3ページめ
2、30曲ほど聞いた後、僕はポイッという感じで投げられた。レベル1の扱いではないと思う。
「いたた。どこだここ?」
やっと縛られ超特急が終わったと思ったら、何だここ?まるで王宮だ。
「まるでじゃなくて、本物の王宮だよ」
あーあー。何も聞こえなーい。さっさと帰ろう。僕が外に逃げようとすると、ガッと襟が掴まれた。
「グエッ」
うっ。聞こえちゃいけない声が出た。喉痛い。調べると、HPが1減っていた。
「帰らせて下さい」
痛い喉を抑えて僕がそう言うと、王様にあってけという嬉しい言葉をちょうだいした。くっそ聞かなかったことにしたい。
「解りましたよ」
そう言って、振り返った僕の目に入ってきたのは、美人なおねえさんだった。
「びっ、美形は嫌いです!話しかけないでください!蕁麻疹が出ます!!」
「そーかい。じゃあ、さっさと入んな」
え?と言うまもなく、僕は扉の中に放り込まれた。ゴロゴロと4回転ぐらいして大の字に寝転ぶ。痛い。しばらく動きたくない。
「こんにちは、カイト・カヤノ。」
「あ、こんにちは王様。痛くて動けないので、しばらくこの格好で失礼します」
「はははっ。思ったよりも面白い人だね。カイト君。では、代わりにお願いをきいてもらえるかな?」
なんですと?国王様からお願いされるような功績は持っていないはずだが。
「何故、僕に?」
立ち上がりながら僕が言うと、王様−確かエリクスという名前だったはず−が笑って言った。
「そんな未来が見えたんだ。けど、どうやら、まだみたいだ。またね、カイト・カヤノ君」
何なんだ一体。呼び出して、帰すって。まあいいや。帰ろう。
王宮を出て、今までの道のりを検索する。うわ、遠い。