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世界最強の戦士と呼ばれていますが、欲しいのはそんな称号ではなくて。  作者: いとう縁凛
第二章 都、年下からロックオンされる
26/50

2.18

「さき姉! 手を離して!!」

 突然叫ばれた声に驚き、思わず手を引く。名残惜しそうにバルドゥルは都を見るが、都は見れない。というか、見る時間もなかった。

 バルドゥルの手を引いたみこが、自分の背で彼を庇うように立っている。

「何だか久しぶりな気がするね。バルドゥルから、みこちゃんはお城で生活しているって聞いていたけど、元気そうでなにより」

「さき姉は美人なのになんで婚約破棄をされたのかなって思ったけど、納得した。みこのバルドゥルさんを盗る悪女だったんだ」

「え、ちょっと待って。何を言っているの」

 本当に意味不明だ。意味がわからなすぎて、ついバルドゥルを見てしまう。バルドゥルなら何か知っているだろうと思ったが、都と同じように首を傾げている。

 そんな都とバルドゥルのアイコンタクトを遮るように、四人の中で一番屈強そうで背が高い騎士のような男性の手を引く。みこに手を引かれ、でれっとしている騎士と、それを羨ましそうに見ている他の三人。その様子を見て、元の物語は逆ハーレムものなのかもしれないと推測する。

「バルドゥルさんの攻略って、すっごく難しいんだから!! ロベルトもエリックもクサヴァーもジェラルドも、四人を攻略してからじゃないと仲良くなれないの!」

 みこの言い方からすると、どうやら本命はバルドゥルらしい。みこは十六。バルドゥルは二十五。年の差が気にならないのなら、狙いに行くのが筋というものなのだろう。

 バルドゥルは隠しキャラなのかもしれない。四人を攻略する時間を使っていたため、今まで姿を見せなかったのだろう。

「バルドゥルさん。遅くなってごめんなさい。これからは、みこがバルドゥルさんを救ってあげる」

 ラノベ女子である都は、逆ハーレムの話も読んできた。現実ではあり得ないよねと思いつつ、複数の男性から慕われることに憧れを抱いた時期もある。しかしそれは、あくまでも物語の中での話。

 みこは念願のバルドゥル攻略を開始できて嬉しいのか、バルドゥルの首を触りながら、高校生にしては豊満な胸を惜しげもなくバルドゥルに押しつけている。そんな様子を見て悔しがるが何も諍いを起こさない四人は、すでに攻略されてみこにメロメロなのだろう。

「みこのバルドゥルさんを盗ろうとするなんて、さき姉ってマジ悪女」

 都に対するあからさまな悪評に、バルドゥルなら反論してくれるだろうと見る。しかし難しい顔をしているが、何かを言おうとしているような様子だけで何も言わない。

 バルドゥルとは、確かに擬似的な恋人だった。しかし都が非難されたらその言葉を訂正してくれるぐらいには、親しくなっていたと思っていたが。

 バルドゥルは、どこか虚ろな目をしてみこを見ている。

「ねぇ、バルドゥルさん。みこ、悪女に苛められて辛いなぁ。慰めて?」

 嘘。やめて!

 バルドゥルの首を触りながら抱きしめることを強要しているみこに、バルドゥルがゆっくりと近づいている。口に出して叫ぶことも逃げ出すこともできず、都はただ状況を見守るしかできない。

 身長差のあるみこを、バルドゥルが覆い被さるように抱きしめた。

「っはー。やっぱりゲーム補正って最高!」

 はしゃぐみこは、自らもバルドゥルを抱き返す。その光景も見ていられなかったが、何よりもみこの言葉が信じられなかった。

「みこちゃん? まさか、本当にこの世界がゲームだって思っているの? 目の前にいるバルドゥルは血が通った人間なんだよ?」

「魔王の血もね。混血で悩むなんてマジ尊い」

 さらっと、何事もなかったかのようにバルドゥルの悩みを口にする。尊いと言いつつ、バルドゥルのことなんて何も考えていない。

 その証拠に、虚ろな目をしているバルドゥルは眉間に皺を寄せている。しかし、みこはバルドゥルの苦しそうな表情に気づかない。


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