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アイ・ラブ・カワサキ ラストライブ ーデモのルートー

 午後12時過ぎから続々とルフロン前に集合しだした150人の老若男女は、施設関係者はもとより13時からのデモ行進を警備する警察からも立ち退くよう促されていたが「集会など誰も開いていない。ここで友人、知人と待ち合わせをしているだけだ。確かに国旗は持っているが、今日あるらしいデモとは関係ない。しかしデモは自由参加だと言うので訴えに共感したら参加するかもしれない」等とケラケラ笑い、相手を追い返しては自分たち以外の人に大変な迷惑を掛けていることが楽しくて仕方なかった。

 集合場所として当局へ申請していたのはルフロン裏手にある、線路沿いの細やかな緑道でしかない「ルフロン公園」だったのだ。半立ちしながら尻で寄りかかるベンチが二脚あるだけの、ほぼ散歩道には人種差別友達から結婚に至った熟年カップルのダミー主催者が送り込まれていて、熟年の男女は談笑しながらそれぞれのスマホで「川崎ランチ20選」等を吟味していた。にもかかわらず念のために十人の警察に守られ、私服の公安は退屈そうにスマホをいじくった。

 本当の主催者は川崎市内の役所で定年まで勤め上げた年金暮らしの六十代男だった。近々施行される我が川崎市の「ヘイトスピーチ条例」など露とも気にしていないわりには、この度のデモを「アイ・ラブ・カワサキ ラストライブ」と銘打ち、知ったこっちゃないがすでに悦となり涙目だ。

 カウンターに駆けつけた300人の老若男女も「散歩道」になど行かず、ルフロン前広場に押し掛けた。こちらの有志たちは立ち退くよう促す施設関係者や「友達と待ち合わせ」している連中を早くも、守り始めた警察諸君と激しい口論を交わさなければならなく、どうしてレイシストたちの言い分、それは友達との待ち合わせ、という見え透いた嘘を放置しているのに、差別などやめて家へ帰れと言いに来ている我々には必要に食い下がり、ときには盾で押し返すのだ、と憤った。

 デモのルートはルフロンからすぐの駅前通りを左折し「川崎駅前東」交差点を右折して市役所通りを行き「市役所前東」から平和通りに入ると途中の三又を左へ進み少しばかり歩道を歩いて「新川橋」の信号を渡り新川通りの車道に出る。そして駅へ戻ってくる設定だった。よって先月末のハロウィン時と殆ど同じコースと言えよう。市役所通りから平和通りへ入ると、道幅は一気に狭まるので大変に懸念されていた。どうして当局がこんなコースを許可したのかは分からないが、警備というか、もう完全な警護状態となるだろうこの場面にきたときのフォーメーションは決まっていた。デモ隊の前に50人、左右に50人づつ、後ろに50人を配置する旨、応援に来ている各他県の隊員たちへ伝えられていた。

 一方通行の細やかな道幅を考えれば、先頭を固める50人と両脇の100人の警察により一般の通行人は完全に排除されると思われた。デモ本体の後ろには50人の後方守備隊がカウンターの接近を完全に遮る。もともと真剣に何を訴えるでもない「デモ」なのだろうが、人種差別主義者と警備する我々以外には誰も居なくなる路上状況を想像した大半の隊員は虚しかったが、バカどもが平和通りに入るとき自分の盾はどこの側面を守るのかを承知した。



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