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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう⑯)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。




・・・・・ん?


突然意識が浮上したティリエスはその場でむくりと起き上がる。



・・・なんだ此処?


見渡せばなぜが自分は今白い部屋の中にいた。しかも私は真っ白なワンピースを着ていた。

白い部屋というよりこの部屋の広さが何処まであるのか把握できないので正確に言えば白一色の景色の場所に居る、といった方が正しいのかもしれない。



『可笑しいな。私、寝てたよね・・・あっれー?夢かこれ?』

少し反響して聞こえる私の声を聞きながら首を傾げる。


眠り落ちる前の記憶は確かにあるし、それからどこかへ行った記憶もないし服装も寝る前のピンクのネグリジェだった。

と、いうことは夢という事で結論がつくけれど、どうも普通の夢ではなさそうに思う。



景色は現実ではないが、こう妙に自分の意識がはっきりしているというか夢にしてはこう、ごちゃごちゃと考えられるというか・・・。


なんか、変な感覚だな。


『というか、真っ白な世界でただ独りとかの夢を見るとか・・・私、実は隠れて病んでんのか?』


人どころか建物も草木もない設定の夢って心が闇だらけではないのだろうかと少し心配した、その時だった。



首筋がピリッと何かを感じたのだ。

静電気のような感覚に思わず咄嗟に右手で首の後ろを覆う・・・と、何か既視感を覚えた。


なんか、この感じ最近感じたような・・・何処だったっけ?・・・あ。


『そう言えばルル村から帰る時に人に見られていたような感覚に似てる・・・気のせいだったけどその感じに似てるなぁ・・・あ。』


そう言いながらなんてことはない、ただ後ろを振り返ってティリエスはあるモノを見つけて首を擦ったままの姿で固まった。



『・・・ワンちゃん?』


何もない空間が広がっていると思っていたら、白い犬がいることに目を丸くさせた。

よくよく見れば白いというより銀色に毛が輝いているので銀色・・・の犬が遠くでこちらをじっと見つめていた。


何も居ないと思ったからなのか銀色のワンちゃんが召喚されたのだ。

遠目からでも分かる、艶のある美しい毛並みの犬が特にこちらを威嚇するわけでもなく凛とした佇まいでこちらを見ている。


飼い犬設定なのだろうか?・・・はて?


だがここでもティリエスは不思議に思って首を捻る。


動物は全般に好きだ・・・が前世でも今でも私は犬よりぬこ様・・・猫が好きなのだ。

しかも一般では見ることが出来ない銀色の毛並みを持つ犬が急に現れた、これは一体どういうことなのだろうか?


と、すくっと犬が立ち上がりこちらへゆっくりと歩を進める。


『・・・え?なんかでかいな君。』


てっきりゴールデンレトリーバー並みの大きさと思っていたがそれよりもでかい犬にティリエスは驚く。尾がゆるゆると機嫌よく振っているその犬の前足をみてぎょっとする。


犬にしては長く鋭利な爪が見えたからだ。その鋭利さに自分がちょっとでも触れればすっぱり身が切れるのでないかという予感が脳裏を掠めた時、ティエリスは犬の顔を見て後悔した。


口開けて涎たらしとる・・・。


それを見た瞬間、ティエリスは脱兎の如く走り出した。

自分はあの犬、もとい牙の大きさから狼だと察したティリエスはとにかく距離をとるしかない。


後ろを振り返るとキョトンとして立ち止まっていた狼は、私が逃げているのを感じ取ったのかスッと顔つきを変え追いかけてきた。


ど、どうしよう。やっぱり追いかけてきた!


ここは魔法を使うしかないと魔法を出そうとしたが、私の手からはうんともすんとも魔法の片鱗が見られない。

なんてこった!と走って疲れてしまい失速していくなか切望して後ろを見ると、狼も失速したのがわかった。


・・・あれ?



息切れを整えながらティリエスはその場に立ち止まると狼もその場に止まる。

そして尾をふりふり振ってこちらをジッと見る。


『・・・・・・。』


今度は後ろを見ながら先ほどより遅く走りちょっとしてその場に止まる。

すると狼も自分を見て同じように走りそして止まる。

一定の距離を保って私について来ているようだ。



なんだろうか・・・?私を食べる為?というわけではない・・・?

相変わらず涎を垂らして『へっへっへ。』と息を荒く吐いてこちらを見ている事に若干ひやりとしつつも、尾が嬉しそうに降っているのが見えたので機嫌が悪いというわけではなさそうだ。


不安が拭えないけど・・・。

今度は私が狼に近づくことにした。ゆっくりゆっくり刺激しないように近づいた。

狼の目と鼻先まで近づいたが狼は何もしてこずジッと私を見つめるだけだった。


『お、お願いだから食べないでね。私を噛んでも噛み応えないから。』


嘘です、こんな柔い肉付きの子供の肉なんて動物からしたら御馳走だ。

どうか、そのことに気が付きませんようにと祈るほかない。


と、狼が『フンっ!』とタイミングよく鼻息をだしたので思わず目を丸くする。

まるで『食べるわけないだろ。』と飽きられて言われているように感じたのだ。


『君、言葉が解るの?』


今度はそう問いかけると、蒼い瞳がスッと細めてこちらを見る。

まるで笑っているようだった。


とりあえず私を食べるわけではないみたい・・・。


理解しているしないは兎も角、自分が食べられないと分かったので狼の隣にちょこんと座る。

狼は一度べろりと口元を舐め口を閉じると、体勢を崩して遠慮なしに私の太ももに重い大きな頭をズィっと乗せてきた。


所謂膝枕である。

咄嗟に頭を支えるように触ったが機嫌を悪くすることがなかったので、私はそのまま綺麗な毛並みを堪能するように頭を撫でる。


『君遠慮ないな。私初めてしたよ膝枕。』


そう言うと口元を歪めてにやりと笑われた。

成程、どうやらこの狼は性格が少し捻くれているようだ。


意地悪に笑っているが尾が嬉しそう左右に振っている、素直じゃない奴。


というか・・・。


『君、帰るところあるんじゃないの?早く家に帰りなよ。』

途端、狼はギロリと機嫌悪くされ大きく鼻息を1つするとまるで不貞腐れたように頭を更に埋めた。

どうやら触れてはいけない内容だったらしい・・・というか。


『ちょ、重い重いっ!』

先程より重くなった頭に思わず抗議するが、狼は聞く耳を持たない。


『ちょ、ちょっと・・・あの、狼さーん!重い!!』


苦し気に言うと、狼が面倒そうにのっそりと頭を上げ私を見た・・・次の瞬間。


ガパリと大きな口で私の顔面目掛けて迫ってきて―――。


かぷりという軽い音と共に私の目の前は暗転した。












―――――――――――――――――― 


―――――――――


――――――――


―――




・・・重い。

徐々に覚醒してきた頭と共に思ったのが、いつもより重い布団の感覚だった。

なんだか重しが乗っているような・・・ん?一体なんだ?


徐々に目を開くと、いつもと同じ自分の部屋の壁が見えベッドの上だと分かった・・・が、一緒に銀色の束が見えた。三つ編みだった。


「・・・ん?」

これは可笑しい・・・そう思って横になっていた身体を仰向けに変えて前を見た。


なんと、そこには黒い服を着た銀の長髪の男が自分を跨いでじっと見下ろして居た。



「・・・ん?!!」


自分の眠気が吹っ飛んだ瞬間だった。








いつも読んでいただきありがとうございます。


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