんだー、父ちゃん。肉、食わないのかー?」


「ううう、わたし、青豆、きらいぃ」


 俺の皿からはハムが奪われ、ぴしぴしと飛んでくるグリーンピースが徐々に、徐々にと溜められていく。


 まるで戦場のような喧騒の中、周りをちびたちに囲まれながら――。


 俺は心に浮かんだ言葉をそのままの形で漏らしていた。


「なんか、子ども……増えたなあ」


「「「「「今さらぁ!?」」」」」


 遅まきながらの実感に、子どもたちは揃ってツッコミを入れてくるのだった。





親子の交流編 主要登場人物紹介



○佐山貴大(32歳)


最近忙しくしている何でも屋の店主。もっと家族の時間を取りたいと考えているが、それもなかなか難しい話のようだ。子どもたちが小さい頃はおんぶや抱っこをしながら仕事をしていて、その時だけは「子連れ何でも屋」なるそこそこマシなあだ名をつけられていた。



○佐山コミエル(10歳)


背伸びをしたい年頃のお姉ちゃん。週に何度か近所の学校に通っていて、読み書き計算、基礎的な歴史、それに簡単なスキルなどを学んでいる。最近は「家事と学業、仕事もこなせるスーパーウーマン」を理想像としているそうな。



○佐山ユミエル(26歳)


大人になったユミエル。身長はそれほど伸びていないが、どこか温かな母性を感じさせる女性になった。子どもたちはみんな分け隔てなくかわいいと思っている。



○フィーニス(9歳)


まだまだ補助輪(封環)つきのベイビードラゴン。定期的に小龍になっては姉や妹たちにペットのようにかわいがられているとか。ちなみに小龍状態での好物は父親の手。放っておけばいつまでも無心でガジガジと甘噛みをし続けるとか。



○ルートゥー(1025歳)


変幻自在な大人の混沌龍。一時期は世間体のことも考えて美女の姿となっていた。しかしそれも長くは続かず、いまでは元の少女の姿で自由奔放に振る舞っている。



○アリシア・コルテーゼ(9歳)


二重人格な女の子。アリスとシンシアがひとつの体を共有していて、分身スキルを使えばふたり同時に存在することができる。本来は天界の介入により「聖女シンシア」として生まれてくるはずだったが、どうしたことか肉体に備わった「少女アリス」の人格が主導権を握ってしまっている。シンシアの方はそれを良しとしているようだ。



○メリッサ・コルテーゼ(26歳)


聖女を生んだ人工聖女様。娘を政治利用させないために全国各地の教会勢力に睨みを利かせている。現在は小さな教会に娘と共に暮らしている。



○フウカ=ロックヤード(8歳)


怖がりで人見知りな女の子。全身の感覚、特に聴覚が人の何倍も発達していて、そのせいで陰口や噂話を漏らさず聞いてしまうことがあった。家族がそばにいればある程度は安心するため、いつも父や母、姉妹の背中にくっついたりしている。



○カオル=ロックヤード(29歳)


シュッとした体形の若女将。子どもを産んでからはふっくらとした体になっていたが、これはいかんと死ぬ気でダイエットを成し遂げた。



○ノエル・ミル・ウルル(8歳)


黒髪眼鏡のちびっ子博士。幼くして天才の異名をほしいままにしており、図書館の大改革、植物園や水族館の増築はこの子の主導で進められた。実は姉妹で一番の甘えんぼなのだが、大きくなればそれも収まるだろうと……貴大はそう思っていたのだが……?



○エルゥ・ミル・ウルル(39歳)


相変わらず研究の日々を続けているエルフ。娘は実験の一環で作ったのだが、産んでみると意外と気に入り、最近は「うちの娘は天才じゃないのか?」が口癖になってしまった。



○エリザベート=ド=フェルディナン(7歳)


悪人顔のお嬢様。見た目はかわいらしいが、微笑みがどうにもサディスティックなものに見えてしまうようだ。性格的には果てしなくいい子で、自分をいじめようとした相手、難癖をつけてきた大人、それらをすべて篭絡してしまっている。弱点があるとすればフウカやクルールくらいのもので、頼られると無限に甘やかしてしまいそうな自分を必死に抑え込んでいる。



