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斎木icラボ

おにぎり部隊

作者: 斎木伯彦

 その日は朝から牛乳の雨が降っていた。

 鬼を斬る部隊と聞いて入隊したのに、訓練と称して行われるのはイジメにも似た苦行ばかり。

 ああ、また目の前で牛乳の雨が降る。

 ブラック企業のサラリーマンでさえ、ボロアパートに住む大魔王でさえ、ブラウン管の向こうの名探偵でさえ、こんな真似はしなかった。

 幕末の農民が最後の侍になったという伝説がある。

 文学少女が森の聖女と呼ばれる世界の果て、おねぇ言葉の偽物にさえも動じない強い精神力、明鏡止水の心を持てと忍者ファイターに言われ続けて来たのでもない。

 感情をコントロールすることで、ドラゴンさえも倒す必殺技が得られるとでも言うのか。

 これは教官たちの暇つぶしではないのか?

 降りしきる牛乳の雨が入道雲を形作るかと思えるほどに降り注ぐ。

 いよいよボクの番だ。

 牛乳を口に含んで待ち構える。

 心臓が早鐘のように脈打つ。ああ、早く終わってくれ。

 目の前には白鳥の湖を踊るバレエダンサーの姿をしたハゲ頭の厳つい教官が出現した。

 ダメだ、限界が近い。

 その股間から生える白鳥の頭は反則だ。

 刹那、口に含んでいた牛乳を吹き出した。


「全員不合格」


「教官、一つだけ質問してもよろしいでしょうか?」


「許可する」


「鬼斬り部隊とは何ですか?」


 質問に教官は答えてくれる。


「おにぎり部隊とは」


 何?


「お前たち、新米のことだ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] オチがとてもいいです。 落語的感覚ですね。 [気になる点] 途中で味がバラけてしまってます。 具に詰め込みすぎですね。
[良い点] 炭〇郎もびっくりの新人訓練に笑いました(●´∀`●) 主人公の脳裏に去来する例えがまた秀逸で( ´艸`) 個々を妄想すると危険ですね。腹筋が。 おにぎりがまさかそう繋がるとは…! 楽しませ…
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