エルゥ編登場人物
エルゥ編 主要登場人物紹介
○佐山貴大(21歳)
護衛の仕事でエルフの村を訪れた主人公。
泣き喚くエルフたちを見て、一人、申し訳なさを感じていた。
エルゥについては、よき友人――というより、腐れ縁のようなものだと思っている。
何だかんだで気安い関係を築いているが……そこに恋愛感情があるかどうかは定かではない。
ただ、家でエルゥがごろごろしていても「まあ、いいか」で済ます辺り、馴染んでいるとは言える。
○エルゥ・ミル・ウルル(28歳)
十年ぶりに里帰りした黒髪眼鏡エルフ。
エルフの常識から逸脱した存在は、両親からも突然変異種、取り替えっ子などと、散々な言われようだった。
恋愛感情を持ち合わせていないように見えるが、それは情緒面の発達が遅れているだけのようで、貴大のそばにいることで居心地のよさは感じているようだ。
ただ、そこに別の理由や理屈をつけて考える辺り、まだまだ春は遠いようである。
里帰り後、貴大との赤ちゃんのことを考えるようになる。
黒騎士の力とエルフの知恵が合わされば、勇者をも越える存在が作り出せるやも……。
テ●ーのワンダーランドじゃあないんですから、せめて相手の合意は得ましょう。でなけりゃ性犯罪ですよ、エルゥさん!
○ゼオルゥ・ミル・ウルル(59歳)
エルゥの父親。
エルフの男性らしく、美貌と若々しさを兼ね備えている。
人間で言えば初老といってもおかしくはない歳だが、エルフではまだまだひよっこもいいところ。
外見も21歳の貴大とそう変わりはなく、娘であるエルゥと比べても同年代に見える。
そうは見えてもきちんと一児の父であり、娘の結婚については誰よりも心配している。
貴大を最初で最後のチャンスだと思って、最大限のアピールをすることとなった。
○アルゥ・ミル・ウルル(51歳)
エルゥの母親。
エルフの女性らしく、美貌と若々しさを兼ね備えている。
51歳という歳ではあるが、エルフの中では『少女』に分類されており、エルゥが大きくなっても『幼な妻』、『若奥様』の域を出ない。
300歳、400歳のママさんがいる里では、アルゥなどまだまだ駆け出しママなわけである。
そうは言っても、娘の結婚のことがまず気になるアルゥは、夫と結託して貴大を洗脳――もとい、教育――もとい、布教――もとい……。
とにかく、エルゥの魅力をアピールすることになった。
○クルルゥ・ミル・マール(28歳)
エルゥにくっついて王都に出ていた女エルフ。
都会も飽きたし、好きな幼馴染もいたので、エルゥを残してさっさと森へと帰ってきていた。
総じて大人しいエルフには珍しく、明るく元気で活動的。心身ともにボーイッシュな女性であり、子どもが生まれてからも、子どもを背負って毎日狩りに出かけている。
エルゥの親友であり、エルゥの魔の手を笑って跳ね除け続けた稀有な人物でもある。
○長老(539歳)
ハイエルフに分類される、長く生きた老エルフ。
500歳を超えればハイエルフ。1000歳を超えればエルダーエルフと呼ばれる。
ハイエルフの名に恥じず、叡智に富み、森のすべてを知っていると讃えられるが――突然変異種であるエルゥについては、完全に彼の理解の範疇を超えていた。
彼女がおぞましいスキルを開発するたびに、長老はビクビク震え、そこかしこで失禁していたとか。
王立図書館に「うちの里に天才がいるよ! 1000年に一度の大天才だよ!!」と教えたのは、何を隠そう長老である。
●【バイオ・グローイング】
エルゥが開発したスキルその1。
魔物の体内に植物の種を打ち込み、それを急速に発育させ、体の内側から魔物の骨肉を突き破る魔法。
できたその日に禁呪指定を受けた。
●【ソイレイト】
エルゥが開発したスキルその2。
食肉植物を操り、魔物を丸ごと呑み込む魔法。得物を仕留めた食肉植物を畑に植え替えれば、豊富な養分を土地に供給してくれる。ただ、不思議と野菜や果物がどどめ色になってしまう。
できたその日に禁呪指定を受けた。
●【テリブル・ウッド】
エルゥが開発したスキルその3。
エルゥがエルフらしいスキルだと自画自賛する魔法。大木を操り、森を荒らす者たちを退治する。
ただ、怒り狂ったように蠢く大樹は、敵を絶命させても止まらない。血と肉が一片残さず粉々になり、魔素の粒子まで分解されたところで、ようやく大樹は動きを留める。
できたその日に禁呪指定を受けた。
○上記のスキルを見ていたエルフの子どもたち
ママ「悪いことするとエルゥが来るよ!」
子ども「ごめんなさい! ごめんなさい!! いい子にするから! 真面目になるから! だからボクを守って、ママァ!!」
ナマハゲ扱いなエルゥであった。
これにてエルゥ編は一件落着。貴大は無事、生き延びることができました。
さて、次章はカオ……カオリ? カオルーンだったかな……ともかく、感想欄でやたら名前が間違えられるあのヒロイン編です。
お楽しみに!




