まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう①)
とある妖精様、こっそり誤字脱字ご報告して頂きありがとうございます。(本当に感謝してます!)
何時ものように夜が始まる。
終わらない地獄。
終わらない痛み。
それでも、私達はここにいる。
長い長い夜が始まる、この場所で今日も―――。
恐怖に支配されたこの狭く小さな世界で、今日も私達は息を殺して生きている。
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深い雪が降った冬が終わりを告げ芽吹く青葉に暖かい日差しを感じ始める5月、私ティリエスは数日前無事に4歳を迎えることが出来ました。
ぽかぽかと日が良い庭先で腰かけながら私は現在王都で剣術を学んでいるアイルの手紙に目を通す、庭先にいるのは最近私のマイブームである散歩という名の散策に行くためである。今日はアンとではなく、珍しく母リリスと一緒に近くの薬草園へ向かう予定だ。
「お兄様も毎日大変で忙しいみたいですね。」
今年に入ってからアイルお兄様は昨年より剣術や戦術による・・・まぁ平たく言えば騎士になるべく本格的に鍛える為、お兄様は一気に忙しくなり中々会えない日々が続いている。
正直に言えば寂しいの一言に尽きるが、我儘はいえない。
そんな私の事を見透かすようにお兄様は3日に1度のペースで手紙を送ってくれる、マメな男である。
手紙の内容には、彼自身でこんなことがあったという内容や私の近況を伺う内容に後は体調を気遣う内容が書かれていた。
「ふふ、お兄様。今度の夏の遠征訓練参加されるんですね。なんとかそれまでにまた新しい美味しいものを用意しなくちゃ。」
でも、何を用意しようかなぁ、やはり今度もお肉料理を・・・と思いながらも、私の心の中である事が引っ掛かっていた。
「お菓子、どうにかして作れないかなぁ・・・。」
そう、お菓子、甘いものである。
あれからギリア料理長と一緒に考えて様々な料理は出来るようになってきた。
バターが出来たことでパイの包み焼きといったパスタ類とは違う生地の種類も格段に増え、薬草として使われている香草も使うようになって新たに香りに変化を起こし、牛乳やヨーグルトは臭み消しに多々使用されるようになり臭みが酷かった料理がこれも美味しく食べられるようになった。
特に独特の臭みがあった川魚料理にとても好評で最近作ったニジマスのアクアパッツァは大変喜ばれた。
でも、これだけ美味しい料理が出来ても甘いものはてんでない。
パイ生地が出来ても、中身のリンゴに甘みがなければカスタードに甘みがなければ・・・とても残念な代物へ変化するのだ。
「アップルパイはやってみたんだよ・・・でも不毛な味だったんだよね・・・。甘くない香りだけアップル・・・うん。」
過去の失敗を思い出して遠い目をする。如何に砂糖という存在がありがたい存在か大いに理解できた出来事でもあった。
「何か今日こそは甘味料を見つけたいなぁ・・・。」
【鑑定】で散策をしては手あたり次第甘味料となる植物、食べ物、はたまた鉱石まで自分が可能な範囲で調べているが今のところ当たりはない。
まぁ、調べると知力が上がるので損はないのだがそれでも時間に対して少し焦りが生まれていた。
何故かというと、あのバターとマヨネーズを懇意にしている商家に持ちかけたのだが結果から言えば商品化は現在難しいと言われてしまったのだ。
理由は賞味期限がひどく短いということ。
バターはまだ辛うじて商品が見込めるが特にマヨネーズは作って運び王都で商品として並んだとした場合たった数日しか賞味期限がない。
数日後には劣化速度が速くなりカビやすくなる。
冷暗所はあっても冷蔵庫といった10度以下のまま保つ場所がある家庭が圧倒的少ないというのが大きな原因だった。
因みに私の家公爵家には冷蔵庫、冷凍庫に代わる保管庫が存在しているので問題はないのだが特に王都で暮らす貴族、商家は家が立派でもそこまでないのだ。
この2つに収益が見込めるはずと踏んでいた私にとって大きな誤算であったのだ。
売れる商品だという事はお父様も商家の人も思っているらしく、なんとか商品化できないか今も知恵を出し合っている状態だ。
だが早く商品化にしないとどこかでレシピが漏れるかもしれないし、レシピそのものを売ってしまう話しに進んでしまうかもしれない。
そうならないように、早く益になるものを作り出す必要がある。
それが一番手っ取り早いのが砂糖だと思うんだけどなぁ・・・なかなか見つからないんだけどね。
「まぁ、シナウス達に聞いたら人工甘味料について調べてくれると言っていたからまだ手も残されているしあきらめないけどね。」
ぽつりと誰に聞かせるわけでもなくそう呟く、と遠くで私を呼ぶ声が聞こえたので私はベンチから立ち上がりワンピースについていた葉っぱを少し掃って声のした方へ進んだのだった。
いつも読んで頂きありがとうございます。




