私が3年間領地から出られないつまり出禁状態だったあれやこれやそれ。(村人候補達から村人達へとなった彼らは私達には無いものを持っていました、それは技術です。㊱)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/24(火)投稿予定です。
「呑まないと思ったのに・・・。」
私の心の声を変わりに代弁したかのようにアイルが呟く声を聞いたカリサはくぴりとエールで喉を潤した後、トンっとグラスを机に置いた。
「酒を怖がるなんて、父親を気にしてるみたいじゃないですか。そういうのは嫌なんでよずっと死んだ父親を気にしてるみたいで、それに呑む時は信頼している人としか呑まないんで。」
それは徹底してるんですよとそう言ってグラスにエールを注ぎまた呑み始める。
「王都では卒業以来全然呑めなかったし久しぶりだけど・・・ここのエールめっちゃウマ。え?なんで・・・絶対王都より美味いし。」
静かに驚きながらしげしげとグラスを見つめている彼を見て先ほどの言葉を思い出す。という事は彼はここで心置きなく呑める環境と認識してくれたという事になる。
思えば1番4人の中で警戒してた気がする。
誰かと言葉を交わしている時に自分を陥しいれる何かがあると、怯えながらも気の抜けない目でこちらを見ていた気がする。常に緊張して休まる場所がないような目をしていた彼が自然体でこうして言葉を交わし自分の気持ちを言ってくれるというのは嬉しく思えた。
良い傾向だなぁと思いながらニコニコ笑っていると、ふとカリサと目が合ったのでどうしたのか不思議に思っているとカリサは「あー、えーと」と歯切れの悪い声が漏れる。
何だと思っているとカリサは何故か急に頭を下げられたのでますますよくわからない顔をしていると今度は急に謝ってきたのでティリエスは困惑する。
はて?謝罪で頭下げられることなんてなかったはずだけどな?
「急に謝られても公女様は困惑するだけだと思うと思ったんですけど、それでも謝罪させて下さい。僕、ここに行く前から色々言われてたんです。最近色々なものを売り出しているけどきっと何か裏で怪しいことをしてるとか、家臣達を今以上に働かせているとかその・・・色々変な噂。上級貴族とかではそんな噂聞かないけど下級貴族では、呪われた地をおさめる公爵家としてなんていうか、不思議なんですけどこの地から遠い場所だとあんまり良い印象持ってるところが少なくて・・・、僕もずっと遠い西の小さな子爵領地の平民なんですけど、子供の頃から故郷では悪い事をするといつも大人からよく教訓で悪い子は連れてかれるぞ北の領地は悪い奴が集まる穢れた怖い場所、なんて言われてたぐらいなんです。そのせいかすごく偏見で見てたと思います。」
へぇそんなに言われるほど私の領地穢れた場所じゃないんだけどな、超のどかだぞここ?
「それにお嬢様の事我儘で目つきの悪い子供なんて言われてて。」
おい、誰だそれ言った奴。次会った時引っ叩いてやる。
まさか自分もディスられているとは思っていなかったティリエスは真顔になって吹聴したやつに怒りを覚える。
「でも実際はここはすごくのどかでご飯も美味い、酒だって。それに領民も領主様も公女様もお優しい。公女様に至っては可愛いけどきちんとしたお嬢さんって感じで。」
ま!間近で褒められるの慣れてないから照れる。
ポポッと頬が赤くなったティリエスを見て、アイルとオーガはカリサに同情な目を向けた事に話しに夢中になっている2人は気が付かない。
「ーーーだから僕、ここで頑張って働くつもりです。ここにある美味しいものがきちんと評価される商売ができるよう僕も微力ながら支えます。」
「それは頼もしいですわね!」
「・・・何が、頼もしいと?」
「ヒッ!」
カリサの小さな悲鳴と共に急に圧と寒気を感じたティリエスは後ろを振り返る。
そこにはレイが冷たい微笑みを浮かべながら見下ろしていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
いつも読んでいただきありがとうございます。




