私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(こうして皆この地に慣れていく、さて次は?⑫)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/27(月)投稿予定です。
レイの押し切りもあって仮という形で了承したティリエスは果たしてこれが正解なのかどうかはかりかねていたが、もう承諾してしまった後だし、考えることを放棄した。
彼らがここに住めるかどうかは結局のところ私ではなく領主である父の判断なのだ。まぁ、きっかけをちょこっと作ったのは私だけど、別に父も私のした事を咎めることはしないだろう・・・うんうん。
でもレイ、例のあれ、オトメン同好会もっと拡大させる気だったのか。
やって来た彼らに勧誘の了諾やら彼らの教育カリキュラムに同好会の体験は必須条件にするなど、中々に強い押し・・・いや、最早執念のようなものさえ感じさせる程だ。
内容は聞かずして承諾書に判を押してしまったわけだが、まぁ大まかな内容目的を聞くと至極真面目な内容なので別反対する必要もないと思っての承諾ではあるのだが・・・まぁ、一体何をするのか気にはなる。
一体どんな活動をしているのか気になったのだが、女には乙女の花園という秘密があるように男は男で秘密はあるだろう。
まぁレイはレイのしたい事をすれば満足するだろうし、ここ一年は外出禁止で変わり映えのない毎日で退屈にさせているのも申し訳ないと思ってたし、まぁいっか!それに勧誘したところで入るかどうかは個人の自由で強要はしないように約束したし、おかしな事にはならないだろう。ただ、レイには悪いけど会員募集したところで入ろうとする人がいるとはあんまり思えない上にうまくいくかもわからないし・・・まぁ落ち込んでいたら慰めてあげたらいっか!
ティリエスはそう思ったのを最後にし、自分はこの件から完全に身を引き自分は自分のしたい事へ専念していったのである。
そして、それから自分の7歳の誕生日を迎え盛大に祝ってもらい、その後は弟達の誕生日を祝ってもらいと春から夏、そしてとうとう秋の季節になりつつある季節まで時間は経過していったーーー。
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本当、こんな早く変わるなんてすごいなー。
とある日の午前、教会の前でティリエスは秋の空を見上げながらぼんやりとしていると、誰かの走ってくる足音が聞こえて来たので不意にティリエスはそちらを見る。
「ほらルーラ早くしないと遅れちゃうよー。」
「トーラ待ってよ!」
幼い頃ここへ保護されてから随分成長したエルフの子供達であるルーラとトーラである。ティリエスは元気よく走ってくる姿と彼女達のやっきて来た方向へ目を向ける。
そこには綺麗になった石畳の道に様々な目的があって行き交う領民の人々、そして建て直された建物が建ち並ぶ景色がそこにあった。
活気に満ちているその光景にティリエスもまた笑みが溢れながら、走ってくる2人に手を振る、当然彼女達もティリエスの存在に気がついた。
「あ!女神様!」
「だからトーラ、女神様じゃなくて公女様だってー!わっ!」
話しながら走っていたのがいけなかったのか転びそうになるルーラに思わずティリエスは慌てたが、彼女達の近くにいたガタイのでかい人物がいち早く気がつき彼女を咄嗟に支えた。
「あ、ありがとうございます。」
「ありがとう、警備のおじさん!」
「大丈夫ですかルーラ!」
ティリエスも駆け寄り彼女に怪我ないか確認して、怪我を負っていないことに安堵する。そして隣にいた警備員と言われた男の方を見る。見れば彼はローリス出身の人であった。
そう、結果彼らは父達の課題をきちんとクリアしてこの領地の住民として受け入れられたのである。
その過程でレイだけではなく騎士団にも声がかかりその過程で多少一時は険悪なムードを起こしてもいたが今では皆この領地に溶け込む協力しあっている。
そして縁あってこうして治安維持にかって出てくれている人もいるので、大きなトラブルもない状態である。
「危ないところを助けて頂きありがとうございますわ。」
彼にそう言うと、彼は強面な顔でニッコリ笑った。
「モゥ!ちっちゃな子が足に怪我をしなくて良かったワ!おじさん、ハラハラしちゃった!」
んぐぅ!
思わず変な声をもらしかけたティリエスは耐えるように右の太ももの一部を自分の手で服越しにつねる。
ティリエスの様子に気づく事なく今度は気をつけるのよー!と手を振って去っていく男に無邪気に礼を言う2人をみてティリエスは思わず遠い目をした。
「さっきの人ってさ確かオトメン同好会の会員の人だったよね?」
「えぇ、確か結構素行が悪い人柄だったと思ったんですが、こうも人は変われるのですね。」
後ろからついて来た今日のお供のグリップシナウスの声が聞こえ、ティリエスはまたもう一度空を見た。
何、したんだろう本当・・・。
ここにはいないレイを思い浮かべながらティリエスは心を無にした。
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