私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(こうして皆この地に慣れていく、さて次は?⑤)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/8(水)投稿予定です。
判子を貰った、オーガの行動は早かった。
では早速失礼しますねぇと颯爽と部屋から出ていく姿を止める間もなくただ見送る。
閉めることなく開けたままのドアの向こうから野太い悲鳴のような声を聞いたのは空耳ではないだろう。
きっと、エルアル卿の所に行ったんだろうな・・・エルアル卿ご愁傷様。
心の中で合掌をしつつ、おそらく発明者と商売側の人間が揉めるだろうと予測したティリエスはいつもより早い着替えの手伝いをティキに頼んだのだった。
こうして炭酸水だけではなく、まさかの新たな新素材の販売ルートも向けての準備も急ピッチで進む事になった。
ここで驚いたのは家の空調を一定にするつもりで作ったこれを他にも応用できないかというもの。
その一つとして道路の素材としての採用である。
例えば我が領地のような極寒な領地はどうしても雪が積もるし道路が凍結する。
歩行者は勿論、馬車など凍結した道を歩けば大きな事故を引き起こしかねない。
だから、行商人たちも滅多なことでは真冬に行商しようとは思わない、それくらいリスクのある時期だ。
だがもし、この資材で道路を作るとそれはどうなるか。
温度が一定以下になると雪は資材の作用で溶けるし道凍結しなくなる。
逆も然りで暑い地方であれば熱を持つ道路の熱波が緩和され、周りの気温も幾分か下がる。ウマ筆頭に馬車などを引く動物達にも配慮が出来る。
つまりは大きな事業となる!
とまぁ、一緒に座りオーガの力説を聞き終えた私とエルアルは互いに顔を見合わせた。
だって発明者側にとって、これはただ床暖房みたいなものができれば良いなから始めた事で、ここまで大きくなるとは思っていなかったのだ。
朝早くから起こされて不機嫌な顔のままエルアルは家のことだけで良いじゃんと愚痴を漏らした瞬間オーガの目が見開き若干怖かった。
内心ビクついている私とは対象的に、オーガの顔を見てそれでも怯まない彼が睨み、ピリついた部屋の空気に変わった時だった。
母の登場である。満笑みでやって来たかと思えばエルアルの手をギュッと握りしめて感謝を言い始めたのである。
困惑していると、どうやら今回の事を父から聞いたようで既に母の頭には道路は新しい素材を使う事になっているようだった。
道路がいつでも走行できるようになれば、その分患者を早く運ぶことができる。
そう言われたエルアルは母の言葉に初めて道路の資材をそれに充てる大きな価値に気がつく。
理解した後エルアルはオーガを少しだけ睨む、少しして唸った後彼は腹を括った顔つきになった。
こうしてエルアルも賛成し、本格的に取り組んだ。後で父も参加し経理関係やその他諸々そして作業場を至急設置する運びとなり順調にことが進んでいった。
だが、ここで一つ大きな問題が発生したのである。それはーーー。
「事業にあたって人が少ない。」
つまり、人員不足が発生したのである。
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