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世界最強の戦士と呼ばれていますが、欲しいのはそんな称号ではなくて。  作者: いとう縁凛
第二章 都、年下からロックオンされる
21/50

2.13

「右足首? ごめんね、わたしが下手に手を出そうとしなければ、バルドゥルも怪我をしなかったかもしれないのに」

「ミヤコさんは悪くないです。おれが、慌てたから……その、申し訳ないのですが、こんな足ではクエストに行けません」

「問題ないよ。というか、わたしもそのつもりだったの。だから、この服を着てきた」

「そ、そうですよね。ミヤコさんがそこまで考えてくれているのに、おれは……」

「バルドゥルが落ちこむほどのことは考えてないよ。ただわたしが、着たかっただけ」

 バルドゥルは何も悪くない。しかしいつまでも肩を落としているため、元気を出してもらおうと一つの提案をする。

「そうだ。この足だと不便でしょ? 痛みが引くまではわたしがバルドゥルの世話をするよ」

「へっ!? い、いやいや、ミヤコさんにそこまでしてもらうわけにはいきません!」

「バルドゥルが耳は弱点だってわかっていた上で話したからね。わたしが全面的に悪い。それに今日はずっと待たせっぱなしだったし、仕事部屋も壊しちゃったし。わたしの罪悪感を無くすためだと思って、協力してほしいな」

「う、上目遣いで首を傾けるなんて、反則すぎます!」

「オッケー。了承ってことだね。ちょっと待ってて。すぐに戻るから、そこから動いちゃダメだからね!」

 小さい子供に言い聞かせるように念押しをし、都は急いで宿屋に戻る。そして念のために借りている部屋をキープしておいてもらうため、先に払っておいた二週間分に加えてさらに二週間分の支払いをした。

 数日分の着替えやら寝間着やらを持ち、着替えた黒いズボンも一緒に持っていく。そして忘れてはいけない、中華鍋入りのがま口リュックも背負った。

 路地に戻り、バルドゥルに肩を貸しながら昨日と同じ道を辿る。そしてリビングにつくなり荷物を降ろし、洗う予定の黒いズボンを水瓶の水で濡らして患部を冷やす。

「ズボラでごめんね。タオルみたいなのってあるかな」

「あ、えっと、リビングを出て右の廊下を進んだ先に置いてあります」

「了解。そこが脱衣所かな? 桶みたいなものもある?」

「い、いえ、申し訳ないですが風呂はありません。裏庭の井戸のところに桶もあります。おれが」

 立ち上がろうとしたバルドゥルに駆け寄り、肩を押して座らせる。

「こら。怪我人が動いちゃダメでしょ。じっとしてて」

「は、はい。すみません」

 バルドゥルがまた立ち上がらないことを確認した都は、タオルや桶を探しに行く。こぢんまりとした平屋のような家では迷うことがなく、すぐに目的のものを発見した。そして手入れの行き届いた裏庭へ行き、井戸から水を汲む。

 バルドゥルの右足首を冷やすタオルを変えたりズボンを水洗いしたりと、パタパタと走り回る都。その様子を見ていたと思っていたバルドゥルが、机に突っ伏していた。慌てて駆け寄り確認すると、どうやら熱が出ているようだ。

「すみません……昔から、体調が悪くなる時はすぐなんです……。その分、良くなるのも早くて……一晩寝れば、明日の朝にはミヤコさんを宿まで、送れるので……」

「体調が悪いのに、そんな心配しなくていいよ。ほら、寝室に運ぶから。肩に手をかけて」

「ミ、ミヤコさん、それはさすがに……」

「大丈夫。成人してからはなくなったけど、昔から弟を世話してたから」

「い、いえ、そうではなくて……」

「もう、何をぐだぐだと言っているの。体調が悪い時は寝ないと……って、そうか。バルドゥルも男の子だもんね。疑似とは言っても恋人には見られたくないものもあるよね。なるべくそれらしき物は視界に入れないようにするから、ほら、肩に手を乗せて」


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