○フランソワ=ド=フェルディナン(28歳)


順当に出世をしている次期当主。親の爵位も受け継ごうとしてはいるが、「孫と遊んで暮らすために引退したい」という言葉は容赦なく却下をしている。



○パルフェ・ブレイブ=スカーレット=カスティーリャ(7歳)


姉妹随一のアホの子。自分は冒険者だと豪語するも、報酬のためではなくドキドキワクワクのための冒険を冒険だと思い込んでいる節がある。子ども仲間には意外と慕われているようで、ギルドの託児所ではいつも輪の中心となっている。



○アルティ・ブレイブ=スカーレット=カスティーリャ(28歳)


若手ナンバーワンの冒険者。現在は自分でパーティーを組んで高難易度のクエストなどに出かけている。情が深いため貴大に会いたがることが多い。「出張を減らせ!!」と叫んでいるのもだいたいこの子。



○クルール=ブライト=サヤマ(6歳)


ねむねむおねむなねぼすけわんこ。とにかく四六時中寝ているようなところがあり、実は犬なんじゃなくて寝子ねこなんじゃないかと言われている。別に虚弱というわけではないが、そうならないためにもなるべく外で遊ばせるように気をつけられている。



○クルミア=ブライト=サヤマ(22歳)


若き実業家となったわんこ。孤児院のネットワークを駆使して雇用や仕事を生み出している。現在は屋台街でバチバチ火花を散らせているようだ。



○エリック・フレサンジュ(35歳)


あの淫魔イヴェッタと結婚した青年。ロゼッタという娘もでき、幸せな生活を送っているかと思いきや……? 「妻が娼婦を続けている事実に精神崩壊」「娘がいちいち誰と付き合ったか報告してきて精神崩壊」などの苦労を味わっている。


ちなみに娘のロゼッタはメスガキ系の淫魔。好きな人ほどいじめたくなるタイプで、父にあれこれ報告するのも(ちょっと歪な)愛情表現の一環である。



○セリエ・ポルト(26歳)

 

すっかり大人の女性になった元司書見習い。まだ幼く見えてしまうが、こう見えてすでに子どもがふたりもいる経産婦だったりする。現在は司書の仕事を続けながらエルゥの助手のような仕事も同時並行で行っている。



○ニャディア=ブライト(21歳)


フリーライフに住み着いているにゃんこ。主に夜間配達で生計を立てており、それには少々危ない仕事、アングラな依頼なども含まれているようだ。生活に困ると「あしながおじさん」、どうも兄らしき者の影がちらつくため、それを嫌がってそこそこ真面目に働いている。



○ゴルディ=ブライト(24歳)


発情期とはいえ「ここ掘れ、わん♪ わん♪」という最悪なネタを披露したので、ただいまフリーライフには出入り禁止中。



○王都の権力者たち


気がつくと王都に特異点のような存在が生まれていた。財力と権力の要になりそうな男、それが何もしてこないためにかえって恐怖心に苛まれている。なんで? なんで行動を起こさないの? 理解できずに怖くて毎晩のように泣いている。



○天界の神々・天使たち


気がつくと世界に特異点のような存在が生まれていた。バグと不具合の温床になりそうな男、それが子どもを作りまくるために揃って頭を抱えている。なんで? なんであんなイレギュラーは生まれたの? 理解できずに怖くて毎晩のように泣いている。



これにて親子の交流編は終了! と思いきや、次回は隠し子が登場する「更なる騒動編」! お楽しみに。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新有り難い。 [一言] 嫁ズとのイチャイチャ?ラブも見たいなー。 あとルートゥーの両親とか教会暗部を水戸黄門みたいにバッタバッタ薙ぎ払うとかジパングの薫曾祖母さんとぶった斬れヒゲナシちゃ…
[一言] 隠し子編って作者の予定欄に詳細乗っていますね。 「時の神との戦いにより若返ってしまった貴大。」
[気になる点] 隠し子何人居るんだろ・・・勇者に、ドロテアに、ゴルディに、ニャディアも怪しいし・・・
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