おめでた編登場人物
おめでた編 主要登場人物紹介
○佐山貴大(21歳)
何でも屋〈フリーライフ〉の店主。
今回、盛大に空回りしてしまった男でもある。ハムスターかな? それでも「一人前になる!」という決意は本物だったようで、この事件をきっかけにじわじわと評判を上げていくことになる。
ユミエルとは安定期に入ってから結婚式を挙げた。これで名実ともにふたりは夫婦、フリーライフはユミエルエンドかと思われたが……?
○ユミエル(15歳)
何でも屋〈フリーライフ〉の店員。
今回、妊娠をきっかけに特殊な病気で寝込んでしまった。幸いにして症状は特効薬によって安定し、以後は大きな病にかかることなく幸せな人生を過ごしていく。
入籍を機に佐山ユミエルという名前になる。ユミエルサヤマじゃないのは本人たっての希望であり、自分の名前を書けるよう、漢字の練習も始めたとか。
〇老龍(4000歳)
何千年もの時を生き、医龍の別名を持つ博識なドラゴン。
大抵の病は見ただけで分かるし、治療を施すこともできるのだが、今回はかなり特殊な事例だっただけにメリッサやエルゥの助力も必要となってしまった。異種族間の交配による免疫不全についてはこれで知識を深めたので、今後似たようなことがあっても問題なく対応できるという。だからタカヒロ君は安心してルートゥー嬢と……んん?
〇フェアリーテイル(天然、養殖)
存在自体がおとぎ話だと言われていた薬草。
異種族間の混血、それによる免疫不全を解消してくれる効果があり、妖精種というヒトと妖精の混血種族がいるのも、実はこの薬草によるところが大きい。美容効果のあるハーブとしても知られていて、若々しさを保ちたい貴族のために栽培技術が確立されたのだとか。
天然ものはいまや絶滅危惧種の領域。貴大は見つけたことを誇ってもいいほどの代物だった。
〇????(??歳)
貴大とユミエルの子ども。その名前は……。
一体、あれから何年の月日が流れたのだろう。
フリーライフの看板はわずかに色褪せ、しかし、風格を増して中級区の通りを揺れている。
朝もやが包む春のイースィンド。辺りには人の姿はまだない。日の出にしてはやや遅く、開店時間にしてはまだ早い、そんなどっちつかずの時間帯に――。
何やらごそごそと、事務所の中で動き回る影が見えた。
「よい、しょっと」
扉が開き、脚立がにゅっと表に突き出された。続いて出てくる見た目がバラバラなちびっ子たち。統一感がなく、しかし息のあった少女たちは、力を合わせて看板に手を伸ばすと――。
すぐに何かを取り付けて、そのまま笑顔で店の中へと撤収していった。
残されたのは先ほどと同じ朝もやの街並みだけだ。花の都はなんら変わらず、人々が活気づくのをただ待っている。
フリーライフの吊り看板が風にあおられ、わずかに揺れている。
よく見るとそこには「付け足し」のような何かがあって――。
それにはこのようなことが記されていた。
『フリーライフ・プティ』
『何でもお手伝い、いたします』
本編から続く時間軸はこれにて終了。次章はなんと●●年後!
チャイルドフッド編は10月16日より投稿開始。こうご期待。




