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世界最強の戦士と呼ばれていますが、欲しいのはそんな称号ではなくて。  作者: いとう縁凛
第二章 都、年下からロックオンされる
11/50

2.3

(うっっ……)

 考え事をする癖なのか、バルドゥルは耳が隠れるほどの長い髪をかき上げるように触っている。いつもは見えない尖った耳が見えた。そんな姿を見てしまい、思わず息が詰まる。

(やばい。バルドゥルさんの、無意識の仕草がやばい。やばいしか出てこない自分の語彙力もやばい)

 ライトノベルの挿絵のような、色で例えるなら桃色もしくは紫のような艶やかな雰囲気のバルドゥルから目が離せない。これが都に向けられたら、果たして耐えられるかどうか。命がいくつあっても足りないかもしれない。

「はっ。そうだ。中華鍋が勝手に大きくなるのは、三回目。全部わたしが命の危機を感じたときです!」

「と、いうことは、先程の状況でアネサキさんが危険な状態だったってことですか!? ……何故??」

 バルドゥル自身は、都を守ろうと必死だったのかもしれない。しかし守られる側は自分が頭を打つかもしれない可能性よりも、眼前の男前な顔を見てしまった。だから物理的距離が近すぎることを意識してしまうのだが。

(待って。心情が違うのかもしれないけど、状況的になぜバルドゥルさんは赤面もしてないの!?)

 ギルドで都を庇ってくれたことを思い出す。

(同じチームになろうとしていた人を撃退するために恋人みたいなアドリブを要求され、それに応えた。あれ、でもバルドゥルさんは赤くなってなかった……? そ、そうだ、その後に行った雑貨屋で赤くなってたんだ)

 思い出してみると、恋人らしい雰囲気を醸しだすときは全く照れていない。それどころか、周囲の様子を確認する余裕すらあった。しかしそれがバルドゥルだと言うのなら、雑貨屋での恥じらいはなぜなのか。

 まるで二重人格だと思う反面、ここは異世界だ。元の世界がある。バルドゥルがもし元の話の中での重要人物であれば、恋愛事は臆せずにできるのかもしれない。

(……いや、この場合は二人になったときの恥じらいがギャップ萌えの部類かな)

 可能性を出してみたが、目の前のバルドゥルは恥じらっていない。転びそうになったところを助けるなんて、恋愛にはありがちな展開だ。しかし雑貨屋は恐らくイレギュラーで、あれがバルドゥルの素なのかもしれない。

(男前の恥じらい……何それ、超見たいんだけど)

 ちら、とバルドゥルを見る。投げかけた質問の答えをずっと待っていたのか、目が合った。

「答えは出ましたか」

 冷静だ。バルドゥルは至って冷静だ。それが逆に、一人で盛り上がっていた都の羞恥心を煽る。

 何度か深呼吸をして落ち着いてから、答える。

「お、恐らくですね、バルドゥルさんの整った顔立ちがものすごく近くにあったので、お、驚いたのではないかと」

「ありがとうございます。整っているなんて初めて言われました。確かに、驚くと心臓の音がうるさくなりますもんね。ですが、そうなってくると疑似恋人は難しいでしょうか。先程ぐらいの距離感ですよね?」

 都的にはかなり攻めた言葉だったのだが、軽く流されてしまった。そうなってくると余計に、表情を変えさせたくなってくる。

(……こういう強気な思考が、婚約破棄される理由の一つかもしれないけど)

 考え事をしているバルドゥルは、また髪をかき上げるように触っている。都のことで考えているが、都のことを考えているわけではない。

(うぅ……バルドゥルさんの、色んな表情を見てみたい……)

 都は、恋愛に関しては超がつくほど奥手である。しかしそれは自分が迫られるなら、という話。自分が攻め込むならば、逆にワクワクしてしまう。


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