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家の周りに転がるそれを見て、僕は吐いた。死体だ。死体が辺りに散らばっている。地面が死体だと錯覚する程に。
「うっ、ゲエっ」
逆流する胃液を抑えられず僕はまた吐いた。唯一の安心できるところは、ゴブリンの死体が無いということだ。家族同然の人達が死んでいない。もし、みんなが死んでいたら、僕は生きて行けなくなるところだった。よし。まずはみんなを探そう。胃が痙攣するのを抑えて僕は立ち上がると、洞窟へと向かった。
洞窟へ向かっている途中。
『カイトか?』
フシバさんの声が聞こえた。良かった、知ってる人の声だ。そう思ってそっちを向く。そして、僕は青ざめた。
「フ、フシバさん!!」
彼の体は、傷だらけだった。HPを確認すると、500ぐらいあったHPが20ぐらいにまで減っている。しかも出血によるダメージで、まだまだHPが減っている。
「フシバさん!絶対にその場から動かないで!」
僕はそう言って、近くに生えていた魔力草を引き抜いて口に放り込む。それと同時に脳内にウィンドウを呼び出して、〈白魔法 内容〉と打ち込む。そして、それを頭に焼き付けた。
「ぐっ」
魔力草のゲロマズな味と、頭の芯に響く痛みで、一瞬意識が飛びかける。が、それをこらえて、フシバさんにヒールをかける。徐々にフシバさんの傷が消えていき、数分もすれば傷が完全に消えた。
「良かっウゲエ」
気が緩んだら、魔力草のゲロマズな味を強く感じてしまい、僕は胃の中身をぶちまけた。