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本好き勇者のお店屋さん〜クソ雑魚勇者の辺境店舗  作者: 夏飼 今日輸
2章 2冊目 獣人の魔法使いと時の止まったお姫様
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38ページめ

もっと早く書くのぉ!自分でわかってるでしょぉ!(自戒の叫び)

 死にかけた後、図書室。やはり本。本こそ我が幸せ。本があれば我が心は死なず。つまり何が言いたいかと言うと、


「本がたっぷりだぜ(じゅるり)」


 おっと、涎を垂らしてしまった。本が汚れてしまうじゃないかおバカさん。どんな本でも優しく丁寧に扱わないと。それにしても───。


「本がいっぱいだぁ──」


 流石は王宮図書室。馬鹿みたいな量の本が本棚に納められている。軽く家1つ分ぐらいの部屋にこんなに本を詰め込むとは、この部屋を造った人は『センスがある』としか言えない。


「では早速……」


 僕は近くにあった本棚から目に付いた本を引き抜いた。


「あの、」


「ピィヤあああああああああああっ!?」


 思わずオンナノコのような悲鳴をあげてしまった。それと同時に飛び上がりながら振り向く。


「ごっ、ごめんなさい。驚かせてしまいました」


 そこにいたのは、王女サマだった。


「ああいや、こちらこそ」


 驚かせてしまったことを詫びつつ、話しを切り替える。


「そう言えば、滞在許可を貰えました」


「本当ですか!?」


 はい、と返事をして頷く。フフン、店長さんをしてる時の僕はこんな感じなのだ。


「では、遊びましょう!」


 そう言って王女サマは僕の手を引いた。ちょ、力つよ──。


「ちょわっ」


 僕はそのまま引っ張られ、お持ち帰りされた。





 そして、王女サマの部屋。


「これで遊びましょう!」


 そう言って王女サマが取り出したのは、ボードゲームだった。しかも指揮官育成とかに使われるような本格的なボードゲームだ。一体なぜそんなモノがあるのか。怖いから訊かないでおくが。


「はい、遊びましょうか」


 内心の驚きを表に出さずに理想の店長さんを続けながら、そっとルールを【検索】する。


「あら、ルールは教えますよ?」


 ………なんでバレたし。


「おや、ではお願いします」


 なんかキャラがブレた気がする。動揺が出てしまったかもしれない。

 しばらくルールを教えて貰い、いざ実戦。


「………ウググググ」


「小隊の追撃によって大隊は壊走。大勢は決したのではないでしょうか?」


 え?大勢は決したってか、普通に負けだが?ここから勝つには、奇跡が起きないと無理だが?いやまぁ、あと1ユニット行動出来はするのだが、サイコロで配置場所を決めた暗殺者ユニットが頭を取れる訳もなく──。


「では、状態チェックでお互いのユニットの状態を確認します」


「はーい」


 気の抜けた声で返事をし、壊滅的な盤面を眺める。


「あら」「ゑ?」


 指揮官と暗殺者が同じマスにいた。


「ええええええええええええ!?」


 びっくりした。今年の運を全て消費した気分だ。


「…………やはり、1体残っていましたか。賽に任せると(ランダムだと)、読むことができませんね」


 何も考えずに配置してたのもバレてるし。しかも、数もバレてる。頭の出来が違いすぎるな。これがジーニアスという職業のチカラなのか、それとも、本人の素の能力なのか、それとも血筋のせいか。


(もしくは、その全部か)


 そこまで考え、王女サマの方を見る。


「討たれる可能性は──、やはり──。………私が取れうる最善を尽くして負けた、ですね」


 3歳が、いや、魂はともかく、肉体的には1日すら時を数えていない子供がするような試合内容の振り返りじゃないんだよなぁ。


「もう1度やりましょう」


「嫌です」


 即答したら、心底不思議そうな顔をされた。しょうがない、この世の真理を教えてあげよう。


『ゲーマー兄妹』(えらいひと)は言いました。勝ち逃げすれば良いんだよカッコイヤクカッコトジ、と」


「……………嘘です。偉い人がそんなこと言う訳ありません」


 まぁ少なくとも、えらいひと、ではないな。すごいひとではあるが。


「フフン、いいことを教えて差し上げましょう。世の中には、『勝てば官軍』という言葉があります。これを極めて恣意的に解釈すると、魔神の隠し槍(初見殺し)でも、イカサマでも、徹底的な対策でも………持ちうる全てを尽くして策にハメて勝ち逃げすれば良い。つまり──」


「本音は?」


「……………」


「ええ。負けられない、負けてはいけない戦いでは、全身全霊をもって、どんな手を使ってでも勝ちに行く。心に刻みたい素晴らしい言葉です。しかし、私との再戦を拒む理由にはなりませんよね?」


「………」


「(ニッコリ)」


「───酷い負け方するのが嫌だからです」


 あ、圧に負けた。怖いよぉ。この見た目の女の子から放たれていい圧力じゃないよぉ。


「では、違うゲームにしましょう」


「ハイ………」


 そうして、いくつかのゲームをすること数時間。


「あ゛ーっ、また負けたぁ!」


 酷いよぉ。全敗で惨敗で完敗だよぉ。心の中で泣きながら、どうすれば勝てるかを考える。どうすれば勝てるのか。どうして勝てないのか。勝っている場所は何処か。負けている場所は何処か。それらを計算し、『IQ53万の俺の脳内CPUが弾き出した結論は…』


(|『"勝利"』《『ビクトリー』》)


「勝負だ!」


 まず、トランプを呼び出す。大した情報量じゃないので少ない消耗で出せる優れものだ。


「ルールは簡単!絵札を引いたら負け!」


 スキルに任せたオートシャッフルでバラララジャラララとカードを操りながらルールを説明する。


「『俺のターン!』」


 そのまま山札の上に手をかけて、


「『ドロー!』」


 カードを捲る。


「ジョーカー!」


 捲ったカードは、笑うピエロ。


「俺の…………負けだ」


 僕は崩れ落ちた。

3歳児(3歳児スペックではない)にボコボコにされる主人公。

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