屠体給餌
数年ほど前から動物園の肉食獣に毛皮や骨がついた状態の獣肉を与える取り組みが行われている
退屈な時間の多い動物のストレスを減少させるためのエンリッチメントというものらしい
駆除された鹿や猪が使われておりなるべく生に近いよう低温加熱されたものが与えられている
頭や内臓は細菌やウイルスなどの感染症の可能性があるとのことで取り除かれている
低温加熱を行えば問題なさそうだが加熱不足があったときの備えなのだろうか
小さく切られた肉は噛まずに飲み込むが大きな肉塊は皮を剥いだり骨を舌で舐めたりと
野生下での食事に近い形となり普段の食事では見られない行動を引き出すことを目的としている
小さな肉は人間に置き換えると流動食のようなものであったのだろうか思うが別の部分で疑問が出てくる
では普段の我々の固形の食事は屠体給餌並みのストレス解消効果をもたらしているのかという疑問である
我々は人は雑食性であり箸や匙などを使って自然とはかけ離れた方法で食事をとることが一般的である
畜産の生産体制や作物の品種改良、調理法の共有で世の中に舌鼓を打つものが飽和しながらも
日常で溜め込んだ物を解消できないことを考えると大事なのは味よりも動作なのかもしれない
器用に箸を使い豆粒からや豆腐まで掴める手先からの感覚で屠体給餌のよう効果が得られるものとは
切り身の鮭よりも頭のついた焼き魚を骨から外して食べることで効果は出るのではないかとも思う
より野性的に手づかみで食べるファストフードが人気なのも米派よりパン派が増えてきているのも
今の現代社会の中でしらずしらずの内に人々が縋り付いた先の拠り所的な役割なのかもしれない
インド料理や手で食べる寿司でも効果はあるのだろうかバーベキューで手で殻をむく海老はどうなのか
純粋な味覚や食感だけでなく動作を含めた上で好物と感じるのもを各々がきっと持っているはず
よく考えたら味は薄いが手で喰らう手羽元の軟骨は最高である




