私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(村人候補達から村人達へとなった彼らは私達には無いものを持っていました、それは技術です。㊲)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/26(金)投稿予定です。
「ふむ・・・、外に気を取られて内側に気を配れていなかった弊害か・・・。」
「ヒッ、な、何で睨んでるんですこの人。」
何故自分が睨まれているのかよくわかっていないカリサは思わずティリエス後ろに隠れるように身体を縮こませる。その行動にレイは更に先程より温度の低い目で後ろに隠れている男を見る、最早その顔は極悪人の顔それである。
そんな顔になっているレイを見て流石のティリエスも出来ればこの場から立ち去りたいな、なんて思っていると急にレイがハッとした顔になり今度は思案顔になった。
「まさかお嬢様のタイプは・・・このようなひ弱で母性本能を擽るようなメンタルの弱いダメ男の方が好みなのか?」
「ブフッ!」
「人から聞いていたけど、成る程この人ってこういう考えになるのか・・・。」
「っていうか何気に僕の事ディスってますよね?半分は本当のことですけど。」
それでも口に出さなくてもとぐちぐち言うカリサに対しオーガは含み笑いをして身体を震わせ、アイルは呆然としながらもレイを観察する。
「私、そんな軟弱な人を旦那様にしたくないですわよ。」
レイの言葉にそんなわけないだろうと呆れながら答えるとレイは不服を漏らす。
「だって先程褒められて惚気ていましたよねぇ。」
「惚気・・・いや、誰も褒められたら嬉しいじゃないですか。」
「・・・え、何そういう事なの?」
カイサは何が原因なのかいち早く理解したが、それの理由が本当にそういう事なのかと困惑していると右肩叩かれた。
今まで笑っていたオーガが彼の耳に顔を寄せる。
「今のうちに撤回しとかないと面倒ですよぉあの男は。」
「え?!じゃあ本当に?」
ゆっくり頷いた後あの男に寝首かかれる前に早く手を打った方がいいですよと助言するオーガに、想像してしまったのかカリサはブルリと震えた。
「ぼ、僕はお嬢様が好きとかそんなんじゃないです!さっきは客観的にそう言っただけで「口ではなんとでも言うだろう」何でそんなすぐに否定するんです?!」
誤解を解こうとするカリサは恐怖など忘れて思わず突っ込む。
ギチギチといつの間にかティリエスを羽交締めにしているレイが彼の言葉に反応し怪訝な顔になりながらカリサに口を開く。
「言い訳を言うのに必死過ぎる。」
「命の危険を感じれば必死になりますよ!」
ヤケクソで言い返しながら、カリサは遂には半泣きになり鼻を啜る。
「僕は姉さんを養わないといけないのに・・・勘違いで殺されるのは嫌だぁぁ・・・。」
「・・・カリサさん酔ってきたのかな?」
「いえ、おそらくあまりの殺気に恐怖で頭回らないんだと思いますよ?」
冷静に観察をする2人をよそにレイは泣き出したカリサを見下ろす。
因みにティリエス白目を剥いて沈黙し大人しくレイの胸に抱き抱えられていた。
「家族を養うだと?」
「グスッ・・・そうですよ、姉さんは借金の肩代わりに結婚させられて酷い暴力振るわれて・・・新しい女が出来たから追い出されたんだ。足を引き摺るほど後遺症まで元旦那から暴力振るわれて、父から僕達を守ってくれた姉さんを今度は僕は守らないといけないのに・・・僕はどうすればいいんだぁ・・・。」
「ふむ・・・。」
ベソベソ泣き始めたカリサをただ見ていたレイだったが何かを考え始め、そしてゆっくりとカリサの前に座る。
「では、お嬢様に懸想している訳ではないと?」
「だから、そう言っているじゃないですかぁ、どうやったら信用するんです?もう何でもしますから・・・。」
「では証明をする為にこちらにサインを。」
「え?何これオトメン同好会?」
「ブハッ!!」
耐えきれなくなったオーガの笑い声をバックにカリサはその書類を見やる。
「男性が女性の為に考えられるように女性を知る会、特に乙女の部分を、です。」
「グスッ・・・卑猥発言っぽいですけど、そういうのでは無いんですよね?」
勿論とレイが言い切るのを聞いたカリサは鼻を啜りながら迷わずサインした。
「そういうのじゃなかったらいいです。僕まだ恋人とか結婚とか考えていないので。」
「宜しい。ふふっ・・・これで私を含め4人になりました。」
あの会には他に2人もいるのかと分かったオーガは更に笑いが止まらず、その数秒後例の補佐官に見つかり逃げ惑う事になるのは数分後の事だった。
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