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円空~ENKUU~

作者: すみ いちろ


彫り続ける



嘘はない


形を遺さず


顕現させず


ただ命からしぼり取った


一滴


行き場を失った


ただひたすらな


わずかな光


求め


目に見えぬ暗闇


ひたすら彫り続ける


最初からあった十二万体


そこにある影


ただ見つめていた



悲しみくつがえす


時をくつがえす


刻み続ける


祈りの行方


ひたすらな命


苦しみの中


呼吸する



彫り出された


祈り


木の中で生まれ変わる



等身大の命


地を這ってでも 

 

ひたすらに


生きることをやめず


暗闇を突き進む



彫る


刻む



熱を帯びて生まれた先端


刃先から生まれた鋭さ


音より響く


無限


研ぎ澄まされる


まるで


最初から生まれていた


命の星


削り取る


原初の眼差し



人に会う


限りない命


誰かを想う


苦しさ超える



地に落ちる


渇く前に


彫り終えた


ひとつ


塊に傾けた


ただ形になった


影みつめる幻


炎の憤怒


月の微笑み

 

星から削り取る


祈り


命救う


光救う


暗闇照らす


どこまでも続く


祈りの導き


一本の刃


ともに


生まれる



祈り彫る


世界


永遠


どこまでも


暗闇から彫り出し続ける




木から(すく)い出す


そのもの



手のひらの上の光


小さな光


どうかとどきますように


願い祈り果てぬ


命の果てを


彷徨い続ける


決して


果てぬ


どこまでも


ともにいるから


あなたのそばに


出会った人たち


祈りに変えて


命に変えて


木の中に


生まれ光とどける


途絶えぬ想い


光にかえる


この世を渡る浄土の光


空を刻む


空を彫る


朽ちぬ即身仏


浄土を望む遊行の果て


ひっくり返る


弥勒の寺の中


眼差し照らす本尊


最期にみた


救いの眼差し


そこに


そこに


奈落さえ光輝く救い


こぼれ落ちた最期の力


天に昇っても


癒し救い続ける


光りの刃の先端とともに


土におく


生まれ望む光






























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― 新着の感想 ―
[一言] 振るう鑿の音が聴こえそうな、躍動感ある詩ですね。静寂の中に、刃と木の音。仏像を彫る、秘めた熱情が伝わってきました。 素敵な情景を、ありがとうございました!
[良い点] 円空さんの仏様みたいな、すみさんの詩 [一言] 円空さんの和歌ってあまり覚えてないなーと思い、探してみました。 円空さんはお坊さんですけど、日本の神様のことも随分詠んでおられる。今回驚いた…
[良い点] 「刻み続ける 祈りの行方」 ここ、好きです。(*´ー`*)
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