如何にして私はここにやってきたのか(本人だってよくわかっていない。)⑧
私はあるものを取り出す。それは私が試しに錬成しまくった物で硝子をつくろうとして宝石に変化したものだ。あの鉱石がとれたむき出しの山には色々な鉱石の成分があったのだろう、それに反応していろんな種類の宝石が出来たのだがその中で私が目を引いたものが2つあった。
1つは紫の色の宝石、もう1つが緑色の宝石だった。
その時の鑑定にはこう記されていた。
ロードライトガーネット(紫)★★★★★★★★★☆→錬成で作り出された宝石。純度が高く美しいものほど高価とされている。ガーネットは色によって効果や意味も変わる。紫色は古代から神聖な色と謂われ心と魂を強化するといわれる。持ち主の夢を捉え適切なチャンスが与えられる、未来を切り開くための幸運を招く宝石。
付属効果:あらゆる負のエネルギーの浄化 精神力の向上 幸運++
ペリドット(緑)★★★★★★★★★☆→錬成で作り出された宝石。純度が高く美しいものほど高価とされている。古代から守護石と謂われ一族の繁栄を願う宝石という事から王族に献上されていた宝石の一つ。持ち主に若々しい力を与え気持ちを高める。夫婦円満の宝石とも謂われる。
付属効果:活力の向上 あらゆる物理魔法攻撃の守護 治癒の向上++
作り続けた結果、こういった具合に私が錬成して上手くできたものには様々な効果付与しているものが出来ていた。しかもゲームと同じでレアリティまで分かっている。
10段階のうち9段階のレアリティか・・・・惜しいあともう一声欲しかった。
でも慣れてない状態で作ったのだからこれは一番良い出来なのかもしれない。
もしくはもともとこういう素質を持っていた鉱石が錬成によって現れたのかもしれない。
まぁそんなこと考えても夢だし感覚で『出来る』と思って何となく作っていったものだし分かるわけもないか。
と、少し話しがそれてしまったが、この2つが出来た時私は思ったのはアドルフの紫色の瞳に、リリスの若草色の瞳に似ているので彼らにあげるのならこれが良いと思ったのだ。
何故?と問われると困るのだが、強いて言えば…女の直感、と言うしかない。
よし、夢の中だしきっと上手くできるだろう。
この2つの宝石の感触を確かめながら、魔力を掌に造り出してゆっくりとそれに魔力を送る。
だんだんと魔力を帯びていくそれらは強い光を放ちながら氷のように溶けていく。
形を保てなくなった2つの宝石は今度はトロリとした蜂蜜のようで互いの鮮やかな色を保ったまま溶け合わさっていく。
反発がない、ということは順調みたいだ。
手応えを感じた私はこの魔法にゲームで得た知識と新しく構成する。
2つの特性が上手く溶け合うようにゆっくりとかき混ぜていく様を想像する。
そして、願いを口にする。
2人の先の未来に少しでも奇跡が訪れるように
2人のこの先の危険を少しでも守れるように
2人の未来が繁栄と幸多い日々が送れるように
私は心を込めてそれを作った。
パンっと弾けるような音がしたと思えば光が一気にはじけ飛んだ。思わずアドルフ達は目を覆う。
私も眩しいという感覚があるが目を覆うほどではなく気にせず光の中にある2つのものを両手で取り出した。
ゆっくり取り出していくと光もだんだん弱まっていた。
よっし!上手くいった!
私は手の中にあるそれを見て満足げに言葉にした。
そこには大小の2つの銀の腕輪が手の中で輝いていた。
魔法で作った銀の部分は捻じれた螺旋を連想させるデザインが私の手の中でキラリと輝いている。
中心にはめている宝石はガーネットとペリドットが混ざり合ったような色を放ち、ドロップカットされてキラキラと2つの色を反射させていた。
宝石の周りには羽根の形がそれぞれ片方ずつその反対に文様が彫ってある、所謂ペアブレスレットである。
でもこの形どこかで見たような気がする。
気になりながらも私は早速鑑定をしてみることにした。
鷹翼の腕輪★★★★★★★★★★★→上級錬成によってつくられた腕輪。
あ、鷹翼という言葉に思い出した!これゲームでも作ることができるアクセサリーだ!
確か鷹翼の~といった具合に他にも作れるシリーズがあるんだよね。
ゲームに出てきたアイテムを作るって流石私の夢。
私は続けて鑑定をする、要はきちんと付与できているかなのだ。
鷹翼の腕輪★★★★★★★★★★★→上級錬成によってつくられた腕輪。中央にはめられた宝石はアレキサンドライトであり、普段は太陽光なら赤紫に人口の光であれば碧緑色の宝石に変わる希少価値の高い宝石がはめられている。鷹の翼の形に彫られているため幸運を招くといわれている。所有者が外すことをしなければ外れることはなく又なくしても必ず所有者の腕へ戻る。
付属効果:精神・活力の超向上 持続治癒魔法++ 中級物理・中級攻撃魔法の無効化 精神魔法防御
呪いの浄化++ 幸運++++
付属効果をみて私は心の中でガッツポーズをする。あらゆるものから守れるようにと思いながら作ったので私は満足する。
っていうかこの夢ゲーマーには色々くすぐられる何かかある・・・・・・・んん?なんだこれ?
満足してたら、鑑定内容にあるものを見つけて私は目を細める。それは幸運++++の更に下がった場所に表示されていた。
幸運++++
xakzek4w@0
3dgmkiekakgg3;f@2qzk4w@t@c¥4sggpgt@je6ly
全く読めないけどなんだこれ?もしかしてバグ?
初めての表示に首をかしけながらも、結局再鑑定しても解らないので、特に深く考えないことにした。
私は前を2人を見る。
何度目の驚いた顔に苦笑しながら大きいサイズを彼の前に小さいサイズを彼女の前に差し出す。
彼らもそれが自分たちに贈られたものだろうと分かってくれたようで腕輪をそれそれ手のひらで受け取る。
どうか2人が望んだ未来になりますように。
あとは――――――――――――
ファイト!
そう彼らに激励の言葉を送る。
そういって彼らに笑いかけるとまた驚いた彼らと目があった。
……が、まぁきっと見えてないのだから気のせいだろうと思い私はふわりと上へ飛んでその洞窟から出て行った。
洞窟から出て上へ上へとあがりながら私は、彼らとちょっとした意思疎通ができたり、助けたり、ご飯作ったりしたことを思い返す。
いいことしたなぁと満足な気持ちをいっぱいにした。
こんな満足感は久しぶり、というか現実でもそうそうないような気持ちで夢だったら覚めずに……ってあぁ、これ夢じゃんかよー。夢だからもう少し浸りたいけどなぁ・・・・。
と柄にもなく残念に思う。と、私はあることに気づいてある方向を見やった。
よかった!森燃えてなかった!
みればさきほどまで雷雨だった場所の森はすっかり晴れていたのだった。
今回も読んで頂きありがとうございます。
携帯からの投稿ですので、見落としがあれば修正します。話しが修正で変更になった場合は後日お知らせしますのでご了承下さい。