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テン★漢♡娘  作者: 風月七泉


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27話:お引越し計画




「なぁ……一つ聞いて良いかな?」

「うむ良いぞ」

「あのね、ここは僕の部屋なんだけど……なにしてん?」

「なにって見れば分るであろう?」


 僕の部屋には何故か知らないけれど、カミの分であろう布団が敷かれている。隅っこの所にあったはずのベッドは綺麗サッパリ無くなっている。


「お母さん⁉ どういう事なの⁉」

「どうもこうも、お引越しするまでは部屋がないんだから、仕方ないでしょう?」


 困り顔で頬に手を付いて、悪びれもせずに言いながらニッコリと微笑んでこちらを見る。

 どういうつもりなんだと、僕は一生懸命に睨んでいる筈なのに。


「別に問題ないでしょう?」


「いやいや、何を言ってるのさ。僕は男、あっちは女。一緒の部屋に寝かせちゃあ駄目って一目でわかるよね⁉ こんな成りでも僕よりも年上なんでしょう」


 睨んでも効いていなさそうなので、今度は必死に訴える事にした。


「こんなんって酷いのう」

「男は狼って言いたい所なんだろうけどね……紬ちゃんじゃあ良くって子犬?」


 実の母親に物凄くショックな事を言われた気がしたけど、気のせいだよね。


「信頼できる男の子ではあると思うが……言うては悪いが、そこまで男っ気があるとも思えんのう。どうせ近くに年頃の女子が寝ておっても、襲う事すら躊躇うのではないか?」


「全くね。絶対に怖がらせちゃ悪いとか、気持ちよさそうに寝てるからって気を遣う言い訳を並べてて、結局は襲ってくれないヘタレよね~」


「良いのか⁉ そんな事を言って。隣で寝てた事を後悔するのはカミなんだからな」


 僕が精一杯に怖がらせようと声を大きくして放った言葉なのに、母さんもカミも何故か怖がる処か、憐みの視線を向けてきている。


「顔が可愛すぎる男というものも、こういう時には同情してしまうのう」


「はぁ、将来が心配になっちゃうわね。まぁ紬ちゃんの近くには逆に押し倒してくれそうな子達が多いことが救いかしらね」


「な、なんだよ二人して」

「ほれ、しっかり怒ってみよせ」


 なんで脅かそうとしている方に、心配されながら促されなきゃならないんだ。


 しかし、実際に怖がらせようと思うけれど、どういう感じで怒れば良いのかが全然分からないという問題が発生していた。


 脳内で一生懸命に強そうなイメージを浮かべて、怖い動物なんかを思い出す。


「がっ、がおー」


 ライオンだかクマを想像して飛び掛かるイメージで怒ってみたのだが、カミの方はポカンとした表情でしばらく僕を見つめていた。


 次第に顔をゆっくりと逸らして、肩が小刻みに揺れている。

 初めは成功したのだろうと思っていたのだが、どうも様子がおかしい。


 母さんの方を見てみると、必死に口元に手を当て声を出さない様にしながら、肩を揺らしているのが分かる。なんだか、怖がっているというようりも必死に何かを我慢している様にしか見えないのは気のせいではないはずだ。


「いや、すまない。改めて思ったが寝る時にお主を女に変える必要性もなさそうだと、今しがた思い知ったというか、知らされたところじゃ」


「はぁ! どういう意味だよ⁉」


 確かに寝る時になって女の子の体に変えてしまえば、別に問題ないのか。

 いや待て、そんな事を考えていたのか、この二人。


「今の瞬間をカメラに収められなかったのが心残りね」


「安心せよ。ほれ見てみよ。こういう事に神通力を使ったのは初めてではあったが、確かにあの瞬間は実に惜しいからな。お主らに買うて貰った、このすまほとやらの、撮影機能に先ほどの一瞬を残しておいてやったぞ。ただ、開き方が分からぬ」


「あらまぁ! ありがとうねカミちゃん」


「何を勝手に撮ってるの、っていうか僕が良く解ってないんだけど説明してくれないかな⁉流石に泣くよ」


「まぁ待て、こいつは自分の目で見た方が早かろう。しっかりと現実を受け止めるがよかろう。でないと紬の場合は理解出来そうにないからのう」


 なんか良く解んないけれど、物凄く失礼な事をカミに言われている気がする。


 そのカミが撮ったという写真を見せてもらおうと、僕も母さんの近くに寄っていき、カミの持っていた携帯電話の画面を覗き込む。


「ここにちょっと動物の寝間着をきて、尻尾を書き足せば物凄く可愛くなるわね」

「ねぇコレって、僕が怒って襲い掛かろうとしてる……所だよね」


 自分で聞くなと思っていても、確かに先ほど撮られた写真を見る感じでは、全くコワクナイですね。何でしょうかね……この猫ポーズで写真を撮られている感じは。


「そうであろうな、怒っていると言われても、この写真だけ見せられた場合、我は信じぬがな。むしろ、何かの罰げーむとやらでやらされた一枚絵としか思わぬぞ」


 ついに我慢できなくなったのか。

 二人とも一気に口から「ぶふっ」空気を噴き出して、大笑いを始めてしまった。



「実に可愛らしい、むしろこれで襲われてみたいと思うてしもうたではないか⁉ 逆にどうしてくれる」


「もうアレは、逆に襲われても仕方ないわね」


「笑うな~⁉」


 急激に顔が熱くなって、必死に二人の笑いを止めようと叫んだ。





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