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社会現象 ー45%~55%の比率ー

 日本武道館の日の丸が方々へ拡散されると、今度の「風船」騒ぎは大きな社会現象となり、一瞬だけだが世界中を巻き込んだ。一瞬だけ、というのには明確な要因があるのだが、それとは別に正体の謎は誰にも解くことは出来ていない。もちろん諸々の解釈はいくらでもある。しかしたとえ自らの説を声高に唱える本人にしても実際にはどこか納得感に欠けることは否めず、そのことを口にする謙虚な正直者もいればひた隠しにする者もいた。何のために、何を理由として自らの心の声に背くのか? それもまた、本人にも世間においても謎だった。


 この度の「風船」騒ぎが色物然としたネットニュースや一部のスポーツ新聞で一面を派手に飾る、に留まらず各局のテレビニュースやワイドショー、ラジヲ放送、大手新聞各社、週刊誌等殆ど全てのメディアに取り上げられた理由は、もちろん一つではなかろう。しかし明らかな社会現象となった最も大きな要素は二つだったと考えられる。

 二度目の「赤い浮遊体」は、奇しくもと言うべきなのかもしれないK・POPアイドルの公演会場だった日本武道館に吊り下げられていた「日の丸」と重なるように現れたからで、しかもひと月ほど遡れば、明治神宮の境内にも現れていたのだ。年若い韓国人の女の子たちが歌い踊った日本武道館の「日の丸」と明治神宮の境内、と言う状況なり場所、またそれらの「響き」に心が動いた「日本人」は多く、個人的な思惑を丸出しにするか、上手く隠し通せていると、どちらにせよ勘違いしている政治家だけに限らなかった。先細りしてきている各報道機関の社運や市井で燻る人生のチャンスを感じる、あるいは危機感を感じる全ての「日本人」へ突き刺さったからだ。

 もし仮に場所や状況が違えば「赤い浮遊体」の騒ぎは単純かつ不可解なオカルト大騒動で終るか、熱狂的な宇宙人信者を気絶するくらい喜ばし、子供のころから半信半疑だった大人たちを抱え込める程度で終り、年末に予定していた恒例のテレビ特番内容が急遽かつ大幅な変更を迫られるだけの話しだったろう。

そしてもう一つの大きな要素だが、このことは川崎の空に三度現れる前に判明するのだったが、各学者なり知識人が組織立って、または個人により、学術的な統計調査と検証を行い、あくまで途中結果としたもののほぼ同一する見解を各々に公表したことによる。

 「赤い浮遊体」が現れた現場においても、撮影された画像や動画であっても「見える者」と「見えない者」がおり、両者の比率は45~55%であった。性別、年齢(これは十歳ごとの世代別)、血液型、職種、収入、学歴、趣味(好きな音楽ジャンル別から果ては鉄道マニアにおける乗車好き、撮影好き、廃駅好き等々で分けるほど多岐にわたった)、家庭環境、宗教、病歴、犯罪歴(刑務所や少年院の受刑者たち)、飲酒、喫煙、現在居住する都道府県別、出身地別、平日休日の街角・・・・・・それら全てでの比率も統計学者を絶句させるほど同じような結果がもたらされたのだった。これだけでも数学的奇跡として余りある驚きなのだろうが、我々国民を地球上で最も驚かせたのは45%~55%の比率は「日本人」にだけ該当する、という(あくまで途中)検証結果だ。ただここで述べられる「日本人」という概念は国籍によるモノではなく民族としての血統によった。それは50%以上の含有を条件とした。つまりオールであるか、ハーフか、割合の高い方のクォーターに限られる。そしてそこには「蝦夷」と「琉球」の血統は当てはまらなかったのだ。このことに関しては、日本人として思い悩んだ末に心苦しくも公表した民族学者がいる一方で、同国民差別をする側だけではなく被差別側にも歓迎する者がいた。平山郁夫の日本列島誕生図(外務省の板倉公館に掲げられている)に無理くり気持ちを寄せた先の一人の民族学者は、森や海や近所の辻にだっている、古来の神々と先祖を重んじる「北」と「南」の現代人の誇りによって私の心は救われた、と後に眼を潤ませたものだ。

 諸外国に住む邦人は当然だが、たとえ外国籍の者でも民族的血統に合致する者であれば割合の比率は変わらなかった。現地で生まれ育ち「日本語」を話せない者であろうが、その国の国籍を選んでいたとしても「見える者」が四割から五割いて「見えない者」が四割から五割いたのだ。





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